2013年03月24日

ムーンライズ・キングダム/MOONRISE KINGDOM



 どちらかといえば『ダージリン急行』よりは『ライフ・アクアティクス』に近いかも、という



印象を受けた、ウェス・アンダーソン新作。



 オープニングから全体的にレトロ〜、小道具や建物の色遣いがかわいくて、またも



マーク・ジェイコブズが絡んでいるのかしらと期待すると、物語設定が1960年代と判明。



 レトロでキュート、そんなキーワードでまとめられる佳品でした。



   12歳、サムとスージーの“駆け落ち”がみんなに魔法をかけました。



 1965年、舞台はアメリカのニューイングランド沖に浮かぶ全長26kmの小島、ニュー



ペンサンス島(が、島そのものは小さいのだが歩ける道はたくさんあることが示唆されて



いる)。 この年は大型の台風に襲われたのだと妖精的扮装のおじいさんがまずはカメラ



目線で語る。 ということは回想なんですか? 誰から誰への? そんな疑問はどうでも



いいように話は進むのであります。



 自分の家がうんざりなスージー(カラ・ヘイワード)と、島にボーイスカウトの訓練に来て



いるサム(ジャレッド・ギルマン)は今を去ること一年前にお互いが同じように孤独である



ことを出会った瞬間に感じ取る。 そして今日、二人は駆け落ちをするのだ!



   個別にはかわいくないが、トータルでキュートな彼ら。



 サムが朝食の席に現れなかったと気づいたボーイスカウト隊長(エドワード・ノートン)は



島のポリス(ブルース・ウィリス)に通報。 その中途半端なかつらはなんですか!、な



くたびれきったブルース・ウィリスは他のアクション映画では一切見せない姿を披露、



<最終兵器・最後の手段>的に扱われるよりはこういう地味な映画のほうに出てほしい



なぁ、と思うくらいにダメさ加減が素敵です。



 というか、大人はみなさんダメ度が高いんですけどね。 エドワード・ノートン演じる



隊長ですらも「本職は数学の教師・・・違う、今は隊長が私の本業だ!」みたいなことを



ボーイスカウトの少年たちに言い切ってしまうような人生の迷いっぷり。 この前出てた



『ボーン・レガシー』はなんだったんでしょうか(でも彼はこういう小規模映画のほうが



好きそうなんだよなぁ)。 さらにスージーの父(ビル・マーレイ)・母(フランシス・マクドー



マンド)なんて濃すぎでしょ。



   基本、ダメな大人たち。



 ダメな大人たちと、類型的に収まる可能性を持ちつつもまだまだ純粋な子供たちの



世界はまったくかみ合わないんだけど、それでもどこかすれ違う部分はあって、忘れ



去ってしまった自分の子供時代を思い出しつつ大人としての自覚をより伴うことでダメな



大人たちはちょっと成長、というか何かに気づいたり大事なものを取り戻したりすることが



できるのです(子供たちはどんどん勝手に成長していきますからね)。



 とりあえず、服やら小物がいちいちかわいい。 音楽も面白い。



 全体的に、キュートでレトロでキッチュでゴージャスさを削ぎ落とした贅沢さ。



 小さな島を舞台にしたのもまるで箱庭のような世界観だし、現実離れした(でも現実から



遊離しすぎてはいない)、ちょっと凝った絵本のような映画でした。



 まるで、過去はともかく未来には必ずいいことがあるんだと信じられるような、信じたく



なるような。


posted by かしこん at 05:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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