2011年12月14日

ヴィラ・グランデ青山〜返り討ちの日曜日〜@サンケイブリーゼホール

 気づけば、この人の作品をよく見ているような気がする。 作家で選んでたわけではなく役者で選んでるんだけど、結果的に作者はこの人でした、みたいな。
 今回も竹中直人&生瀬勝久につられたけど、作・演出は倉持裕さんでした。
 で、特にファンというわけでもない立場から見ると、どうもこの人は不条理ホラーが好きそうなのだ。 だから一度本気でホラーをやってみたらいいと思う。 ホラーかと期待したらコメディ&いい話でちょっとがっかりした『鎌塚氏、放り投げる』と比較すると、はじめからコメディと目されているこの作品はザラリとしたイヤな感触が残るホラーテイストにじむ内容だった。

  ヴィラ・グランデ青山.jpg こんなリゾート光景はない。
  話はすべてマンション内部で。

 バブル期に建てられたマンション、ヴィラ・グランデ青山。 そこの住人である広告デザイナーの民谷(竹中直人)は三年振りに仕事仲間でかつてはここに住んでいたカメラマンの陣野(生瀬勝久)に会う。 娘(谷村美月)の元カレ・鳴川とのトラブルについて相談するためだった。 そこへ鳴川の親友・日野(松下洸平)、住人の津弓(山田優)、管理人の岡根(田口浩正)が絡み、ドタバタした日々&個人の認識のずれが浮かび上がる・・・という話。
 冒頭しばらくは竹中&生瀬の二人芝居が続き、なかなか見せてくれます。
 説明がなく状況から始まって、二人の会話を聞いているとだんだんどういうことかわかってくる。 映像作品ではすっかりオッサンである様子をがっちり見せてがっかりな生瀬だが、舞台だとやっぱりかっこいいんだよなぁ。 それは竹中直人も同じなんだけど(でも遠目だと高橋克実との違いがわからない)。
 認識のずれ、という意味では観客にも“ずれ”が起こる。 登場人物の名前は台詞を音で聴くだけなので名前の漢字変換は自分の頭の中。
 「タミヤ」は「田宮」だと思ってたし、「ジンノ」は「神野」かと。 「ナルカワ」も「成川」と。管理人さんに至ってはずっと「オカベ=岡部」さんだと思っていた(終演後、パンフレットの配役表見てびっくり!)。 このへんの違和感も計算のうちなのかな〜と。
 まったく新しいわけではないが、ひとつの場所で2つの部屋の様子を表現する演出はシュールで、このストーリーによく合っていたと思う。 特筆すべきはそこかなぁ。
 バブル期が青春だったおっさん二人のなんとも言えない友情と個人的な事情。
 年をとったからその分大人になってるわけでもないんだみたいな諦観と、よかれと思った行動の積み重ねが相手に脅威を与えることもあるという話。 登場人物は必要最小限、という芝居の方があたしは好きなようです。
 けれど・・・これはこの舞台そのものとは直接関係ないんだけれど、オリジナル作品でここまで震災の影響がまったくないといえる感じなのも珍しくないか、と感じた(ずっと演劇を追いかけているわけではないのでそう言えるのはこの作品だけではないとも思うのだが)。 もはや、そういう流れは当然なのかも。
 3・11のあとあれだけ“エンターテイメントにできること”を模索していたこの世界、もうその時期は終わった、ということなのか。 小林賢太郎くんの“The Spot”と同じホールで、しかもそれから一年もたっていないのにこの違いはなんだ・・・と唖然としたのは事実である(同じホールだったのが問題だったのかもしれん)。

posted by かしこん at 02:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・演劇・芸術・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック