2013年03月30日

イギリスと北欧のミステリは今熱い!(あくまで主観)



夏の記憶/ピーター・ロビンスン



 アラン・バンクス主席警部シリーズ第二弾。



 今回は町中の事件ではなく、中心街から15マイルほど離れたキャンプ場やら丘陵



などがある場所で、石垣の中に男性の死体が埋まっているのが発見される。



   ここは荒野が表紙でもよかったような。



 そこから村の人々の心が波立ち、関係性が通り一遍ではないことが浮かびあがる。



 思わぬものを目撃してしまい、そのことにおびえるよりも自分の力で事件を解決したら



有名になってこんな田舎から出ていけるのに、と考えてしまう若い娘の気持ちがせつない。



その結果、出てしまう行方不明の人物を探すのに、グリスソープ警視は20年以上前の



事件を思い出す。



 ブレイディとヒンドリー、『荒れ地連続殺人事件』。



 そんなにもイギリス本土では衝撃的な事件だったんだなぁ、と感じいる(余談ではある



が、FBI行動分析課はゾディアック事件の模倣犯としてサカキバラ事件を分類している



らしい)。



 タイトルの『夏の記憶』はこの年の夏だけではなく、そもそもの始まりだったと言える



10年前の夏のことでもある。 誰もが抱く誰かへの印象が重なり合ってその人物の



実像に近いものをつくっていくけど、でも些細な誤差の積み重なりが虚像をつくっていた



のなら? 見えているものはどこまでが真実に近いのか。



 地味なれど、古き良きミステリだな!、という手ごたえを感じました。





冬の灯台が語るとき/ヨハン・テオリン



 スウェーデン南東部に、海岸線に沿うようにして浮かぶエーランド島が舞台。



 最も近い都市はカルマルで、ストックホルムとマルメのちょうど中間地点ぐらいにある。



島はバルト海に面していて、冬は海が凍るしブリザードもやってくる。 スウェーデンと



いっても、広いなぁ。



 なんかもう、今のシチュエーションだけで心惹かれる。



   表紙の味わいも好き。



 ストックホルムを離れて、近くに灯台のあるこの島の家に越してきたヨアキム一家。



 この家族には悲しい過去があったが、それを振り切るために新しい生活を出発させた



のに、またしても悲劇が・・・。



 この古い屋敷には幽霊伝説があり、それがキワモノとしてではなく物語にうまく入り



込んでいるというか、不思議な抒情性を全編に漂わせる効果をもたらしていて素敵です。



 ほんとは『黄昏に眠る秋』から続くエーランド島四部作らしいのですが、主要人物が



違うので(探偵役になる人だけが同じっぽい)どこから読んでも大丈夫らしい。 実際、



この話の中では『黄昏に眠る秋』に関しての言及はなかったみたいですし。



 雰囲気だけで十分に読ませる作品なんだけど、最後にはしっかりミステリとしての



解決が提示されていて・・・なんだかいきなり現実的になってちょっとびっくりした。



 幻想文学的にまとめてもよかったのかもしれない。 もうひとつの主役は時の流れと、



過去の死者たちだもんね。


posted by かしこん at 07:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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