2012年02月15日

ドラゴン・タトゥーの女/THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO

 何故、サブタイトルが『ドラゴン・タトゥーの女』になったんだろう?、というのは最初に原作を読んだときからひそかな疑問だった。 原作(シリーズタイトルは『ミレニアム』、その一作目)を直訳すれば確か『女を憎む男たち』みたいな内容だったような・・・けれど日本語版は『ドラゴン・タトゥーの女』、そしてこの映画の英語タイトルも『THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO』。 最初に英語版の原作を訳した人がつくったタイトルなんだろうか、だとしたらすごいセンスだよなぁと思う。
 さてあたしは原作も読み、スウェーデン版の映画も全部見ておりますが、純粋に「デヴィッド・フィンチャーの新作」として期待をしております。 どうしても比較してしまいますが、他意はないことをお断りしておきます。
 まだ公開5日目にもかかわらず「大ヒット上映中!」の文字・・・確かに、平日レディースデイとはいえ結構な込みようです。 なんだかんだいっても、日本ではまだデヴィッド・フィンチャーは『セブン』の監督という認識なんだなぁ、という思いを強くする。

  ドラゴン・タトゥーの女ポスター4.jpg 誰が、ハリエットを殺したのか?

 月刊誌『ミレニアム』編集長で専属の経済ジャーナリスト・ミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)が大物実業家の不正行為を暴いた記事を書くが、証拠不十分だったため逆に名誉棄損で訴えられてしまい、これまでのジャーナリストとして築き上げてきた栄光に傷がつく。 そこへ、スウェーデン経済界の大物であるヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)から私の自伝を書いてほしいと依頼が舞い込む。
 優秀な調査員リスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)にミカエルについてすでに調査させていたヴァンゲル氏は彼に任せることにし、自伝はカモフラージュ、本当に調べてほしいのは40年前に起こった兄の孫娘・ハリエットの失踪事件だった・・・という話。 ほぼ、スウェーデン版と話は同じであります(ラストがちょっと簡略化されてますが、大筋は同じ)。

  ドラゴン・タトゥーの女1.jpg ただ、違うのはリスベットのキャラクター。
 こっちのリスベットのほうがより、無口。 自分の感情を表に出さない。 それ故に怒りが心の奥底で熾き美のようにいつまでも燻り続ける。 静かであるが故に、怖いけれどずっと彼女のことが気になってしまう・・・。 原作にあったパンクな雰囲気は抑えられているけれど、反抗心がないかといえばそんなことはなくて、彼女の全身から世界を拒否する空気が発せられている。
 原作もスウェーデン版も一作目はミステリーであることを守ってつくっていた印象ですが・・・この映画はもう、すべてはリスベットのためと割り切ってつくったようにとしか思えない。 ヴァンゲル家の人間関係はそれほど深く掘り下げないし、リスベットに寄り添い過ぎて事件もハリエットもなんだか印象が薄い感じに・・・。
 中盤、登場人物が一気に増えるので、ここで人物関係をある程度把握しないと厳しいです(ミカエルもメモを取りながら「もう、誰が誰だか・・・」と困惑していたが)。
 そうそう、オープニングクレジットでは予告編で使われていた『移民の歌』のカバーがしっかり使われており、その映像はどこか『ファイト・クラブ』のオープニングにも似ていながらもメタリックな漆黒一色で、それでありながら漆黒は色をわずかに変えながら泥沼のような悪夢を描いていた。 ・・・これって、リスベットの深層風景? 彼女が体験してきた理不尽な暴力? それから逃げられない悔恨?、と目を奪われてしまい、肝心のクレジットがまったく印象に残っていません。
 まさに、リスベットのための物語!
 彼女の上司、ドラガン・アルマンスキーが『ER』のコバッチュ医師でびっくり! 役的に年齢不詳風でしたが明らかに若すぎるでしょ(もし三部作つくられるのなら、のちの二作で彼には是非活躍していただきたい)。 と、他の脇役も大変豪華です。 自分の役を(多分、内心苦しみながら)きっちりこなしておられます。
 そしてなにしろミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)です。

  ドラゴン・タトゥーの女3.jpg 彼の長年の愛人エリカのロビン・ライトはちょっと老け役?

