『グランドイリュージョン』、大好きです!
だからこそ、急遽決まったみたいな続編って・・・不安。
好きな映画だからこそ、続編ってうれしさと不安がつきまとう。 もともと三部作とか決まっているのなら別だけど、「前作のヒットを受けて」というのがあやしいのよ。
しかしそんな不安を口にすると、「でも、どうせあのFBIの人(マーク・ラファロのこと)が出てればいいんでしょ?」と言われてしまうあたし。 いや、そうなんだけれどもさ!
マーク・ラファロ大好きですけど、あの映画に出ている好きな人は彼だけじゃないんで!
しかも監督も代わってるんだよね・・・でも仕方ない、こればっかりは観に行って確かめるしかないのだ!
あなたは必ず、爽快にダマされる。
正義のイリュージョニスト集団として話題を集めた<フォー・ホースメン>が姿を消してから一年あまり。 リーダーのアトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)はしびれを切らして<秘密結社アイ>に活動させろと掛け合う。 新たなミッションは巨大IT企業が行っている個人情報売買のからくりの暴露だったが、その目論見は天才ハイテクエンジニアを名乗るウォルター(ダニエル・ラドクリフ)に見破られ、ディラン・ローズ捜査官(マーク・ラファロ)ともども<フォー・ホースメン>は再び逃亡者にさせられる。 一体ウォルターとは何者か、彼らを罠にかけた意図は・・・という話。
原題が“NOW YOU SEE ME 2”となっておりますように、完全に前作の続きです。
一作目を見ていない方お断り、の話の流れは非常に潔い。
ただ前作はストーリーとイリュージョンが密接に関係していたのが素晴らしくよかったのだけれど、今回はイリュージョンありきというか・・・物語とのリンクに少々無理があるような気がしないでもなく・・・「ダマされる」ってこういうことじゃないよね?
あと、前作はラストがファンタジック展開になったため、賛否両論あったと聞いてますが(あたしも周囲の人に薦めまくったのでそんな感想ありました)、でもあたしはむしろそこが<大人のおとぎ話>って感じで好きでしたが、今作はあの方の少年時代のあの出来事から始まり、いろいろと各方面の恨みつらみが重なり合って結構感情的にリアルというか・・・ファンタジック展開からは遠ざかっているので前作が納得できない方は今作は大丈夫かも(あたしはちょっと納得できないが)。
というか<秘密結社アイ>が表に出過ぎ! 出てきちゃったら秘密結社じゃないでしょう、というくらい。 あと、あの人に双子の兄弟がいるとわかったりとか・・・なんか展開が場当たり的な気がするのは何故? もっと脚本練って来い!
せっかく前作の主要メンバーがほぼ勢揃いでの続編だというのに・・・もったいないよぉ。
でもなんでジェシー・アイゼンバーグはあんな髪型になっちゃったのかな? 成長した感を出すため? でも精神的に未熟なところをさらけ出しちゃってるんだけど(だったら前作通りちゃらい長髪くるくるパーマでよかった。 まぁ、一応逃亡者だから見た目を変える必要があったのかもしれないけど)。
マーク・ラファロはいつも通りの安定感で素晴らしかったけれど、今回彼を陰の主役にした物語にしてしまったので、イリュージョン部門との乖離が目立っちゃったのかもしれないなぁ。
で、ラドクリフくんですが・・・彼が『ハリポタ』のイメージ脱却のためにいろいろと果敢に挑戦しているのはわかる。 でも<科学VSイリュージョン>って煽られても(それはキャッチコピーのせいであってラドクリフくんのせいではないのだが)、イリュージョンだって魔法のように見せているだけで基本は科学なんですけど・・・。
科学VS科学に勝ち負けはない、そこは人間対人間。
ウォルターの天才性に絶対的優越はない。
しかしサディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)ともども、御大お二人も再登場していただけるとは、画面が引き締まりますな。 さすが仕事を選ばないお二人だけのことはある(褒めてます)。
マーク・ラファロのファンとしては、確かに彼の出番は多かったし、『アベンジャーズ』シリーズのときとは違う生身のアクションまで披露してくれたのは思わぬ誤算というか、演技派の彼に更にアクションスターの冠をつけないでちょうだい!、と思ってしまうぐらいはまっていていろんな意味でハラハラしちゃいました(リーアム・ニーソンの道を進むのはまだ早い!)。
ジェシー・アイゼンバーグもワイルドな見かけに反して内面的にはオタク引きこもりキャラに逆戻りというか・・・いまどき反抗期か!、みたいな流れはちょっと無理があるというかつらいというか、リーダーとしての重圧に押しつぶされかけた、ということなのかもしれないけれど。
そういうあたりも含め、前作よりタッチが重たいのはよく言えば「人間ドラマ重視」なのかもしれないけれど、メリット・マッキニー(ウディ・ハレルソン)やジャック(デイヴ・フランコ)にはそんな屈折はないし、おまけに出番もそんなに多くないしで、<フォー・ホースメン>としてはバランスにかける。
それ故に「あぁ、一作目のほうがよかった」と更に記憶が美化されてしまう。
しかも結局、いちばんおいしいところはモーガン・フリーマンが持っていってしまう!
彼がナレーションもやる映画はそこが注意だぜ。