なんか結局、コナリー作品をあたしは全部読むことになるのでは・・・という危惧が。
ハリー・ボッシュとの共演作『真鍮の評決』を前に、やはりこちらも読んでおいたほうが
いいかな、と思うわけです。
ボッシュ界との接点は当然ありますが、マイクル・コナリーの新シリーズ。
主人公は刑事弁護士のミッキー・ハラー。 あたしはボッシュ物に手をつける前に
この本の存在は知っていたのだけれど、てっきり「リンカーンという名前の弁護士の話」
だと思っていました・・・実際は、自分の弁護士事務所を持たずに車のリンカーンを
事務所代わりにロサンゼルス内を走り回ってこまめに事件を拾って歩く、つまり足で稼ぐ
タイプの弁護士のことでした。 弁護士といってもいろんなタイプがいるのね〜。


父親はかつての法曹界の大物だった人物、となればボッシュとのつながりは明白。
で、ミッキー・ハラーくん、正義感あふれる若き人物なのかと思えばそんなことは当然
なく、弁護士としての仕事は取引と割り切っているタイプ。 弁護人がどんな悪党で
あろうと関係なく、いちばん有利な条件で刑や処分を勝ち取ればそれでよし。 むしろ
弁護人は無罪でない方がよい、ぐらいの割り切り方で、二度結婚に失敗しているが
そのどちらとも関係は良好という何故そんなに魅力的なのか不可解な人物である。
そんなわけでハリー・ボッシュくんと似たものを抱えつつも比較すると読み進みが早い
のは、弁護士ということで法廷シーンが多いからかもしれない。 映画化権が売れても
実際に作られることが少ないコナリー作品の中でも、これはすでにアメリカで公開された
みたいだし(日本公開ははっきりしてない感じ)。
しかしハラーくんが付き合うことになった事件は実に悲惨である。 これ、ボッシュの
担当区域の事件だったら絶対ボッシュがはいつくばってでも事件を解決してるんじゃ
ないの?、という類ですよ。
第二部のタイトル:『真実のない世界』がコナリー世界を物語っているようで興味深い。
勿論反語なのでしょうけれど(というか、そうあってほしいというか)。
続けて読んできてるので「あー、こういう話になっちゃうんだろうなー」というのは
わかってきてしまうのですが、だからといってがっかりするわけでもなく、「人生って
不条理よね」と考えているあたし・・・やばい、ハードボイルド世界に染まっている!
ミッキー・ハラーも疑い続けてきた自分の世界に否応なく対峙しなければいけないと
覚悟を決めるところで終わっている。 わぁ、次の作品に引っ張るなぁ!