2015年06月19日

誘拐の掟/A WALK AMONG THE TOMBSTONES

 リーアム・ニーソンはそんなに好きではないよ、と公言しているあたしですが、なんだかんだ言いつつ彼の主演作を結構観ております。 しかも今回はほぼ同時期に主演作が2本日本公開・・・宣伝数も上映館も上の『ラン・オールナイト』はエド・ハリスも出てるけど、どうも『96時間』っぽいので、どうせなら宣伝も地味なこっちを選ぶことにする。
 ローレンス・ブロックの<マット・スカダー>シリーズの一編ですし、ミステリファンとしてもこっちを選ぶよ。
 ときどき、思い出したように映画化される<マット・スカダー>シリーズですが、映画としてはシリーズ化前提とされていないことが多く、多分これも単独作品として企画されたものでしょう(というか、映画化権が売れた、という話は出るけど実現までこぎつけることが少ない、みたいな・・・)。 原作よりも時代設定はより現代になってるし。
 結構前に観た『八百万の死にざま』ではキレまくりのアンディ・ガルシアのほうが印象に残ってて、誰がマット・スカダーだったのか覚えていない有様(調べましたところ、ジェフ・ブリッジズでした)。

  誘拐の掟P.jpeg 誘拐犯に告ぐ。 殺したら、殺す。

 1991年、NYの警官であったマット・スカダー(リーアム・ニーソン)は有能ではあったがアルコールのトラブルを抱えていた。 非番の日に行きつけの酒場でいつものように酒を飲んでいたところ、店に強盗が入りバーテンダーを射殺。 追いかけたマットは犯人たちを射殺&逮捕するところがオープニング。 そして1999年、マットは警察を辞めており、断酒会に8年通いつつ無免許の私立探偵としてどうにか生計を立てている。
 ある日、断酒会で知り合った(というか、一方的に向こうが覚えていた)男から、「弟の妻が誘拐された」と相談を受けることに・・・という話。
 もともとリーアム・ニーソンは演技派俳優なので、アクション偏重映画にばかり出るのはもったいないなぁ、とも思っていたので(まぁ、最近仕事を選んでない感があるのはある事情のせいで仕事を切らしたくないんだろうなぁ、とあたしが勝手に推測している部分もあるが)、「多くは語られないがなんとも言えぬ過去を背負った男」として登場するのはとてもよい。 これぞハードボイルド!、って感じ。

  誘拐の掟1.jpg 今回は彼の立ち姿のかっこよさに感銘を受ける。

 なにしろ原作の時代が時代なので(とはいえ原作『獣たちの墓』をあたしは未読なのですが)、携帯電話の登場の仕方も最初は無理がある感じ。 しかしマット本人がそういうテクノロジーには一切背を向け、元警官であることも頼りにせず(聞き込みの際には昔のバッジをちらつかせるが、組織としての警察をあてにしてはいない)、彼を気にかけてくれる美人秘書もいないし、安全策もとらずにどんどん事件に首を突っ込んでいく過程は「いのち知らず」という言葉だけでは表現できず、実はそもそも彼は生きることに希望を持っていない人なのだ、ということが台詞なしで伝わる。 そのへんがリーアム・ニーソンでよかったなぁ、と思ったポイント。

  誘拐の掟2.jpg 図書館で過去の新聞をフィルムで調べていて、うまく操作できずに困っていたところ、助けてくれたのがTJ。
 このTJくん、インターネットでささっとほしい情報を調べてくれるのだが、ホームレスだし少年だし、しかも鎌形赤血球貧血症という、探偵助手としてほぼ役に立たない条件持ちなれど、互いに孤独で意地っ張り(他者をあてにしない)という根本的な何かが同じだからでしょうか、はっきり言葉には出さずとも、お互い気にかけ、気にかけられるというさらりとした関係性もよし(しかも意外と活躍するし。 だからこそ最後のほうでマットがTJに語る内容がしみるのである)。
 で、肝心の事件ですが・・・これがなかなか気合の入った猟奇ぶり(直接描写はないが、観る側にリアルに想像させるえげつなさである)。 犯人も途中から登場するのでそういう意味での意外性はありませんが、「異常者を相手に一体どうするのか」というのが結構見どころかと。
 ただ、「あ、そこ、気を抜いちゃダメじゃん!」と叫びたくなるところが何ヶ所もあり・・・それはマットの無謀さ故なのか、油断しているからなのか、あたしが感情移入しているせいなのかどれでしょう。 全部かも・・・。

  誘拐の掟3.jpg 誘拐事件で私立探偵を雇う(つまり警察に行けない)ということは・・・後ろ暗いみなさんだから。

 『誘拐の掟』とは、「身代金を払ったんだから人質は無傷で返せ。 さもなくば・・・」ということかな? そう考えると意外にキリスト教的説教臭さも見えてくるのですが(登場人物の内、誰が死ぬのか、生き残るのかで判断しても)、まぁ、基本的にマット・スカダーものは“皆殺し”感が強いイメージなので映画独特のものなのか、それともあたしがシリーズを読んで感じ取れなかった部分なのかどっちだろ、と悩み、原作が読みたくなりました。
 とっても緊迫感にあふれた、とても素敵なB級映画(褒めてます)。 もう一作ぐらい、リーアム・ニーソンでマット・スカダー作品、撮ってもいいかも。
 映画終了後、売店で『誘拐の掟』のパンフレットを買っていた女性二人組が「なんであんなにかっこいいんだろうねぇ」、「奥さん、いるのかなぁ」、「明らかにいるでしょ!、普通」、「あんなかっこいい旦那、ほしいわぁ」と喋っているのが聞こえて・・・あぁ、普通にリーアム・ニーソンのファンはいるのか(枯れ専?)、と思いつつ、あのことはあまり知られていないんだなぁ、とため息。 まぁ、俳優として私生活の背景は知られない方がいいもんね(あたしだって知りたくなかったよ。 だから『ダークマン』の続編を断ったときの恨みが薄れてきた感があるし)。 しかも最近、吹替版を石塚運昇さんが担当することが多いので・・・嫌う要素が更に減ってきちゃったよ。
 実は好きなのか?! 今後は、そのあたりを意識していこうかしら。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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