2013年04月21日

アンナ・カレーニナ/ANNA KARENINA



 冒頭、スクリーンには舞台が映り、幕が上がれば<1874年 帝政ロシア>の文字。



 むむっ、これって舞台劇の趣向? これまで何度も映画化されてるロシアの文豪作品と



なれば新しい手法を使いたい気持ちはわかるが、他の作品を見たことがない人もいる



わけだし(しかもあたしは原作も読んでませんよ、あらすじはなんとなく知ってるけど)、



この実験的要素が吉と出るか否か。



   時代を駆け抜けた、美しくも激しい運命の愛が、現代によみがえる――。



 政府高官の職に就くアレクセイ・カレーニン(ジュード・ロウ)の妻であるアンナ・カレーニナ



(キーラ・ナイトレイ)はロシア社交界の花。 ある日、浮気者のアンナの兄の浮気がまた



ばれて、嘆き悲しむ兄嫁のためにモスクワへ向かうことに。 列車の中で知り合った貴族の



女性と親しくなったアンナは、彼女を迎えに来た甥の青年将校アレクセイ・ヴロンスキー



(アーロン・テイラー=ジョンソン)とモスクワ駅で出会ってしまい・・・という話(この頃は



ペテルブルグが主都?なので、モスクワは田舎扱いです)。



 あー、キーラ・ナイトレイはコスチュームプレイが似合いますねぇ。



   とはいえ、目があやしい。



 もともとが長い話なので、場面転換や時間の経過をあらわすのに舞台的な装置の



動かし方を使う、というのは面白いんだけど、面白いだけにコメディ要素がどうしても



つきまとい、大悲恋メロドラマというこの映画の本筋にふさわしいのかどうなのか。 脚本



そのものは正統派なので、むしろ同じように正統派の演出で攻めたほうが悲劇感がより



強まったのではないか、と思ったり。



   鏡を多用したカットも、内省:神の前に立つ

    自分、を現わしているのか。 このダイヤのネックレス、見たことあるような。



 アンナは息子を愛してはいるが、夫との生活は愛がないものと思っているらしく、兄嫁を



慰めながら自分自身が抱える空虚さに思いを馳せている・・・のだけれど、その空虚さが



具体的に見ているものに伝わらない。 時代が違うせいもありましょうが、仕事をせずに



贅沢な生活ができているのに(ロシアの労働者の姿だって彼女は見ているのに)、その



ことに対する感謝の念はないのか! で、結局ヴロンスキーとの逢瀬にのめり込んでいく



わけなんだけど、夫と愛人の名前が同じってどうなの? アレクセイとはよくある名前で



しょうが(愛称はアリョーシャだったよ)、そこはトルストイの皮肉?



 ヴロンスキーがアンナと出会う前にお付き合いをしそうだった女性・キティ(アリシア・



ヴィキャンデル)がヴロンスキーに振られ、でもずっとキティを思っていた地方の地主



リョーヴィン(ドーナル・グリーソン)を受け入れていく過程はアンナをめぐる展開よりも



ずっと地に足がついていて好感が持てた。 リョーヴィンは地主だけれど小作人たちと



一緒に農作業をする人だし、名家の娘であるキティも自分から動くことを厭わないよく



できた娘・妻になっていく。 この二人のエピソードがなかったらこの映画は死ぬほど



退屈だったかもしれない(まぁ、原作で描きたかった本質はこっちの方なんでしょうけどね)。



   冴えないオーラを醸し出すジュード・ロウ。



 <自分らしく生きたいだけなのに、時代がそれを許さなかった>と描きたいのだろう



アンナの姿。 しかしキティに比べたらただのメンヘラ女にしか見えないんだけど〜、どう



しよう?!、と別の意味でハラハラしてしまいました。 そもそも、二人が初めて会う場面が



<運命の出会い>って感じがしなかったし。



 アーロン・テイラー=ジョンソンも『キック・アス』のときに比べたら成長した感はありますが、



一目で心を奪われる美丈夫かどうかと言われれば・・・どうでしょう(だって、夫はハゲて



きてるとはいえジュード・ロウですよ!)。 カレーニンはただただ不器用なだけで、彼は



彼なりにアンナのことを愛してるじゃないか・・・そこも時代ですよ、なんか不憫。



 衣装や宝石類はとても豪華だし、それを楽しむのも手ですが。



 ラストシーンは、「なんか、ここ、読んだことある!」と気づく。 大学入試用の国語の



練習問題で、出てきたかも・・・と思い出し、やたら現実に引き戻されるのであった。


posted by かしこん at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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