風の噂で、いしいひさいちのムックが出た、と耳にした。
KAWADEの文藝別冊らしい。 それ、去年萩尾望都のが出たやつだわ、
ありうる!、と本屋をのぞくが、そもそもムック類を最近買っていないもので、
どこにあるかがよくわからない・・・。 前回は店員さんをえらく手こずらせたので、
今回は自分でどうにか!、と心に決めて、それらしき場所を探す。
しかし今回は気づいたあたしが遅かったのでネットではすでに売り切れ、本屋にも
在庫限りであろうという噂。 近所の歩いて行ける範囲をまわったが見つからなかった
ので、大きな書店にてチャレンジ!
書架を数回うろうろし・・・発見! もう平置きではなく、しかも最後の一冊・・・バック
ナンバー置き場みたいなところにあった。

あたしがいしいひさいちを本格的に読み始めたのは『コミカル・ミステリー・ツアー』
シリーズからだったが、『現代思想の冒険者たち』全集の月報についていた4コマで
ずぎゅんと胸を撃ち抜かれました(古典的表現)。 だからファンとしては新しい部類
ですが・・・でも子供時代には『おじゃまんが山田君』の再放送(再再放送?)をすごく
楽しみに見ていた原体験あり(だからジブリの『となりの山田くん』はなんか違うのだ)。
インタビュー嫌いだという話は聞いたことがあるのでどこまでまとまってるのかは
わかりませんが、しみじみ読みたいかなぁ、と。

わぁ、もう教授が! 相変わらず今回も教授はすごい人たちとお知り合いである。
しかし教授はすごい人になるとわかって付き合っているわけではない。 まるで彼は
触媒のように、出会う人々のよいところ・人生の転機にいいきっかけを与える人なんだ
なぁ。 でも教授もまったく変わらないままかと言えばさにあらず。 変化の度合いは
劇的ではないけれど、常に彼はいい変化を受け入れる態勢にある(基本は頑固だが)。
教授のようにもなりたいし、教授のような人に出会ってまったく新しい自分を発見する
のにも憧れるなぁ、と思いつつ、多分そう簡単にはあたしも変わらないんだろうなぁ
(予測)。 となると、教授のようになりたいのか・・・いや、今のあたしは『シャーロック』の
ジョンの立場により憧れている。
夢ばかり、見ています。

あ、『とりぱん』の新しいのだ!、と本屋で小躍り(人に見られたらめちゃめちゃ
恥ずかしい)。 でもうれしいのです。
あれ以来、変わっていないはずのない東北。 それでも、見知った勝手知ったる
出来事がまた同じように起こっているのだ、とわかるだけで涙が出そうになる。
わかっている、多分ここは泣くようなシーンじゃない。 でもあたしは、泣きそうになる。
どうしても帰りたいわけじゃないけれど、雪に埋まる白一色の厳寒が、マイナス60℃の
寒気団が、バカみたいにいとおしい。
つぐみんは相変わらずおまぬけだったり、ひよちゃんズはやさしくないけど、そして
仮に北東北に戻ったからってこんな生活はできないけど、だからこそかつては日常
だった日々を笑いとともに覚えておきたい。
『とりぱん』は、あたしにとってそんな書物になりました。