2012年03月18日

はやぶさ 遥かなる帰還



 はやぶさ映画第二弾にして真打、と勝手に思っている映画をようやく鑑賞。



 しかしこれまた「あれ?」な感じが・・・。 やはり期待するのはあまりよろしくないらしい。



 さりげない“理系貧乏”描写で最初から笑わせていただくが、『HAYABUSA』(以下、



FOX版とする)が思いっきりギャグにしていたところをこちらでは徹頭徹尾大真面目に、



デフォルメなしに進めていくのが特徴。 いろいろと比較してしまいますが、しないように



しようと思ってもそこは無理なので。 この映画が描きたいのは、「科学に賭ける情熱



こそが日本を救う」、ということなのだと思う。



   僕らは彼に、<希望>を託した。



 あっさりはやぶさ打ち上げシーンから始まるこの映画、そこまでの長い道程はカット。



他にもいろいろカットしているので、予備知識がないとつらい。 その分、宇宙空間に



おけるはやぶさのCGの美しさは群を抜いているのだけれど、構造の説明についても



何か物足りない・・・やりすぎたらただの科学ビデオになってしまうということなのかも



しれないけれど、劇映画とのバランスって難しいのだなぁ、と思う。 でもあたしはもう



ちょっと詳しく聞きたかった派。 スイング・バイの映像はFOX版のほうがよかったけど、



こちらははやぶさを擬人化しなかった分だけ余計に見る側の気持ちが入ります。



 プロジェクトマネージャーの山口教授を演じる渡辺謙は、彼にしては珍しく抑え目の



理系人をいい感じに演じており笑いどころもあるのだが、演出がそのお笑い部分を



重要視していないのでもったいないと思えるところも。 しかし、行方不明になった



はやぶさ探索のためのアンテナ使用をNASAが最優先リストから外すといってきた



ときに山口教授が強気で交渉に出るところはさすがケン・ワタナベの面目躍如と



いったところ。 外交とはこうあるべきだ!、的な感じで拍手喝采(日本政府、マジで



見習って!!)。



   はやぶさ、イトカワ到達時の記念撮影。

    責任者(山口教授)にボードを持たせるとは何事だ・・・と思ったのはあたしだけ?



 はやぶさがどうなるかということは知っているので、後はそれに携わる人々の姿が



どれだけ描かれているかというのがこの映画のポイントかと。 測候所で地道に



はやぶさが出しているであろう微弱な電波(1ビット)を周波数を変えながら探し続けて



いた長嶋一茂がいい味出してました(台詞少ないからか?)。



 語り部として朝日新聞科学部記者(夏川結衣)が専門家と素人の間をつなぐ役割と



して出番の大きな役なのですが、ここまで出てくる必要があるのかが疑問・・・彼女の



父親が町工場の社長(山ア努)ということで、小さな町工場こそ日本のものづくりの



原点と言いたいのはわかるんだけど、無理矢理からめ過ぎ感があって感動できない



・・・自分のひねくれ度合いを再確認。 彼がターゲットマーカーの試作品をつくったの



だというつながりもあるんだけどさ。



   飛不動尊の前でこの二人が会うシーンは

    素敵なんだけどね。 山口教授のかりんとう好きに共感。



 あとはイオンエンジンにおける主な開発者二人、研究者の藤中先生(江口洋介)と



技術者の森内(くん吉岡秀隆)のやりあいが後半の見せ場。 なんかこの人、損な



役回りだなぁ、と思って見ていた森内くんの「私はメーカーの人間なんです!」以降、



実はいちばんおいしい役じゃないかと・・・江口洋介、くわれてましたね。 技術者としての



誇りとともに、公の研究機関で研究者になれなかった者の劣等感のようなものがしっかり



表現されていたと思います(この人の場合、ですが。 研究者になることが必ずしも絶対



優位というわけではないはずなので)。



   でも民間に就職するって大変なんだなぁ、

   こういう仕事、というのはしみじみ。 それもまた日本の理系不遇の原因なのでは?



 大学の研究者になれば好きな研究だけできるのかといえばそうでもないし、財務省



(当時は大蔵省か?)には「宇宙の起源なんか知ってどうすんの?」という身も蓋も



ないこと言われるし、拝金主義は某国の得意技ではなく日本にも根深く入り込んで



いるのが悲しいわけです。 それでもがんばって科学技術に携わるみなさん、ありがとう。



 はやぶさが最後に送ってきた地球の写真のエピソードがしっかり入っているプラス



余計な演出なしなので、かえって泣けてしまいます(他はそんなに泣くところはなかった



のですが)。 なのでオーストラリアで帰還を待つ新聞記者はいらないでしょう・・・



カプセルのうしろで燃え尽きていくはやぶさの映像だけで十分です。



 FOX版がエンタメ重視ならこちらは人間ドラマ重視ということでしょうか。



 エンドロールはひたすら糸川博士の時代からの“日本のロケット事業”を映す写真が



続き、製作者たちがその尊敬の念を大事にしていることが伝わります(でも解説がない



のでわからない人には伝わらないかも)。



 なんとなく、この映画を見るのは日本人の責務というような気がして・・・あたしはその



義務を無事に果たしましたが、真面目につくられ過ぎな感もあり、いろいろな意味で



もったいない気が。 FOX版のバカ騒ぎが懐かしく思い起こされてしまった。


posted by かしこん at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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