2013年02月18日

ノー・ダメージ



凶悪−ある死刑囚の告発/「新潮45」編集部編



 意外にも、というか・・・わりとサクッと読めてしまいました。



 なんでだろ・・・被害者の姿が希薄だから、だろうか。



 死刑囚による露見していない犯罪の告白を、雑誌記者が刑事告発できるまでの



裏取りをする記録。



   まえがきではすごく読んでて気持ちが重くなったのだが。



 ある一連の犯罪の主犯が、堂々とシャバで暮らしているという恐ろしさを描いたものでも



あるのですが、よく考えたらはっきり犯罪と認定されてない不審死や行方不明(たいていは



自殺で処理されてしまうことが多い)って多いんだよなぁ、と考えたらひどいのはこの事件



だけではないかと思ってしまって。



 実際、立件に持ち込むための証拠集めでかなり苦労していたし(告発では三件以上の



犯罪があるが、実際に立件できたのは一件のみ)。 被害者の姿がない・自己破産などで



自殺を選ぶ要因がある・そもそも保険金狙いで被害者の家族も関係していた、など、もう



お金関係のトラブルである意味自らヤバいものを引き寄せているではないか!、な感じが



してしまうからだろうか・・・何が悪いんだろう、不動産という素人には敷居の高い特殊な



世界が入り組んでいるから? カネさえ手に入ればなんでもいいという人が増えているから?



 あー、やだやだ。



 これは、一人の雑誌記者が死刑囚と面談し、相手の言っていることに引きずり込まれずに



あえて証拠重視で真相に迫る、という、最近すっかり信頼度ダダ下がりのマスコミ・



ジャーナリスト界において良心は存在する、という書、と捉えたほうがいいのかもしれない。



これが、雑誌の生き残る道。





別海から来た女/佐野眞一



 これは表紙がなんだかうれしくなくて、家の中で読んでいてもカバーをしてしまった。



醜い云々ではなくって、なんか呪い的なものを感じたから。



   実際の表紙はもっとモザイク感が強いのですが。



 帯にあるように、筆者はかなりの情熱でこの事件に取り組んだようなのだが、明らかに



途中で飽きたというか、イヤになったんだろうなぁ、という気がして仕方がない。



 <闇は深い>なんて一言でまとめちゃダメでしょ。



 でも、<庶民のウソはいつも悲しい>なんて一文はぐさっと刺さります。



 地方出身者としては身近にないブランドに憧れることなんてすごくよくわかるし、自分に



都合のいい倫理観で生きていくことに折り合いをつけているというのはあたし自身のこと



でもある。 ただ、大きな違いは、だいたいの人は無意識にでもできるだけ他人に迷惑を



かけないような形で生きている、ということ。 だからあたしは被告に同情も共感もまったく



しないですが・・・それに引っかかってしまう男性の多さに、実は現代とは常識が通じない



世界なのではないかと思わされます(筆者も、被害男性に対しては喜劇的要素をなくして



語れないみたいなことは言っている)。



 やはりいちばんの問題は、被害者たちの不審死が自殺として片付けられてしまっていた



こと(他の地域で類似事件もありましたし)。 自殺大国・日本と言われているけど、ほんとに



すべて自殺なのか? その中には犯罪が隠れているんじゃないのか?、という気持ちが



拭えないこと。 思っている以上に、普通の人の顔をした犯罪者は社会にいるんじゃないか。



 それがいちばん、怖いんですけど。



 だから、この二冊には思ったほどダメージを受けなかった・・・。



 でも、よく考えたらおそろしいんですけどね。



 とりあえず、あたしはそこまで深い闇には遭遇していない。 これからもそうであって



ほしいなぁ。


posted by かしこん at 05:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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