2011年07月31日

小川の辺 (おがわのほとり)

 実は予習のために『山桜』を観たのですが・・・途中の自然風景描写がうまくつながらないとか、結局自分が断ったからこんなことになってるのに純愛に転嫁するのかとか、結末も見る側に丸投げなのもなんだかな、と納得できない部分も多々ありましたが、テレビ時代劇が撃沈してる昨今、映画(しかも東映)を応援したい気持ちはあり・・・不安はありましたが見に行ってしまいました。
 冒頭から台詞の多いヒガシにびっくり(『山桜』ではほとんど喋らなかったので)。
 しかし、程よい冷房・足元のブランケット、そして緊迫感のないゆったりした画面、と揃われ、「これはやばい!」と焦る。 これは、気持ちよく寝てしまいそうである・・・実際、結構寝てしまったかも。
 これもまた問題の多すぎる海坂藩の出来事である。

  小川の辺1.jpg えー、ヒガシの顔写真がありません。

 朔之助(東山紀之)はある日、藩から上意討ちの命を受けるが、その相手は脱藩した佐久間森衛(片岡愛之助)で、朔之助の友人でもあり妹・田鶴の夫でもある人物だった。 できる限り断りたい朔之助だったが、これまで森衛を追っていた人物は病を得て戻ってきてしまい、また森衛に勝てるだけの腕を持った男は朔之助しかおらん、という藩命であった。 武士である以上、もう断ることはできない。
 朔之助は森衛を追う道中に若党の新蔵(勝地涼)を同行させることにする。
 新蔵は位は低いが朔之助兄妹とも兄弟同然に育った関係だった。 二人とも知っていた、田鶴もまた剣の使い手でかつ素直に言うことを聞かない性格であるということを。
 田鶴さん、ワイルドすぎです(ほんとに武家の娘か?と目を見開く)。

  小川の辺2.jpg 田鶴(菊地凛子)のかたくなな表情もまた。
 まぁ、東北の小藩ですから、武家といってもピンからキリまであることは承知の上ですが・・・それにしてもワイルドすぎで、うとうとしていたあたしがびっくりして目を覚ましてしまったぐらいで。
 なんとなく子供の頃から見てたテレビ時代劇の影響で、“時代劇は痛快物”というイメージが残っているのですが(『長七郎江戸日記』大好きでした)、藤沢周平原作の映画とか、去年の『桜田門外ノ変』みたいな史実的時代劇を見ると「結局、封建社会だったんだな」ということを思い知らされる。
 エコ的には江戸時代の生活が見直されてますが、それはあくまで庶民レベルの話。
 武士であれば、意に沿わぬことも命令されればやらなくてはならない、イヤだからと辞めることはできない(その場合は死ななければならない)、場合によっては命をかけることも前提(江戸庶民としても乱暴狼藉の武士の逆鱗に触れれば“斬捨て御免”にあう可能性はある)。
 朔之助の言う「武士とは、難しいものだ」が、テーマでしょうか?
 途中からあたしは森衛さんがひたすらかわいそうになってしまい、「愛之助さん、哀れ・・・」とずっと思っていた(それは最後まで変わらなかった)。

  小川の辺5.jpg だって、藩を思っての行動だったのだもの。
 原作は短編の中でもさらに短いものだそうで、それから一本の映画にしようと思ったらかなりの新機軸なりアイディアなりを盛り込まないと持たないと思うんだけど(事実、あたしは何度も睡魔に襲われました)、それを一切感じなかったのよね。 自然・風景描写を入れることで時間をつないでるような感じ。 そこに美しさがありまた意味がある、というのならばいいのですが、あまり深い意味は感じられなかった・・・。
 ヒガシは時代劇の所作に不自然なところはまったくなく、勝地涼くんもがんばっていたし、愛之助さんは勿論である。 最初のほうしか出てこないけど、朔之助の妻を演じた尾野真千子さんもいかにも武士の妻・武家の嫁という感じで好印象(だからこそ田鶴さんのワイルドさが異様に感じてしまうのでしょう)。

