2015年10月23日

Dearダニー 君へのうた/DANNY COLLINS

 ポスターを見たとき、上の人が誰だかわからなかった。 アル・パチーノ主演、という劇場の注意書き(?)を読んでびっくり!
 角度などの問題もあるけれど、アル・パチーノってこんな顔だった?! それを確認したくて観に行ってみた。 なんだかキャストも豪華だし。

  ダニーP.jpg 人生は何度でも輝く。 離した手も、またつなげる。

 往年の大スターとしてスタジアム級の全国ツアーをこなしてはいるが、出すアルバムはずっとベスト盤ばかり、という歌手のダニー・コリンズ(アル・パチーノ)は、そんな日々に安定を見出しつつ「これでよいのか」という気持ちもうっすらと抱えているが、今の路線から踏み出す勇気がない。 そんな頃、古い友人でもあり長年のマネージャーでもあるフランク(クリストファー・プラマー)からバースデープレゼントを渡される。
 中身は、43年前に書かれたダニーあてのジョン・レノンからの手紙。
 シンガーソングライターとしてデビューしたてのダニーが雑誌のインタビューで「この先、大ヒットを飛ばして有名になってお金持ちになり、今とまったく人生が変わってしまったらどうする?」という質問に対して不安を吐露した記事を読んだジョン・レノンが、その雑誌に宛ててダニーへの励ましの手紙を書いていたのだった(で、手紙はジョン・レノン直筆だとわかった当時の編集長がダニーに渡さず、レノンファンに売った)。
 富や名声を手にしても変わらずにいられる人と変わってしまう人はいる。 でもそれを決めるのは自分自身だ、というジョンからのメッセージを読み、「もしもこれが43年前の自分に届いていたら」とこれまでの人生を一気に振り返ってしまったダニーは、ツアーをキャンセルして人生をやり直そうと決意。 一度の火遊びでできた(そして一度も会ったことのない)息子トム(ボビー・カナヴェイル)に会いに行くことに・・・という話。

  ダニー3.jpg 大きな会場で観客を湧かせるダニーのエンタテイナーぶりの描写もあり。 だからいろいろ一般人の常識を超える行動の説得力にもつながる。
 今まで連絡もとっていない息子にいきなり会いに行ったって絶対拒絶されるに決まってるだろう、なのだが、住んでいる場所を知っているところを見れば息子をまったく気にかけていなかったわけではなかったらしい。 酒やドラッグにおぼれた時期もあったダニーに息子側が拒否をつきつけたのか? 母親に対する態度に腹を立てているのか? まぁどっちもあるよなぁ、と息子の気持ちをつい思ってしまったあたしだが、ともかく息子の家の近くの町のヒルトンホテルに長期滞在を決めたダニーは大スターオーラ全開でホテルの従業員たちや町の人々と接する。 あぁ、なんか息子が腹を立てる気持ち、わかるなぁ。

  ダニー4.jpg トムの妻サマンサ(ジェニファー・ガーナー)はできれば娘のためにも夫と父親には和解してほしいと願う。 娘におじいちゃんがいるというのはいいことだし、と。
 で、この孫娘、大変可愛いのだがADHDの要素があるということで普通の学校にうまくなじめない(男の子ではっきりADHDの子の行動に比べればかわいいもんだとあたしは思ったが、それはこの年齢での話)。 両親とも娘を落ち着かせる工夫をしてはいるものの、実はサマンサは第二子妊娠中。 この先の苦労を思うと・・・のサマンサに対してダニーは国内で最高の学校に孫娘を入れる手配をさっさと済まし、サマンサを味方につけてしまう。
 そんな金とコネをフル活用のダニーが嫌味に全然見えないのは、それがこれまでの大スターとしての当たり前の生活だからなのですね(自分が特別扱いされることもあっさり自然に受け入れるし)。 住む世界が違う、ということをこんなにチャーミングに見せられたらぐうの音も出ないというか、そのあたりはアル・パチーノのチャーミングさが十二分に発揮されております。

  ダニー1.jpg となるとトムも、怒っている自分に疲れてきちゃう。
 ボビー・カナヴェイル、久々にいい役きたな!、という感じでうれしくなる。 彼とはテレビドラマ『サード・ウォッチ』あたりからのお付き合いですが、映画ではこれまで結構チンピラ的な役が多かったし、ちゃんと人間ドラマにもはまれる人なんだ!、と見せてもらえたのはとてもよかったです。
 チャーミングさ故に見えにくいけど、結局は金と力で人間関係も買う話なのかと思いきや、ダニーの苦悩は息子との関係修復だけではなくそもそもアーティストとして、音楽と向き合う自分の姿勢の問題が根本。 ダニーの名声にも動じないホテルの支配人メアリー(アネット・ベニング)とのやりとりでそれが浮かび上がってくる。 ヒット曲は人に書いてもらったものだし、長年自分では曲づくりをしていないことがいちばんのコンプレックスであるダニーの思い悩む姿に寄り添うように、ジョン・レノンの曲がかぶさる構成はベタであるが上手い。

  ダニー2.jpg そしてクリストファー・プラマーがわかりやすくかっこよすぎ!
 ほんとにダニーはダメなやつなのだけれど、まわりに魅力的な人物がいて結果的に彼を見捨てていないということは、やはりダニーにもいいところはあるのだということで。
 自分の人としての“価値”はもしかしたらいざというときに自分を支えてくれる人の存在で決まるんじゃないか、と思わずあたし自身も自分の構築してきた人間関係について考えてしまいましたよ。
 そしてやりすぎないラストシーンがまた素晴らしいのでした。
 でもその感動にじわじわ浸ろうとしていたエンドロールで、「43年前のジョン・レノンからの手紙が自分のもとに届いた」という部分だけが実話ということを紹介する、手紙を受け取ったご本人の談話が流れ・・・おいっ、それはまた別の話でしょ!、と感動がぶっ飛んだあたし。
 せめてもう少し余韻に浸る時間を与えてくれよ!
 あぁ、そこだけ残念だった・・・。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック