2011年12月31日

50/50 フィフティ・フィフティ/50/50

 27歳で、がんと宣告されたらどうする?、を、できるだけ笑い飛ばそうと語る映画というだけで好感が持てる。 日本の映画はこういう題材だとどうしてもお涙頂戴で重苦しい真面目一辺倒になるからあまり好きじゃないのよね。
 ラジオ局に働く、地味でまじめな性格のアダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は突然腰に痛みを感じたので病院へ行くと、脊髄神経に腫瘍ができていることがわかりがんの宣告を受ける。 五年後の生存率50%。 酒もたばこもやらないのに、人に迷惑かけて生きてきたわけでもないのに、なんで? が、地味な性格ゆえにその驚きが怒りになるまで時間がかかる(というか、そこで怒っても仕方がないとか思ってしまって自分の感情に蓋をする)。 そんなテンション低めのキャラクターがジョセフ・ゴードン=レヴィットによく似合う〜。
 病気を特別視せずに向き合おうと思うアダム。 しかし周囲の人間はそんなアダムに腫れものに触るように接し、病気前と態度が変わらないのは仕事仲間でもあり悪友のカイル(セス・ローゲン)だけ。 そしてアダムの闘病生活が始まるが・・・という話。

  5050-1.jpg セス・ローゲンとウィル・フェレルの違いがわからない・・・。

 「50%! すげー高いじゃん! カジノなら買ったも同然!」とはしゃぐカイルは「がんだってこと利用してナンパしようぜ!」と女癖の悪さを常々発揮、アダムを苦笑させる。 『ピザボーイ』に続きまたしても“若い男二人のアホ会話”が繰り広げられており・・・二十代ってそんなもんですか?、とあきれる。 まぁ、そんな軽いコメディ調がこの映画の生命線なのですが。

  5050-3.jpg 職場からコーヒーショップへ行く途中で、アダムは病気のことを告げた。 

 そんなバカ話のあと、「わかった、もう会社に戻ろうぜ」 「え、コーヒー買いに来たのに?」 「もう目が覚めたよ」 そんな言葉でカイルがアダムを気遣っているのはわかるのだが、いくら普段通りにしてるのがいいだろうと思ったとしても限度があるからね・・・基本、おバカであることが彼らしい。
 アダムの恋人レイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)は「あなたを支えるわ!」と言いながらもプレッシャーで逃げ出すようになってしまい、病気がわかる前からアダムから気持ちが離れていた(もしくはそれほど真剣ではなかった)のは見えていたから「早くアダム、気づけ〜」とイライラ。 彼女にして見たら同情心が芽生えちゃったから見捨てるのもどうかと・・・という気持ちなんだろうけど、それってただ自分が悪者になりたくないだけよね〜。 『ヒアアフター』に続き“自分がかわいいダメ女”がすっかり板についたブライス・ダラス・ハワード、そうじゃない役もやってほしい。
 また、抗がん剤投与仲間のアラン(フィリップ・ベイカー・ホール!)とミッチからマリファナ入りのクッキーをもらい、生と死の狭間に直面する事態をハイの状態でクリアするなど、重いことを描きながらも重たく感じさせずに見せる構成が巧みです。
 今回ジョセフ・ゴードン=レヴィットは堺雅人っぽさ(笑顔だけで喜怒哀楽を表現)だけでなく、佇まいに加瀬亮っぽさまで感じさせ、うまさにニヤニヤしてしまった。 だから余計にセス・ローゲンの粗雑さが気に触りました・・・それはそれでうまいってことなんだろうけど。
 やたら心配するから母親に知らせるのは気が重い、と気に病むアダム、実際に話せば母親(アンジェリカ・ヒューストンです!)は泣きだすしそれを鬱陶しいと思う気持ちもわかるんだけど、セラピストのキャサリン(アナ・ケンドリック)から「夫は認知症でただ一人の息子は連絡してこない、となったらお母さんの話を誰が聞くの?」と言われて自分のことばかり考えていたことを反省したり。 病気が周囲に影響を与えるだけでなくアダムが自分を見つめ直すことになるのもよかったかな。 そして母親は最後まで自分がいちばん大変とかつらいとか泣きごとひとつ言わなかった、さすがです(認知症だという父親もいい味を出していて、現実的ではないのだろうが救われる部分もある)。

  5050-5.jpg 手術中、みんなで待つ。

 病気と付き合うアダムを描きながら、さりげなくも彼を支える周囲の人間すべてを描く映画になっているのがいいところ。 また、関係は“支える−支えられる”と分類されるものがすべてではないというところも。 それぞれの気遣いや思いが見えてくる場面では、思わず涙がじんわり。 “死を受け入れることで生きられる”というような、東洋的と思われがちの考え方も、実は西洋でもありなのだとわかるのは文化的な救いにもなるかと。 どんなところにも希望はある、と思えます。
 何故かエンドロールはパールジャム。 それもまたよし。

ラベル:外国映画 映画館
posted by かしこん at 04:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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