2014年03月29日

おそるべき親たち@シアター・ドラマシティ

 お久し振りの演劇鑑賞。 登場人物が5人、うちひとりが麻実れいと知り、できれば見たいなぁ・・・とだいぶ前から予定を組んだ。 しかもとったチケットは中央の2列目という素晴らしいポジション。 3月の末、これがあたしの春休み!
 ジャン・コクトーといえば『恐るべき子供たち』のイメージが強いのですが・・・その大人版も書いていたとは知らなかった。

  おそるべき親たちP2.jpg “LES PARENTS TERRIBLES” by Jean COCTEAU

 物語の中心はある家庭。 <ジプシーの家>と自ら揶揄する片付けの苦手な妻イヴォンヌ(麻実れい)と夫のジョルジュ(中嶋しゅう)。 イヴォンヌの姉・レオ(佐藤オリエ)は片付け上手のしっかり者で、おじの遺産の管理を任されつつ妹夫妻と同居して世話をしている。
 実はジョルジュははじめレオと婚約していたのだが、心変わりしたジョルジュはイヴォンヌと結婚した、という過去がある。 夫妻の一人息子ミシェル(満島真之介)をイヴォンヌは溺愛しており、ミシェルの初めての無断外泊により心配で何も手につかない、という状況から舞台はスタートする。 実はミシェルは恋人マドレーヌ(中嶋朋子)の家に泊まったのだが、のちのち、マドレーヌはジョルジュの愛人だということが分かる。
 そんなドロドロ設定が、途中から爆笑の渦をもたらす心地よさ。
 黒い舞台装置、黒い衣装でイヴォンヌ・レオ・ジョルジュが登場したときは「大丈夫?」と思ったのだが、舞台上にある蝋燭が話の進行に応じて灯り、照明で陰影をつけることで輪郭が際立つ。 その中で、全身白を着たミシェルの登場で一気に物語も感情も動くわかりやすさ。
 登場人物の関係性は全部台詞からわかるのだが、説明台詞になっていないのはやはり役者の力量のよるものだろう。 ま、シェイクスピアほど多くはないので、観客も難しいと身構える必要もない。
 人間のうちに潜むいくつもの仮面の正体。 本人たちにとっては必死なことでも他人から見れば滑稽でばかばかしい。 けれどそんな要素は多かれ少なかれ自分の中にもある・・・という戦慄は、ラストシーンで明かされる実にコクトーらしい“退廃”をより明確に浮かび上がらせる。 結果的に「ぞーっ」としたわけです。
 あぁ、ものすごく演劇らしい演劇を見た。
 麻実れいはやはりゴージャス。 スタイルがよい上に細くて長い手足にも長丁場の舞台に十分耐えられるだけの筋肉が張りつめているのがわかり、なんだかどきどき(こういうのが前列で演劇を見る特権!)。
 このメンバーの中では満島真之介がいちばん若くてキャリアも短いけど、バカすれすれの純真さを持つミシェル(勿論、その純真さもまた歪んでいたのだとあとからわかりますが)をとてもキュートに演じていて、「姉弟でこんなに芝居がうまいってなんなの!」とあとからえむさんと語り合ってしまうほど。 逆に、この経験が絶対彼の財産になる、ブレイク過程の若手を見るヨロコビだよ!、とも盛り上がれるわけですが。
 そんなわけで、ジャン・コクトーもまた追いかけ直してみたいなぁ、と思ってしまった。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・演劇・芸術・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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