2011年09月22日

プラムプディングが慌てている/ジョアン・フルーク



 だいたい年に一度のお楽しみ、<お菓子探偵ハンナ>シリーズも12作目ですよ。



 一年一冊のペースで刊行されているものの、作中の時間はその通りとは思えず



微妙に“イソノ界”(『サザエさん』のように季節の風物詩としての時間は流れるが、



登場人物は年をとらない)? それともシリーズスタート時では30歳そこそこだった



主人公の年齢を描写する場面がないのは都合の悪いことをなかったことにする



ためか?(そうじゃなきゃシリーズをいつまでも続けられないよなぁ。 一応、事件と



事件の間は三ヶ月とか六ヶ月ぐらいあいている感じはあるけど)



 まぁ、そんなことを気にしてたらコージーミステリは楽しめないのですが。



   相変わらず可愛いのか怖いのかわからん絵・・・。



 ミネソタ州の田舎町、レイク・エデン。 クリスマスを間近に控えて町中は浮足立って



いるかのようで、ハンナが経営する<クッキー・ジャー>も大いそがし。 しかし、例に



よってハンナは(今回はノーマンも一緒に)死体を発見してしまう。



 最近の作品はミステリとして弱いなぁ、と感じていましたが作者もそう思っていたのか?



序章から殺人事件発生。 ハンナがそれを発見するんだなぁと読者にわからせておき



ながら話は前日に戻り、ハンナが実際に死体を発見するのはなんと200ページ以上



過ぎてから! それまではレイク・エデンの住人たちの会話と関係で話が進むのだ



(勿論、事件への伏線も織り込まれているわけですが)。



 初めの頃は地元に帰ってきて自分のお店を開くことになっても、子供の頃からウマの



合わない母親や妹との関係に苦慮していたハンナ、「自分の意志を通そうと逆らったり



母親を説得しようとしても時間の無駄、うまくあしらっておいた方が面倒がない」と、



いつしか悟りに入って「プライバシーのない田舎暮らし」に適応していく様子を読者は



応援していく話なのかなぁ、と思う(自分だったらハンナのようにうまくやれないと思う



けど、それでも「自立していくのだ」という気持ちを忘れない彼女の生活はある種の



雛型であるし)。 これまでの過程で妹アンドリアとは和解したし、母親との関係も一応



良好。 しかしそれもこれもハンナが心を広く持とうとしているからである。



 結局のところ、住人たちのサイドストーリーによって支えられている部分が大きいし、



知り合いの近況報告を読むような気分になってるもんね。 だから事件のために新しく



出てくる人たちはなんらかの意味を担っているということで・・・。



 あと欠かせないのはハンナの愛猫モシェの存在。 一人と一匹で住んでいる関係性、



自分を人間だと思っているらしきモシェとの日々は楽しいことばかりではない・むしろ



厄介事のほうが多いかも。 それでも消えない、むしろ深まる愛情、というような、動物を



飼っている者にとっては絶妙なリアリティがいい感じ。



 最近いいところのない(生来の自分本位さが見た目のハンサム加減だけではカバー



しきれなくなってきた)マイクと、人のよさ丸出しだが常にハンナを気遣うノーマンでは



勝負あったようなもんだろうと思うんだけど、ハンナは決めません。 今回、ハンナが



地元に戻ってこざるを得なくなった状況をかつて引き起こした卑怯男が何故かレイク・



エデンに・・・というシリーズ中ありえないクリフハンガーで次の本へと引っ張ります。



 ネタに詰まったのか・・・それともハンナがノーマンとマイクのどちらを選ぶのか決断を



迫るための布石なのか。



 まんまと、次巻を待っております。


posted by かしこん at 03:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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