2017年04月12日

パッセンジャー/PASSENGERS

 期待のSF映画『メッセージ』の前に、観ておきたいもうひとつのSF映画。 よくあるタイトルなので今後混乱しそうですが(何年か前にアン・ハサウェイ主演の『パッセンジャーズ』というSF映画もありましたしね)。
 なんかジェニファー・ローレンス、すっかり大物になってしまいました。

  パッセンジャーP.jpg 乗客5000人 目的地まで120年 90年も早く 2人だけが目覚めた
  理由は1つ――。

 冒頭の、巨大宇宙船が小惑星隊を抜けていく一連のシークエンスの迫力がすごかった。 宇宙船の形も科学的に意味のあるスタイルで。 さすが3D上映(とはいえあたしは2Dで観たんだけど、2Dでも十分感じ取れる迫力でした)。
 他惑星への移住が可能になった近未来。 120年かけて新たな入植地に向かう宇宙船アヴァロン号は乗員乗客約5000人を乗せて自動操縦で動いており、乗員乗客はコールドスリープのカプセルに入っていた。 しかし当初の予定よりも90年早い段階で一人目覚めてしまったエンジニアのジム(クリス・プラット)は最初そのことに気がつかず、120年たったと思っている。 コールドスリープ覚醒後なのですぐに頭が働かないのも原因のひとつ。

  パッセンジャー3.jpg 事態を把握するのにしばらくかかって・・・絶望。
 他の惑星に入植できる技術ができてるなら、人間の寿命ももう少し伸ばせるようにはなってないのか、とつい思ってしまったが、生命の神秘はまだまだ解明されていないようです。 というわけで到着するまで90年、再びコールドスリープに入らなければ、彼は船の中で生涯を終えてしまうことになり・・・そして若き作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)も目覚めて、一体何が起こっているのか・・・という話。
 この二人しか出てこない(正確にはロボットバーテンダーに扮するマイケル・シーンと3人)と思っていたので、途中で現れる意外な豪華キャストにちょっと興奮したのはあたしだけかしら。 なんか得した気分になっちゃった。
 <アダムとイヴ>的な話に終始するのかと思いきや、ちゃんと清く正しきSF映画でそのことにも盛り上がる。

  パッセンジャー1.jpg なにか解決策はないものかと船内をうろついて・・・やばいものを見つける。
 勿論、「このままでは目的地に着く前に死んでしまう。 誰にもそのことを告げることもできないままに」という事実を前にしての葛藤というか、事実を受け入れられなくて苦しむ、という描写も必要十分表現され、ジムとオーロラのどちらに感情移入するかという選択権も観客には与えられるという親切設計。 しかも「目覚めたことには意味がある」としてくれる展開など、絶望的な状況なれどちょっとした希望をそこここに散らばしてくれるので、観ている側もそこまでシリアスにならなくてすむのですよね。 ユーモア担当のバーテンダーロボットさんのおかげもあるけど。
 それに映像が美しいのよね〜。 特に宇宙。 この光景を一人占めできるのも悪くない、と思えてしまうくらいに。

  パッセンジャー5.jpg すっかり「いい女」を演じちゃってるところがすごい。
 そしてジェニファー・ローレンス。 素の彼女は超美人というわけではないと思うのですが、雰囲気美人というか、その演技力で“知性と美を併せ持つ類まれな女性”という存在になりきっているというかそう見せちゃっているというか・・・ついこの前まで小娘感全開だったのに、すっかり<大人の女性>になってしまっていることにびっくりでした。 しかも育ちのよいお嬢様基準でのじゃじゃ馬にちゃんとおさまっているという・・・そりゃ一介のしがない技術者であるジムにとっては高嶺の花、一発でKOされちゃうのも仕方ないよね、という感じ。 そりゃ彼女のためにいろいろがんばっちゃいますよね。
 で、SF映画として素晴らしいところは、非日常の中にある日常をきちんと描いているところ。

  パッセンジャー4.jpg パニック状態が永遠に続くわけではないし・・・普通に生活している時間をあらわすことで非日常描写への説得力が増す。
 それは登場人物たちの存在感にもつながるわけで・・・こういうところをおろそかにしちゃうとリアリティがなくなるのよね。 逆にそういうディテールをしっかりしておけば、多少荒唐無稽な展開が待っていたとしても受け入れやすい(極端な例:『シン・ゴジラ』)。 そういうのがね、SFの醍醐味だと思ってしまうわけなのです。 だからラブロマンスや人間不信が入ってきても全然邪魔にならないし、むしろこの場合必要だと思える。
 ツッコミどころがないわけではないんですが、そこもまたSF黄金期の作品群を思い出させるというか、ちょっとご都合主義入ってても許せちゃう。 SFへの愛を感じてしまうからですかね。

  パッセンジャー2.jpg You die, I die.
 途中の葛藤があるからこそ、「結局、頼れるのはお互いしかいないのだ」と気づいたら、相手のために死ぬ覚悟もすんなりできちゃう(特にジムくん)。 そういう非現実的な展開も、SF要素があればこそ自然に受け入れられるわけで。
 それを運命と呼ぶのなら、人はそれを受け入れてどう生きるのか。 それともあえて立ち向かう道を選ぶのか。
 黄金期から続くSFの変わらないテーマのひとつを、最新技術で映像化したという意味でも大画面で見るにふさわしい映画だったなぁ、と。
 思っていたよりもずっと、見ごたえがありました。
 こりゃ『メッセージ』は相当期待できるんじゃないか! あたしのハードルはどんどん上がっております。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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