 007のくせに“有能なれど愛すべきうっかり男・ミカエル”がはまるのか? 彼ではストイックすぎ、もしくはしっかりしすぎではないだろうかと不安がありましたが、杞憂。 ちょっとした怪我(?)でも「痛い、痛い!」・「血が出てる!」とわめく様とか、コテージに入り込んできたノラネコを仕方がないなぁとエサをやったりして、姿が見えないと「Cat!」と大声で読んでみたり・・・(「ネコ」呼ばわりなんですね)。 意外とキュートが似合っております。 コメディの映画、もっと出たらいいのに。
 このミカエルの“裏表のない軽さ”がリスベットにとって救いになっているのね、と気づくヨロコビは大きい。

  ドラゴン・タトゥーの女5.jpg スウェーデンのコーヒーショップのカップには何と書いてあるのか?
 そう、スウェーデン。 さすが全編ロケだけあって、空気感や冬の凍てつく感じが素晴らしい。 日がすぐに沈んでしまう一日の流れとか、雪のない都市部での(たとえば地下鉄構内での)薄暗さとか。 期待した以上にダークではないけれど、必要十分で。
 というか、最初の予告編がかっこよすぎたよ・・・さすがにそれは超えられなかったけど。
 だけど家の中のもの(特にヴァンゲル一族はお金持ちだから、美しく機能的な北欧家具が必要最小限にシンプルに置かれていてかっこいい!)は基本的におしゃれです。 『ミレニアム』編集部も思ったより規模が大きかったし働いている人数も多かったけど、オフィス空間ときたらかっこいい。 そしてリスベットのすることもいちいちかっこよくて、やがてかなしい・・・ミカエルのバカ!、とだいたいの人が思うであろう・・・。
 これ、後日談、必要だって!
 それにしても・・・R+18なのにモザイク使わないといけないわけ、映倫?
 それがかえって鬱陶しいというか、不自然に感じさせるから観客として物語を見る流れを強引に止められる感じがする。 モザイクかけるならもっと気づかれないようにできないものか(でもそれをすると著作物に勝手に手を加えることになる? でもモザイクも加えてることにならないのか)。 なんか映倫の判断もテキトーというかそのときによって変わるから、もう過去に一回OK出したんならいいじゃんと思うのはあたしだけでしょうか(それにこの映画、ただのポルノとはわけが違うんだし)。
 なんかそれが、それだけが不満です!
 もう来年には2作目を公開してください!

 すみません、昨夜、これを書きながら気がついたら机に突っ伏して寝てました・・・前日2時間睡眠で一日映画4本はしごはさすがに疲れたみたいです。
 アップが遅くなり、申し訳ありませんでした。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 23:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
LEMMONさま<br>
<br>
おはようございます。<br>
いつも以上にダラダラした文ですみません・・・。<br>
あの予告編のかっこよさを期待してしまうと「あれ?」となってしまいますが・・・。<br>
でもきっちりポイントを押さえているのはさすがデヴィッド・フィンチャーです。猟奇殺人の部分は抑え気味なのは<br>
(とはいえ写真でバッチリ出ますが)、安易に『セブン』と比較されたくないからかなぁ、と思ったりもしました。<br>
是非、オープニングの“悪夢の海”に呑みこまれてみてください。<br>
エンディングはブライアン・フェリーの曲を女性が歌っていましたよ。
Posted by かしこん at 2016年12月04日 13:13
おはようございます。<br>
ドラゴンタトゥーの女の大作記事を執筆され<br>
お疲れ様です。デヴィッドフィンチャー監督らしい映画のようですね。私はいまだにセブンのイメージが強烈でして<br>
ストーリーもそうですが、映像と音楽だけで楽しめそうですね。<br>
この映画は必見と自分に言い聞かせておきます。
Posted by LEMMON at 2016年12月04日 13:13
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