2016年06月16日

殿、利息でござる!

 てっきり、『超高速!参勤交代』のスタッフがつくっているんだと思っていた(キャストが若干かぶるし、松竹だから?)。 コメディ時代劇なんてTVじゃ最近全然見られないし(というか時代劇そのものが)、これも是非観たい!、と思っていたら中村義洋監督作品だったとは・・・(時代劇を撮るようなイメージがなかったのでびっくり)。

  殿、利息でござるP.jpg これも世の貯め、人の貯め。
    千両集めてビンボー脱出! 庶民VSお上! 知恵と勇気と我慢の銭戦(ゼニバトル)が今、はじまる――。

 江戸中期、仙台藩による領民へ重税が原因で破産や夜逃げが続出し、小さな宿場町・吉岡宿は困窮し切っていた。 このままでは町はダメになってしまう、と考える商人・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、ちょうど京で茶の修業をし嫁も連れて帰省してきた菅原屋篤平治(瑛太)に、なにかいい知恵はないか相談。 絶対無理だよと思いつつ「お上(つまり殿様)にお金を貸して、その利息で税を払えば町の負担はなくなるのでは」と口を滑らせた篤平治の一言に、穀田屋さんは乗っちゃいました! その日から、ひそかに同志を探し、コツコツと目標の千両をためる日々が続くのだが・・・という話。

  殿、利息でござる1.jpg 話を牽引していくのはこの二人、のように思わせておいて・・・実は、の展開。
 濱田岳の飄々としたナレーションがほのぼの気分を際立たせるのだけれど、一朝一夕で集められるお金ではないので、みなさん苦労してるし時間もかかっています。 でもその苦労話は最小限、むしろ「ちゃんと年を越せたのか、よかったね!」と観ているこっち側がいろいろ想像しまうほどみなさんの困窮振りはすさまじい。 でも同志探しの過程のほうに面白さを集中させたのは正解で、みなさん、身分としては農民なのですが、それぞれの立場があって・・・というところは現代と変わらず、人間くささ全開です。 とはいえ完全な悪人が出てこないところに(小ズルイ人はいますけど)、なんというか、今も変わらぬ東北人気質が感じられてちょっと胸が熱くなります。
 自分たち個人の利益のためではなく、この町のため、この宿場を存続させるためという考え方は、いわゆる<ボランティア>とは違うものかもしれませんが、このような地元に根付いた発想が日本人っぽい慈善事業ではないのかな、という気がしたり。 情けは人のためならず・袖すり合うも多生の縁、ってこういうことだよね、みたいな。
 で、<お上>に対しては文句を言うんだけど、それは直接殿様への不平ではないってところにも、封建主義ってだけじゃない日本人ぽさも感じてしまいました。

  殿、利息でござる3.jpg なんだかんだ、妻夫木聡(なんと阿部サダヲの実弟設定)がいちばんおいしいかも。
 予告やCMが比較的コメディっぽいイメージで宣伝してくれていたので、実は観ていたら意外に真面目な話だったというのがすごく好印象で。 「あぁ、いい話だなぁ」としみじみできるこのよろこび、みたいな。 小市民でもやる気になればなんだってできるぞ!、という勇気を与えてくれる感じですね。
 ただ、竹内結子は現代的な顔立ちなので、着物姿があまり似合わない・・・様な気がするのはあたしだけだろうか。
 時代考証しつつも全体的にあえて現代的にしてある時代劇の中で、個人的には堀部君がすごく“時代劇が似合う側の人”になっていたのがうれしかった。 松田龍平もいつものけだるげ演技をできるかぎり抑えて全体の雰囲気を壊さないようにしていたようにも感じられ(でも劇中では異分子であるので、そのへんをいつものけだるさと誤解されないようにしていたような)、チームプレイ感がよく出ていた感じがする。
 だからより、「いい話」になっているのかもなぁ。
 瑛太と濱田岳は『アヒ鴨』コンビじゃん!、と気づき、「あぁ、やっぱり中村作品だったんだな」と納得する。 この人もお気に入り役者を繰り返し使いたいタイプだった。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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