2015年06月22日

夜が終わる場所/クレイグ・ホールデン

 かつて、新刊として本屋の平台に並べられていた頃(2000年くらい?)、この表紙の禍々しさを越えた“悲しみ”とかっこいいタイトルセンスにぐっときたものの、その当時は今ほどおカネがなく(今もそうあるわけじゃないが)、何度か悩んで結局買わなかった本のことをふと思い出したので、図書館に出向いた。
 10年以上ぶりかの再会だったが、やはり素敵な表紙であった。
 警官である“おれ”、マックスは幼馴染であり警官でもあるバンクとコンビを組んでおり、いつもと同じような朝を迎えていた。 そこへ少女失踪の一報が入る。 実はバンクの娘ジェイミーも7年前に行方不明になったままで、この事件にバンクが入れ込むことは“おれ”にはよくわかっていた。

  夜が終わる場所.jpeg 原題:FOUR CORNERS OF NIGHT

 4部構成なのだが、時間軸がびっくりするくらい変動する。
 少女・タマラの失踪事件が現在進行形の主軸となるが、その合間に“おれ”の回想として7年前の事件、その後の経過、少年時代、ジェイミーが行方不明になる前の出来事など、しばらく読んでいかないと語られている場面がいつのことなのか「???」になる。 だから前半は結構読みにくいということを覚悟の上で。
 ジグソーパズルのピースをはめていくように、というと大袈裟だが、あえて時間の流れをわからなくさせているんだな!、と意識しながら読めば結構わかってくるから不思議。
 わざわざこういう手法をとるということは、マックスが忘れている・深層心理に閉じ込めた“何か”が真相に近付く手がかりになるはず。 意図せず、彼は<信頼できない語り手>となっているのであろう。
 だからこそ、怒濤のようにすべてが集約する第4部の進みの早いこと!
 人の心にある闇は夜より暗い、というのは誰の言葉だったか。 『夜の終わる場所』とは心の闇の終わりをも意味するのか。 『クリミナル・マインド』を毎週見ていてある程度わかっていたつもりだったが、ほんとにアメリカの虐待問題は洒落にならない。 日本も似たような問題を抱えてはいるんだけど、ここまでひどくないと思いたいよ・・・。 アメリカの非行問題はクスリと売春と町のギャング的なものがほぼ絡むから手に負えないのだが(あと銃と)、とりあえず銃が規制されているだけ日本はまだましであろう、と思いたい、そんな話であった。
 あたしが表紙から感じた“悲しみ”は全編を貫くテーマでもあった。
 扶桑社にしてはいい装丁だ、とあらためてしみじみ思う。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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