2011年12月31日

永遠の僕たち/RESTLESS

 ガス・ヴァン・サントの新作となれば気になります。 しかも加瀬亮が出ていると!
 オープニングからいきなりビートルズ“Two Of Us”。 それがこの映画のカラーをあらわしているようです。 瑞々しくて、軽やかで、ちょっと現実感がない。
 死にとりつかれた少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)は、黒いスーツを着て見知らぬ人の葬儀に参列するのが趣味。 ある葬儀で出会った少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)が、また別の葬儀でイーノックが関係者ではないとばれそうになったときに助けてくれる。 思わぬ出会いが二人に忘れられない時間をもたらす。
 “初恋の物語”と言ってしまってはそれまでなのですが・・・あくまで“死”がすぐ近くにあるのがポイント。 といってもこれもお涙頂戴ものではなく、淡々とした静けさがとても美しい物語になっています。

  永遠の僕たち6.jpg 性別無視な感じが余計に美しさを強調。

 何故イーノックは死にとりつかれているのか? 何故アナベルはそんなイーノックに理解を示すのか? はっきり説明はされないけれど見ていくうちに彼らの事情がわかってくるので、彼らの自分勝手に見える気持ちにも自然と理解が。 「若いっていいよね〜」じゃないけど、その年齢の人たちにしかできないことってあるよなぁ、としみじみする。 自分や相手のことだけ考えていられる時期、というか。
 期待の加瀬亮ですが、日本の特攻隊員の幽霊ヒロシとしてイーノックにしか見えない存在。 というわけでイーノックの親友というか心の支えというか、非常においしい役どころです。 描かれ方も非常に自然で、こんなにも日本に理解を示してもらえるってどういうこと?、とドキドキしてしまった。 外国の映画でこんなにも頻繁に日の丸が登場するのも珍しい・・・。

  永遠の僕たち3.jpg ヒロシはイーノックにしか見えないけど・・・その格好で普通にうろうろされるとちょっとビックリよね。

 それぞれが自分勝手のように見えながらも本質的に気遣いの人なのだとわかる場面、アナベルが「なにそれ、ナガサキの仇?」と笑いながら言ってしまうところでイーノックは「しまった」という顔をする。 ヒロシはその前に死んだから、原爆のことは知らないのだ。 事実を知ってしまい、落ち込むヒロシだが激昂したりはしない。 そして落ち着いた頃、イーノックは「日米関係は今やクールさ。 ・・・友達ってこと」と言う。
 ほんとですか!
 なんというか、大和魂へのリスペクトを感じるのですよね・・・。 握手ではなく、お辞儀で相手への敬意を表すとか(ラストのほうでお辞儀が使われる意味、日本人のほうがよりわかる!)。 ヒロシが出せなかった手紙もちゃんと日本語で正しく書かれているし、“カミカゼ”と呼び理解不能なものに分類するのではなく特攻隊員ひとりひとりの思いを掬いあげているところとか(加瀬亮が手紙を読むところ−そこは英語だけど−で泣いちゃったよ、あたし)。

  永遠の僕たち4.jpg 少ない三人一緒のショットが美しい。
    しかもアナベルとイーノック中心の会話なので、ヒロシは遠目、もしくはわざと顔を映さないようにしている。 アナベルには見えないから?

 正しく日本を描いてくれている、というところを割り引いても、イーノックとアナベルの関係を美しいままで描いたのがよかった。 でもヒロシの存在が外せないほど自然に物語に組み込まれているからこそ、映しだされる日本的なものにドキドキしてしまうのかも。
 なんか本国では評価が低いらしいのですが・・・はっきり結末は描かない作風の監督だけど、『パラノイド・パーク』よりはずっとわかりやすくて救いがあるような気がするけど・・・そう思うのも日本人だからかしら。
 『RESTLESS』ってタイトルよりも『永遠の僕たち』のほうが合ってるもんなぁ。
 安らぎがない、落ち着かない、不安・・・『死への畏れ』ってことか。
 イーノック役のヘンリー・ホッパーくん、デニス・ホッパーの息子さんだそうで。
 こんな若い息子いるんだ! しかも似てないし! ハンサムだし!(いや、あたしがデニス・ホッパーの若い頃を知らないだけだが)
 アナベルはダーウィンを尊敬しているという設定だが・・・進化論ならば少し前にウォレスもいるってことも知っておいてあげて〜。

  永遠の僕たち7.jpg ミア・ワシコウスカがベリーショートにしてとてもきれい。 服装もやたらお洒落だ。 イーノックは寝ぐせの髪そのままで登場するのに。

 イーノック、アナベル、ヒロシ、この三人の物語だった。 勿論、他にも人物は登場するんだけど、三人の関係を補足するために必要だったような。 悲しい話なのだけれど、美しいから観客も冷静に受け止められるかな。 いい映画観た!、という満足感に浸れました。
 加瀬亮の英語も自然だったな・・・ヒロシがなんでアメリカで幽霊してるのか(そしてペラペラに英語喋れるのか)は死後の世界の謎ということでとっておきましょう。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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