2012年10月22日

そして友よ、静かに死ね/LES LYONNAIS

 日仏ヤクザ映画対決だな、と勝手に銘打って、まずはフランス映画『そして友よ、静かに死ね』を鑑賞。 何年も前になりますが、『あるいは裏切りという名の犬』というのを観て、ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデューという大物ダブル主演ということを差し引いても面白かったのです。 で、今回も同じ監督だということなので・・・しかし最近のフレンチノワールは邦題が大仰路線で、考える方も大変だろうなぁ、と感じてしまいます。 それにこのタイトルじゃ、ほぼネタバレでは・・・。

  そして友よ、ポスター.jpg 神聖なる男の友情と真実
    1964年、フランス  リヨンの街で、俺たちは始まった――

 原題は<リヨンのやつら>(『シシリアン』みたいな感じ?)。 つまりリヨンを基点にするギャングファミリーのみなさんの話。 というか、そのトップだったけど今は引退して無茶しかねない若い者たちににらみをきかせている男がこれまでの半生を回想しつつ、“今そこにある危機”に立ち上がる、という感じ? だから過去パートの比重がかなり高いのですが、歳を重ねた人々の表情がリアルというか渋いというか、そのインパクトは絶大。 しかも実話が元だというのだから・・・イタリアンマフィア、幅が広いぜ。

  そして友よ、1.jpg この迫力と佇まい、若者には太刀打ちできないぜ。
 エドモン・ヴィダル(ジェラール・ランヴァン)は豪奢な家で家族に囲まれ静かな日々を送っているが、還暦を迎え、ふと、これでよかったのだろうかと我が身を振り返る。 移民であることで差別され、サクランボ一箱を遊び感覚で盗んだだけで懲役4年(でも窃盗は窃盗だぜ、とあたしは思ったが)・・・その後、銀行強盗をなりわいとして逮捕されるまで伝説のギャングとしてその名をとどろかせたのも今は昔。 しかし、サクランボ泥棒で同時に捕まって以来、より深い友情で結ばれた仲間のセルジュ(チェッキー・カリョ)が13年の逃亡の末に逮捕されたことを知る。 もし刑務所に送られれば彼らに恨みを抱いていた別の組織の人間の復讐により、セルジュはすぐに殺されてしまうだろう。 家族の手前「もう裏稼業とは関係ない」と言ったものの、セルジュとの友情と信頼は何物にも代えがたい・・・セルジュ奪還作戦を若い者たちにやらせたことで、静かな生活は一変。 そして、過去の秘密も・・・。

  そして友よ、3.jpg かつての銀行強盗時代。 イケイケです。
 男同士の友情って、単純だけどめんどくさいというか、まぁそれはエドモンが昔堅気の男だからということかもしれない(雑誌のインタビューでも、役づくりのために任侠道についてリサーチしたと言っていた)。 というわけでフランス映画なのに義理と人情を大事にする古き良きヤクザ像が見えてくる不思議。 それ故に新たな悲劇を呼び込んでしまう無力感も既視感たっぷり。 でもそれが重厚な映像でつづられるので、ものすごく「映画を観た気持ち」にさせてもらう。

  そして友よ、6.jpg 左端の刑事さん(エドモンたちが銀行強盗で捕まったときはまだペーペーだったのが、今ではベテラン)のすがすがしいまでの執念深さが大好きでした!

 よく見てみたらファーストシーンがラストシーンへ向けての円環構造だったとわかり、じゃあこのタイトルもまるっきりネタバレってわけじゃなかったな、とちょっと安心したり、結局いちばんわかってなかったのはエドモンだけで、友情の尊さという美学に振り回されていただけでは・・・的な身も蓋もない気持ちになりますが、まぁ渋くてかっこよかったからよしとしよう(でもラスト手前の重要な台詞、言葉の長さと表情から考えて字幕と微妙に合っていない気がしたんだけど・・・フランス語がわからないのでもやもやのまま)。
 PG−12だしバイオレンス描写もありますが、残るのは寂寞としたむなしさというか、過去への郷愁というか。 エドモン・ヴィダルさんご本人がまだご存命で普通に生活しておられるということになんかびっくりでした(ラストにそういう説明が出ます)。
 そして、次に向かう日本のヤクザ映画代表は『アウトレイジビヨンド』であります。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 06:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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