2016年10月25日

遠ざかる祖国/逢坂剛

 なんたってもうすでに<イベリア・シリーズ>第3弾が手元にあるのである。 その返却期限が来る前に読み終わらなければ!、と焦る第2弾。
 しかしプロローグから「あれ?」という印象に。 前作『イベリアの雷鳴』の緊迫感から程遠い、どこか牧歌的な雰囲気漂う“その場限り感満載の登場人物”によって日本の真珠湾攻撃の予兆が語られる。 この寓話感は、その当時の日本人にとって英米との戦争そのものがそれほどリアルなものではなかった、ということなのか。

  遠ざかる祖国1.jpg遠ざかる祖国2.jpg とはいえ、物語の主な舞台はスペインのマドリードではあります。

 基本的に前作からの続きで、時間軸の変動はない。 だいたい、一作あたり約一年を描く、という感じでしょうか。 日系ペルー人の北都昭平とイギリス情報部員ヴァジニア・クレイトンの二人を軸に、非交戦国スペインでうごめく枢軸国側と連合国側の思惑を<情報戦>という切り口で見せていく話・・・なのですが、太平洋戦争における一大トピック“真珠湾攻撃”がさらっと流されてしまっている点で少々肩すかし。 でもそれは、当時外国にいた日本に関係する人々にとって共通した感覚なのかもしれない(伝聞で耳にするしかないし、日本国内にいるように周囲の人々の熱狂にまぎれられるわけでもないし)。
 作者による独特のカタカナ表記が気になるけど(ゲッペルスのことをゲペルスと書くなど。 ヴァジニアだってヴァージニアのほうが馴染みがある気がするけど)、現地発音にはそれが近いのかも。 あとスペインの料理にも詳しくなれますね。
 それにしても、ペネロペが退場してから一気に恋愛小説モードが強化されるのにはちょっと納得がいかん! まぁ、障害のある恋が盛り上がるのは仕方がないですが・・・。
 日英がはっきり敵同士にならないように、とそれぞれに奔走する二人だけれど、真珠湾攻撃が行われてしまったことがわかったところで幕が下りる本作。
 歴史的事実を知っているのになんだかドキドキしてしまうのは何故でしょう。
 即座に、3作目に入ります!

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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