2013年12月27日

時間旅行者の系譜/ケルスティン・ギア

 ドイツでベストセラーのYA(ヤングアダルト)小説、三部作(といっても普通に続きもの)。
 タイトルは『時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜』と読んでください。
 一作目『紅玉(ルビー)は終わりにして始まり』というタイトルの響きが気に入って読んでみることに。 一瞬驚いたのは、作者はドイツ人なのに舞台はイギリス・ロンドンであること。 そうか、YAジャンルとは日本にとっての少女マンガを持たない国々にとって同じ役割を果たすものなのね(その分、日本ではYAは定着しきれてない感があるな・・・児童書ではないしライトノベルとも少し違うし、ジュブナイルなら近い気はするが、一般書の範囲が広すぎるのかもしれない)。

  時間旅行者1ルビー.jpg 『紅玉(ルビー)は終わりにして始まり』
 語り手・あたしことグウェンドリンはタイムトラベラーの遺伝子を持つ者が出現する家系。
 実際はいとこのシャーロットが継承者と目され、タイムトラベラーとしての勉学や訓練に励んでいて、グウェンドリンは幽霊が見えて会話ができるという特殊能力を持っていることもあり(誰も信じないけど)、一族の中では半端者扱い。 家族だけがグウェンドリンのよき理解者、あと親友のレスリーもね!
 ある日、学校のカフェテリアでめまいに襲われたのがそもそもの始まり。 突然過去に飛んでしまって・・・自分がタイムトラベラーなんて!、と驚愕するグウェンドリンの現代の女子パワーが炸裂するお話。

  時間旅行者2サファイア.jpg 『青玉(サファイア)は光り輝く』
 アリストテレスの時代からタイムトラベラーの出現時期は予言され、<監視団>という秘密結社的なグループが存在し、タイムトラベラーが歴史に干渉しないように動いている(なんと創始者はサン・ジェルマン伯爵!)。 もう一人のタイムトラベラーであるギデオンは気絶しそうなほどステキなんだけど、あたしのことなんかばかにしてる。 あたしだって好きでタイムトラベルしてるんじゃないのに!、シャーロットがやればいいじゃないの!、というグウェンドリンの不平不満はたまりまくって、すべては秘密と監視団に言われていても親友のレスリーには当然なんでも話してしまう。 そしてレスリーもグウェンドリンのために監視団の歴史や他のタイムトラベラーのことなどを調べ上げ、協力!
 時代を決めたタイムトラベルにはクロノグラフと呼ばれる特殊な道具が必要なのだけれど、それにタイムトラベラーたちの血液を読みこませないと作動してくれない仕組み。 遺伝子を持つ12人全員の血を読みこめば円環は閉じると古く言い伝えられてているが、その意味はなんなのか?、など謎はいろいろあるのだが(2つあるクロノグラフのうち1つを持って過去に逃走しているトラベラーもいるし)、グウェンドリンにとってはギデオンの一挙一動のほうが気がかりだという・・・。 乙女心はジェットコースターなんです。

  時間旅行者3エメラルド.jpg 『比類なき翠玉(エメラルド)
 と、ドタバタロマンティックラブコメでありながら、すれ違いタイムトラベルものとしてのサスペンス加減も維持(タイムパラドックスについては深く言及されていない)。
 たとえばグウェンドリンが初めて18世紀にタイムトラベルしたとき、今の彼女にとってはそれが初めての18世紀なのだけれど、未来の彼女がそれより少し前の時間に時間旅行していれば、初めて訪れた場所で彼女は自分のことを知っている人に出会ったりしてしまわけで・・・そんな記憶は全然ないのに。
 そういう、未来の自分が勝手なことして今の自分に迷惑がかかる、自分のしていることなのに理解できない奇妙さ。 何故こんなことが起こるのかを追いかけていくうちに結局自分も同じ行動をしてしまっている不思議さ。
 「卵が先か鶏が先か」みたいなことを矛盾点なくまとめきったのはすごい!
 ドイツでは売り上げが『ハリポタ』を越え、当然のように三部作で映画も公開されているようなのだが・・・そんな噂、全然日本に入ってきてないんですけど。 ギデオンなんかちょっと前のキムタクにやらせたがる人、多かっただろうに、というキャラクターだし。
 あたしはタイムトラベル先の風俗に合わせた衣装をつくり、かたくなに着こなしの決まりを守らせたがる女史が大好き!
 ほんとに少女マンガにありそうなありそうな話だもん、うまく仕掛ければ『トワイライト』より売れるよ!

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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