2014年10月18日

リスボンに誘われて/NIGHT TRAIN TO LISBON

 ジェレミー・アイアンズ、好きです。
 あたし的には『ダメージ』で全裸で螺旋階段を全速力で駆け降りる場面、『戦慄の絆』の静かな背徳など、狂気と正気の境目をあやうく歩いているようなイメージが似合う役者。 でもだんだんお年を召してきて、いい人っぽい役も増えてきましたけど、こっちはどっち?、と思って確認にきました。
 まず舞台はスイス、それからリスボン(ポルトガル)へと移るけれど、全編主要な台詞は英語。 なんとなく違和感・・・。 勿論、現地語を話す人々も出てはくるが、メインキャラではない。 ヨーロッパ各国の代表的な俳優が出演、という豪華さは勿論あるが、英語か・・・。

  リスボンに誘われてP.jpg ページをめくるたびに、人生が色鮮やかに輝いていく。

 スイス・ベルンの高校で古典文献学を教えているライムント(ジェレミー・アイアンズ)は孤独で毎日同じような生活を続けているが、特にそれに不満などを感じていなかった。 ただただ淡々と繰り返される日々。 が、ある日、通勤途中の橋で川に身を投げようとしている女性を目撃、あわてて助けるが、彼女は赤いコートを残して姿を消す。 そのコートのポケットの中に一冊の本を見つけたライムントは、その内容に1ページ目から魅了され、著者であるアマデウ(ジャック・ヒューストン)に会いたくなってリスボンへの夜行列車に飛び乗ってしまう・・・という話。
 原題は“NIGHT TRAIN TO LISBON”、邦訳の原作本も『リスボンへの夜行列車』なので、『リスボンに誘われて』というタイトルがすんなり出てこず。 「あれ、『リスボンに魅せられて』だっけ?」と見に行く当日でも混乱。 シネ・リーブル神戸のカウンターにある<本日上映表>を見ながらチケットをお願いするという事態。 思い込みが激しいとこういうことになる。

  リスボンに誘われて3.jpg そもそもチケットも本に挟まってたものだし。
 しかし、いざ動き出したライムントの思い込み(?)もなかなか激しい。 アマデウの家を訪ねたり、彼がもう生きていないと知ると関係者に次々会って、更に彼の素顔を追いかける。
 アマデウの手記が書かれていたのは1970年代。 ポルトガルでも独裁政権が大手を振って歩いていた、と知るのは「ポルトガル、お前もか〜」と思うと同時に、自分の世界史(特に近現代史)の知識のなさに毎度のことながら愕然とする。 でもその時代の描写はどこかで見たことがある感じ。 結局、どこの国でも圧政下の人々の生活というものは同じようなものになってしまうということか。

  リスボンに誘われて5.jpg 今のリスボンはこんなにも美しいのに。
 だがアマデウへの理解が深まるにつれライムントも、どんどん変化していく。 くすんだ服しか着ていなかったのに、現地でお洒落なシャツなど買ってしまうほど。 冒頭の冴えない風情のライムントでもあふれ出る知性の持ち主だと一目でわかってしまったけれど、外見も更にこざっぱりしてしまったらすっかりかっこいいじゃないか!
 シャーロット・ランプリング、クリストファー・リー、ブルーノ・ガンツと大物が続々と出演する中、メラニー・ロランがファム・ファタルとしてとても印象に残る重要な役を。 彼女がいかに期待されているか、それに応えられる実力をつけてきているか、ということが感じられた。
 なんとも全体的に完成度の高い映画で、文句のつけようがないですよ。
 この感じは『瞳の奥の秘密』(アルゼンチン映画)を見たときの感じに近いくらい。 ただあっちは重たくて何日も引きずったけれど、こっちはなんだか穏やかな気持ちになって、自然と微笑んでしまう内容で(でもそれはラストシーンの効果なんだけど)。
 さすがビレ・アウグスト、巨匠と呼ばれるだけのことはあるね! でも『愛と精霊の家』では結構手ひどく打ちのめされましたけどね、あたし。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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