2016年01月26日

海難1890

 これも、「なんで今、この題材?」と疑問のわいた映画。
 エルトゥールル号のことはそれこそ1985年に大きく話題になったし、「むしろ現代の多くの日本人が知らない出来事をトルコの人々は教科書に載せて語り継いでくれている」ということが感動的だったエピソード。 舞台となった現・和歌山県の串本町では慰霊碑的なものがあり、その地域に住む人たちは忘れていないわけで、日本人がずっとまったく知らないままだった、というわけでもない。
 でも実話に弱いので・・・観てしまいましたが。

  海難P.jpg 1890年9月16日未明 全てはここから始まった――

 日本の天皇への親書を携えたオスマン帝国からの使節団は軍艦エルトゥールル号で危険を承知の長旅に出た。 一方、紀伊半島先端に位置する樫野の村では漁業を中心に村人たちは貧しいながらも懸命に生きていた。 西洋に留学経験のある医師・田村(内野聖陽)はそんな善良な村人の姿に心洗われながら、治療費の代わりに食料などを受け取りながら独自の勉学に励んでいた。
 決して交わることがないと思われていたこの二者が、稀に見る悪天候(台風と思われる)のため、樫野のすぐ先の沖で帰路を辿るエルトゥールル号が座礁・転覆することで接点を持つことに。 村人総出で捜索・救助に当たるも、生き残ったのは69名。 死者・行方不明者500名以上という大惨事だった。

  海難4.jpg このあたりのビジュアルはなかなかの迫力。
 基本、漁師の方々なので海で困っていたらなにをおいても助ける、という思想というか習慣が一貫しているところが観ていて気持ちがよい。 お金はないけどできるだけのことはしてやりたい!、という熱意は日本人なら大概共感できる部分なのではないだろうか。
 だからこそ、ある程度の事情を知っておきながらどれだけ手を打っているのかわからない明治政府や日本の海軍の動きに大変いらだつことに。
 生き残った一人、オスマン帝国海軍機関大尉ムスタファ(ケナン・エジェ)にもイラつかせられるが、彼はエリート出身というバックボーンが描かれているし、すぐ反省してくれるので「ま、いいか」という気になる。 1890年のパートが映画本編の7割以上を占めており、正直ここだけで十分だったんじゃないかな、と思えた。 1985年パートを観たあとは。
 その後、時代は飛んで1895年。 イラン・イラク戦争中のテヘラン、サダム・フセインが48時間後に無差別攻撃を開始すると発表した。 テヘラン日本人学校の教師・春海(忽那汐里)は生徒たちとその家族を脱出させるために懸命に働き掛けていたが、日本からは救援機が来ないことがわかり、日本人の間に絶望感が広がる。 そこへ、トルコが救いの手を差し伸べる・・・。

  海難2.jpg でもさぁ、テヘランが不安定な情勢だってことわかってるはずよね。 それなのに危機感のない旅行に来ただけ、的な日本人を描かれるとがっかり来ちゃう。 宅間孝行あまり好きじゃないから、すっごい無責任な役をやられて余計に腹が立つ。

 1985年パートのダメなところは、トルコを立てようとするあまりに日本人がものすごくダメダメに描かれている点。 そしてエルトゥールル号についてまったく言及されない点。 トルコ大使館職員としてケナン・エジェが再登場し、1890年パートにも医療助手として出ていた忽那汐里と“運命の再会”を果たしているんだけど、時間ないのに(「無差別攻撃まであと○時間」とタイムリミットを示す字幕何度も出るのに)、そこで見つめ合ってる場合か!、とツッコミを入れたくなってしまう。

  海難5.jpg そういう恋物語、いりません。
 実際、トルコ側は「恩返し」として政府判断だけではなく国民の後押しもあって救援機をもう一機出してくれたはず。 それには当時トルコに駐留していた商社マンの力もあったはず(勿論、そういうことになったいちばんの原因は当時のJALが組合のごたごたを含め機長も機体も出さなかったことにあるのだが)。 そのあたりのことは一切スルー。
 実話もので自分の知らないことが出てこない(むしろ、知っていることすら出てこない)映画って初めてかも!
 勿論、トルコの善意を疑うわけではないが、あのとき、相手が日本だから助けてくれたんじゃなかったんですか(トルコが親日なのはエルトゥールル号のことがあったから、と聞いていますが)。 まるで、どこの国の人であろうと困っている人を助けるのが人道的に当然、という描写にすり替わっており、「エルトゥールル号の縁は?」と何度も尋ねたくなってしまうスルーぶり。

  海難1.jpg 前半の懸命な救助作業が懐かしく思えてくる・・・。
 映画終了後、突然トルコのエルドアン大統領の談話が映されてあっけにとられる。
 これって、トルコの宣伝映画だったのか!

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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