2012年12月30日

砂漠でサーモン・フィッシング/SALMON FISHING IN THE YEM



 原題は“SALMON FISHING IN THE YEMEN”、原作本は『イエメンで鮭釣りを』



だったのですが、イエメンでは客が呼べないと思ったのであろうか。 でもこの映画の



軽やかさは、『鮭釣り』よりも『サーモン・フィッシング』のほうが似合う。



 そんな感じのなんとも大人のファンタジーラブコメでした。



 ダメダメなユアン・マクレガーが見られたのもよかった!。



   イエメンに鮭を泳がせろ!? ありえない国家プロジェクト始動!

    サエない水産学者に振りかかった無理難題。 それは信じる力を取り戻す旅。



 「イエメンでサーモン・フィッシングがしたい」というシャイフ(アムール・ワケド)の希望を



かなえるために、イギリス国内の代理人であるハリエット(エミリー・ブラント)は鮭の



専門家である水産学者のジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)に接触する。 そんなのは



無茶な話、と一顧だにしないジョーンズだが、アフガンに対する英国の関与問題から



国民の目をそらせたい英国政府は「アラブでちょっといい話はないか」とシェイフの



プランに乗る。 予算無制限・何してもよし、となった<イエメン鮭釣り計画>に不承不承



取り掛かるジョーンズだが、金持ちの道楽だと思っていたシェイフの心の底からの



情熱を知り、そして困難な計画故やり遂げたくなるという科学者としての本能が刺激され



・・・という話。



   やる気のないプレゼンは絵にも表れる。



 あらすじだけで十分にテイストがわかり、その先も想像がつくのではありますが、そこは



監督がラッセ・ハルストレムだけに、手堅くまとめるだけでなくプラスアルファがあるのです。



 妻の尻に敷かれ、仕事への情熱がルーティンワークの退屈さに乗っ取られそうなダメ



学者、という初期設定から、出てきたばかりのユアン・マクレガーはほんとにカッコ悪いと



いうか精彩のない感じなのであるが、研究に真摯に向かい合うようになってくると次第に



輝きを増す! それでも私生活においてはなかなか判断を下せないというダメぶりを



引きずっていて、<ダメ男の似合うユアン>健在です。



 それに比べたらエイミー・ブラントはちょっと類型的な役ではあるけれど・・・十分に



チャーミング。 恋愛方面の彼女の悩みはそれなりに観客の共感を得るものであった



かと(まぁ、そんなよくできた話があるか!、とつっこまれたらそれまでですが)。



 が、なにより物語を引き締めるのがアムール・ワケドさん演じるシェイフ・ムハンマドの



存在! 彼の一言一言がなんか染みるのです。 上に立つものはこうあらねば、の見本



みたいな人で、だからこそ孤独も深いのだろうな、という。 自国人には言えないだろう



ことをジョーンズ博士には言う、みたいなことされたら、そりゃジョーンズ博士もがんばっ



ちゃいますよね!



   二人を繋ぐのはともに<釣り人>であること。



 と、そんな基本的にいい人ばかりで物語が進むわけではなく、かき回す存在として一人



悪目立ちするのが英国政府広報担当のパトリシア(クリスティン・スコット・トーマス)。



政府のプラスイメージになりそうなことなら何でもやるし、役に立たないと判断したら



容赦なく切るその姿はビジネス的には正しいのかもしれないけど人としてはどうよ!、の



これまた見本。 でもクリスティン・スコット・トーマスはやたら楽しそうに演じているのだ、



周囲の迷惑返り見ずに振舞ってみたい願望というのも誰の中にもあるのだろうか。



 不可能を可能にする地道なプロジェクト、恋愛、政治風刺、人間関係、陰謀、再生と



様々な題材を取り込みながらコメディ路線を進み、シリアスを挟みつつ結果的に



<ファンタジックなラヴストーリー>におさめるとは、さすがです。 生涯の一本ではない



けれども、見たあとにさわやかで穏やかな気持ちにしてくれる。



 そういう映画ってよくありそうで、実は少ない。


posted by かしこん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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