2011年12月31日

ラビット・ホール/RABBIT HOLE

 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督の新作ということで・・・なんとなく気になってました。 もともとは舞台劇だそうで、確かに会話中心だけど、登場人物たちの表情をしっかりとらえることで映画は多くを語らせており、舞台劇だとは思いませんでした。
 深く傷ついた女がいる。 ニコール・キッドマンが佇んでいる最初のシーンでそれがわかる。 多くは説明がないのだが、そこここに散ばされている事実を拾い集めて、観客はこの一家に起こった悲劇を理解する。

  ラビット・ホール1.jpg メイクに力を入れず、洗いざらしのブラウスを着てばかり。 それでも十分美しいのです。

 ベッカ(ニコール・キッドマン)は郊外の一軒家に住んでいる専業主婦。 夫のハウィー(アーロン・エッカート)は働いているが、できる限り早く家に帰り妻のそばにいて支えようとするけなげな男。 だが二人は悲劇に対して全く正反対の対処をしている。 ベッカの妹イジー(タミー・ブランチャード)は奔放な性格で考え方が違う姉とはケンカが絶えず、ベッカにとっては母(ダイアン・ウィースト)もまたうまくいかない相手だった。
 母と娘ってなんでこんなにめんどくさいのか、とつい思ってしまう親子関係。 それは答えも決まった形もないからなんだけど、女同士で感情が絡まり合う場合はうまくやるのが難しい、ということでもあるかなー。 自分を育てた相手を否定するってかなりのエネルギーを必要とすることだろうに、ベッカはそうすることでしか生きられなかったのかも。 描きようによってはいくらでもドロドロになる部分を、必要最小限にしたのがよかったと思う。
 ラビット・ホール=うさぎの穴は、『不思議の国のアリス』を引き合いに出すまでもなく“異世界への入り口”。 望んだわけでもないのに違う世界にいきなり連れてこられる・・・理不尽な出来事に遭遇するときとはそういう感じなのでは。
 加害者となってしまった高校生ジェイソン(マイルズ・テラー)にとっても望んではいない世界。 元の世界に戻りたい、もしくはまったく別の世界に行きたいと。

  ラビット・ホール5.jpg だからこそ二人は語りあうしかないのだが。 でもお互いの顔を見合わせ合うことも目を合わせることも少ない。

 初めは何を描いているのか全然わからない絵が、徐々にその姿を現し、パラレルワールドを表現しているとわかるときの感動ときたら!
 SF的発想が人を救う、救いになることがあるというものすごい好例。
 ただ、ベッカが他の誰でもなくジェイソンと心を通わせることで慰めを見い出す、ということが感情的に納得がいかないのだが・・・(彼と会っていたことでハウィーが激怒する気持ちはわかるけど)。 しかしそれが、この物語が美しいポイントだったりするのだ。
 共感できないからといって何も感じないわけではないのよね。
 なんとも複雑な物語。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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