2014年07月25日

超高速! 参勤交代

 これはもう、タイトルが秀逸なのと、予告編のかなりばかばかしい出来(褒めてます)に「こいつは面白そうだ!」と思って、珍しくも友達を誘って見に行った。
 期待にたがわず、大変ばかばかしくて面白くて笑えて、更に思いのほか深く心を揺り動かされました。

  超高速参勤交代P.jpg このミッション、インポッシブルです!

 時は江戸、8代将軍徳川吉宗の治世。
 東北の小藩にしすぎない湯長谷藩は参勤交代からやっと帰ってきたところ。 藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)をはじめとしてみな地元の気軽さを満喫していたさなか、幕府から再び5日で参勤交代せよとの命が下る。 通常でも8〜10日かかる行程、しかも戻ってきたばかりで資金もなく頭を抱えるが、幕府の指示にそむけばお家断絶・藩はお取り潰しは免れない。 知恵者の家老・相馬兼嗣(西村雅彦)以下、少数精鋭で再び参勤交代に出向くことを内藤政醇は決意する・・・という話。
 まぁ、この無理難題は私腹を肥やしまくる絵にかいたような悪い老中・松平信祝(陣内孝則)の策略によるもので・・・という、善人と悪人が一目でわかる王道の時代劇的親切設計。 この陣内さんの悪役芝居が笑っちゃうほど似合っていて素晴らしい(演じていても楽しそう)。

  超高速参勤交代1.jpg 湯長谷藩はほんとに小さな藩なので、殿様や家老、各種お役目を持つ武士から農民に至るまで、身分の差を意識しない交流が常である。

 そのほのぼの感が大変いい感じなのだ。 江戸家老が近藤公園さんだったり、若くて気が弱そう・無骨すぎそう(に見えても)少数精鋭、それぞれが一騎当千を自負するなど人材はなかなか粒揃い。 しかしその本当の実力を発揮するのは相当に追い込まれた時だったりするんだけど、世界に通用する最先端技術を扱う現代の小さな町工場ってこんな感じ?、と思わせるものも。
 そんな藩士たちの中には寺脇康文・六角精児もいて、「あ、『相棒』つながり」(西村雅彦も一時期セミレギュラーでしたしね)、とニヤリ。 というか伊原剛志や石橋蓮司も『花子とアン』つながりだし、佐々木蔵之介つながりなのか市川猿之助も出てるし、キャスティングもあたし好みだったです。
 そしてそんな役者の個性がきっちり引き出される配役がよかった!
 久し振りに西村雅彦のいいところがすごく出てる役を見たよ!、というヨロコビに満ちております。 いやー、よかった!

  超高速参勤交代5.jpg 六角さんが軽くお笑い担当なのもお約束。

 少人数で装備もなく、いかに“参勤交代”するか、の知恵はばかばかしくも涙ぐましくもあり。 でもそこには「袖すり合うも多生の縁」や「情けは人のためならず」があって、よりほのぼのするのであった。
 かといって単純なお気楽コメディなのかといえばさにあらず、民や人の命がかかっているという局面ではのんきなお殿様も人を斬ることをためらわず。 そこらへんが武士の世界の厳しさをしっかり伝えてよこすわけで。
 そして、湯長谷藩は磐城国に位置する。 チラシを見たときからもしかして、脚本家は原発事故後にこれを書いたのかな、と思っていたのだが、ある人物から発せられる「磐城の土を未来永劫穢してはならぬ」という一言に、あたしは胸を打たれたのでした。
 現代劇で東日本大震災や福島第一原発事故を描いたものよりも、各種イデオロギーがまじりあうドキュメンタリーを見るよりも、痛快娯楽時代劇として描かれたこの映画のほうが、そのメッセージは強くて鋭い。 さんざん笑っていたのだけれど、泣きそうになってしまった(ただ関西のお客様にはこれがどこまで伝わっているのかは不明・・・)。
 「落ち武者、面白かったわ!」な感想だけで終わらないことを願う。
 いや、落ち武者には大爆笑なんだけどさ。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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