2015年05月28日

ベルリン・レクイエム/フィリップ・カー

 ついに読み終わってしまいました、<ベルリン三部作>の掉尾を飾る『ベルリン・レクイエム』
 時代は1947年、ナチス・ドイツ崩壊後のベルリン。 前作からの時間の経過が街にも、グンターにも大きな変化をもたらしている(女好きだが女運の悪い彼が結婚していたりとか!)。 とはいえ、この物語の舞台の大半はウィーンで、「遠くにありて故郷を思う」的感じになっておりますが。

  ベルリン三部作3ベルリンレクイエム.jpg ベルリンの壁が築かれるのは、あまり先のことではない。

 勿論、これ一冊を単独で読んでも楽しめるとは思いますが、一作目・二作目と段階を踏んでいった方が楽しめるのは間違いないです。 戦後、闇屋のような生活をしていたベッカーがアメリカ人将校殺害の罪でウィーンで拘留されているから助けてほしい、とグンターのもとに依頼が来るのがウィーン行きのきっかけだけど、『砕かれた夜』を読んでいる方がベッカーという人となりを理解できているし、げんなりしつつも引き受けるグンターの性格もまた、いろいろあっただろうに変わっていない部分は変わっていないのだと感慨深い。 他にも、「おぉ、この人!」とシリーズ通じて登場する人との再会やら近況報告があります。
 尋問される過程でグンターが前作以降どう過ごしていたのか語られる構成は無駄がないというか、物語上必要でもあり、読者の知りたい好奇心を満たしてくれる一挙両得感があり。 そして、「戦後をドイツ人として生きること(何故ナチスを止められなかったのか、という目で今後外国人から同じように見られるだろうこと)」を自身の十字架として背負う覚悟を固めるグンターの姿は、多分日本人にも通じるところはあるような気がして・・・(しかし日本は今尚、言われておりますが、現在のドイツ人はそんなに言われていない気がするのだが)。 そのへん、なんだか微妙な気持ちになってしまいました。
 しかし、この当時、グンターものの続編を書けと言われた出版社とケンカ別れした著者が、のちのち4作目を書くことになるわけで・・・そのあたりの過程を『変わらざるもの』の訳者あとがきかなんかで確認しないといけませんね(本棚のどこに置いたのか、まだ見つかっていませんが)。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック