2012年12月25日

人生の特等席/TROUBLE WITH THE CURVE



 すごいなー、イーストウッド、映画つくりまくりだな!、と思っていたら、これは



彼の監督作品ではなく、珍しく主演しただけの作品であった。



   スカウトマン、娘1人。 キャリア最後の旅に出る。



 長年、大リーグの名スカウトとして活躍してきたガス(クリント・イーストウッド)だが、



今シーズンはいつもと調子が違った。 近年、視力が落ちてきたのは確かだったの



だが、明らかに目が見えない部分がある。 だが全く治療しようという意志も見せずに



今まで通りの日々を送るが、近しい者はその異変を感じることになり、娘のミッキー



(エイミー・アダムス)に連絡を取る。 弁護士として活躍し、事務所のパートナーに



昇格しようかという大事な時期ながら、ミッキーはガスのもとを訪れる。 これまで



あまりい父娘関係ではなかったことに解決策を見いだせるのではないかと願いながら。



   だから彼女は携帯電話を手放さない。

      夜は仕事、モーテルからメールや書類のやりとりで忙殺。



 結果的には「そうなるんだろうなぁと思った通りの話にはなったが、そうなってほしい



なぁと思う流れだったのだからいいんじゃないか」という、「まぁまぁいい話」なのですが



・・・そこに至るディテールに、ちょっとつっこまずにはいられない要素が。



 ガスの目の症状は明らかに緑内障とかそういうタイプが疑われるのだが、早く手を



打てば何らかの解決方法はあるはずなのだが何もしない(ま、これはある年齢以上の



男性にありがちな、病状をはっきりさせれば現実に向き合わなければならなくなる−



ならば病状に気づかない振りをすればなかったことになるのでは、という女性から



見れば意味不明な自己防衛本能なんでしょうが)。



 で、ガスが目が見えにくくなっている描写として、ハンバーグを焼いているのに



焦げているのに気がつかない、というのがあるのだが・・・目は見えにくくても鼻は



きくでしょ? しかももうもうと煙が上がるくらいなんだから焦げてんのわかるじゃん!、



などという<目が見えない>ことを強調したいがあまりに現実的でない描写が目立つ。



 しかしそれ以上にイーストウッドが<自らの老い>を堂々と曝している、ということに



度肝を抜かれるのであります。



   補聴器・老眼当たり前、妻の墓の前で

        グチるし、その他肉体的な衰えを惜しげもなく披露。



 回想シーンにおける乱闘場面などは『ダーティーハリー』とか昔の映画から持って



きたのか?、だし、自分の映画人生の移り変わりもまたこの映画の中に閉じ込めた



かのような。 が、ただのジジイとはちょっと違うぜ、という部分も随所ににじませる。



 娘との関係性が悪くなったきっかけは、「え、そっち行くか!」だったりしますが



(それともそれがアメリカのリアリティなのか・・・)、それがあっさりスルーされることにも



心の中でどよめく。 エイミー・アダムスが<健康に気を遣うことがライフスタイル>の



有能な弁護士をやっていますが、だからってモデル並みのスタイルではないところが



普通っぽくて微笑ましい(わざと太ったのか?、と思うくらいで)。



 スカウトたちの仕事場は男社会、その中で生きていけばそうなる・・・というのなら、



なかなか男社会は女に優しくないような、ハードであるような。 これが父と息子ならば



また違った話になるんでしょうが、父と娘であることが<より、いい話感>を盛り上げて



いるように思える。



   かつてガスにスカウトされて野球選手になった男。

   今は現役選手を引退し、スポーツ実況の希望を抱きながらのスカウト一年生。



 いつもなんとなくいらっとくるジャスティン・ティンバーレイクが、今回は脇にまわって



あまり出しゃばらない役柄だったのが好印象。



 というかこの頃、ジョン・グッドマンが脇でおいしい役続いてるんですけど!



 タイトルの<カーブについての問題>が、野球のカーブボールと人生の曲がり道と



いうダブルミーニングになっているのがちょっといい感じ。 好意的かつハッピーエンドを



暗示する邦題になってしまうのは、観客ターゲット年齢が高いのであろうことからは



仕方のないことかと・・・。



 定番だからこそ、胃にもたれない。 そんな手堅い映画でしたな。


posted by かしこん at 01:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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