2016年11月20日

さよなら、シリアルキラー/バリー・ライガ

 三部作全部入手したのに、一作目が行方不明・・・やっと見つけ出し、読み始めたらこれがなかなか読ませるもので、結構な勢いで一気読み。
 <イベリア・シリーズ>とこの続きどっちを読むか、悩むほどである(悩んでいる暇があったら読め)。
 これは21世紀最悪の連続殺人鬼(シリアルキラー)の息子として生まれ、育ってしまった高校生ジャスパー(愛称ジャズ)の、自分の人生を取り戻す戦いの始まり。

  さよなら、シリアルキラー.jpg スカイエマの表紙絵が、よりYA小説感を引き立たせる。

 ジャズは普段、普通の高校生の仮面をつけて暮らしているけれど、父親ビリーがシリアルキラーであるが故に、殺人者の心理を幼少時から英才教育されてしまった。 ジャズ自身は殺人者ではないのだけれど、自分の中には“そういうスイッチ”があって、ただ今はそれがオンになっていないのではないか、人を殺すことが快感であるという欲望を植え付けられてしまったのではないか、という苦悩をずっと引きずっている。
 そんなある日、自分の住む町で殺人事件が起こってしまい、どうやらシリアルキラーの犯行とジャズは気づいてしまう・・・そしてそれを理解できる自分は、やはり父親と同じように“そういう血”が流れているのか、と事件を追いながらますます苦悩を深める・・・という話。
 となると「YAのわりに重たくて残酷ではないか」という印象を受けるのだが、そこを青春モノにしているのがジャズの親友・ハウイーとジャズの彼女コニーの存在。 この二人のおかげで、ジャズは普通の高校生とはどんなものかを忘れずにいられるし、危険な一歩を踏み出さないためのブレーキを得ている。

 しかしこの町に現れた殺人犯は<ものまね師>と名乗り、過去のビリーの犯行を模倣。
 “ビリーの手口”をわかっているのは誰よりも自分だと、<ものまね師>と対決する道を選んだジャズの運命は・・・それが原題“I HUNT KILLERS”へと繋がります。
 長年のミステリ読みには<ものまね師>の正体は比較的最初の方でわかってしまうので、どんでん返し的なものを期待する方には向かないかもしれませんが、ジャズの苦悩に比べれば<ものまね師>の動機など浅すぎる!、というのがわかってある意味痛快です。
 シリアルキラーの子供が長じてFBIに入り、という話は以前『クリミナル・マインド』でもありましたが、自分のせいではないとはいえ<過去の自分>と向き合い続けるのは相当の覚悟と努力がいるはず。
 でもあえてその道を行くジャズの決断を応援し、彼の今後を見守りたい。 だって不安はまだ残ってるし、そのための三部作なんだろうし。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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