  小川の辺6.jpg 見送る側のこの家族の雰囲気はよかった。
 ラストはもう・・・「それでいいのか!」って感じで。 朔之助にとって森衛は親友ではなかったのか? ならば何故妹を嫁がせたのだ〜!、というそもそも論の無限ループに陥ってしまった・・・それもまた、封建社会のなせる技、なのでしょうか。
 なんか朔之助さんはさばさばした感じになってたけど、あたしは全然割り切れない気持ちでエンドロールを見終わりましたよ。
 あぁ、原作、読んでみるか・・・という気持ちになってきてしまった。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 05:01| Comment(6) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです^^<br>
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小川の辺   実は私山形県庄内鶴岡出身です!<br>
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先日も実家に帰ってきたばかりで、庄内映画村にも行ってきました。<br>
鶴岡は結構たそがれ清兵衛、武士の一分、おくりびと他、沢山の映画が撮影されています。<br>
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映画村のセットはまだ見ていない映画が多く、座頭市ラスト、デンデラ、13人の刺客セットなどを見てもいまいちピンときませんでしたww<br>
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武士の生涯は結構切ないですね、それに女性は封建社会の犠牲になってると思います。<br>
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親の決めた結婚で母は父の顔を見ないで、結婚式の時始めて見たそうです。<br>
昭和26年でもまだ田舎はそんな時代でした、現代に感謝ですね♪(*^ー^*)ニコッ♪<br>
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Posted by ミック at 2016年12月04日 12:51
ミックさま<br>
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お久し振りです! お元気でしたか?<br>
そうなんですか〜、鶴岡のご出身だったのですね!<br>
実は私は学生時代に二年ほど鶴岡市に住んでいたことがあります。映画村のできるずっと前のことなので、どのへんに映画村があるのかいまいちわからないのですが(笑)。<br>
最近の邦画の庄内映画村撮影率はすごく高いですよね〜。そこに目をつけて地域復興を図った人たちはすごいと思います。<br>
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そうですよねぇ、結婚相手、勝手に決められるのが当たり前なんですもんね。文句も言えないし、相手の家でいびられても実家に愚痴も言いに行けないし。武士も「お家のため」に縛られていたけれど、女性もまたもっと違うレベルで犠牲になっていたのですね(でも「犠牲」とは考えなかったのでしょう、けなげですね〜)。<br>
しかし私は鶴岡市に住みながらも一度も藤沢周平を読みませんでした。遅ればせながら、読んでみようと思っています。<br>
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Posted by かしこん at 2016年12月04日 12:51
かしこんさん、お久しぶりです。<br>
奇遇ですね、鶴岡に2年住んでいたとは♪(*^ー^*)ニコッ♪<br>
私は羽黒山の麓の玉川出身です、前は東田川郡羽黒町、今は鶴岡市に合併されましたが。<br>
羽黒山は登った事ありますか?<br>
登ったことがあれば羽黒山の手前に大きな赤い鳥居<br>
があったこと覚えていますか?<br>
そこが私の実家のあるとこです、なんか嬉し(〃⌒∇⌒)ゞ♪<br>
<br>
そこから、ず〜と山の方のに登ったところに(開拓地区)、映画村があります、地域復興を狙ったと思いますが、行ってみてわかることは、アフタ-をしないのと説明不足で、もって2・3年ですね、リピータが来ないと継続は無理だと思います。<br>
でも全国に?知れ渡った?事はうれしいです!<br>
<br>
私は今告白読んでます、沈まぬ太陽は旦那と共有なので3巻途中です(; ̄ー ̄川 アセアセ<br>
藤沢周平の本まだ見ていません、時間があれば読んでみます^^
Posted by ミック at 2016年12月04日 12:51
ミックさま<br>
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お返事ありがとうございます。<br>
私は鶴岡市役所から徒歩10分以内のあたりに住んでいました。貧乏学生向けの木造アパートでした。<br>
羽黒山には流星群を見に行ったことがありますよ! 大きな鳥居、あったような気がします。そうそう、「羽黒山には今も本物の山伏がいる」という話もそこで聞きました! 懐かしいです。<br>
<br>
映画村を観光地として見ると厳しいと思いますが、あくまで「映画のロケ地」と考えてそれでやっていければいい、というのはあるかもしれません(地元の人の雇用ができればいい、とか)。太秦の映画村のようになってしまえば観光客のための維持費にコストもかかり、「安いから庄内映画村を使う」という映画制作側の意向とも合致しなくなるのでは。また、観光地化されていないからこそ残る日本の風景が映画には大事なのだと思います。<br>
ただ、見に行ったからには説明くらいほしいのが人情ですよね・・・難しいです。<br>
<br>
『沈まぬ太陽』、かつて私は御巣鷹山篇を飛行機の中で読みました・・・微妙に縁起悪いとか思いつつも読むのを途中でやめられなくて。<br>
『告白』は是非映画も見てください! 原作を超えてます! そういう作品はほんとに珍しいので〜。
Posted by かしこん at 2016年12月04日 12:51
鶴岡の市役所の近くとは^^<br>
鶴岡公園の桜奇麗だったでしょうね、私はソメイヨシノの桜で育ったので、北海道に来て花見に行ったとき(円山公園)これは桜じゃないと言ってしまいました(; ̄ー ̄川 アセアセ<br>
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告白は娘が観たのですが私はあえてみませんでした。<br>
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今までは本が先行していて、映画を観ると物足りなく思っていましたが(半落ち他)、告白ぜひDVDを借りてみてみますね♪(*^ー^*)ニコッ♪<br>
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横山秀夫のクライマーズ・ハイ御巣鷹山墜落は、沈まぬ太陽とまた違った見方ができるのでは、飛行機の中で読むには勇気がいるかも(*≧m≦*)<br>
<br>
*また送れない・・何回目だろう・・送れてたりしたら何回もごめんなさいm( __ __ )
Posted by ミック at 2016年12月04日 12:51
ミックさま<br>
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大丈夫です、コメント入ってます。<br>
もしかしたら、本文を全部打ってから暗号的なものを入力すれば一回で行くかもしれません。よろしければ、次、お試しください。<br>
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鶴岡公園の桜は、自分が思うよりもいつも早く咲き始めるので「あれ?もう?」と出遅れてました。それよりも季節関係ない、側溝のような周囲の小川にいる大きなコイたちのほうが印象深かったです。今もいるのでしょうか? そばを通るたびに立ち止まってじーっとコイを見ていました。<br>
<br>
『クライマーズ・ハイ』は佐藤浩市のNHKドラマを先に見てしまったので、原作は読みそびれています。映画は見る気なかったのですが、堺雅人が出ていたのでつられました・・・ドラマ版とは違うけれど、会社組織の群像劇として見れば面白かったです(日航機事故である必要があるのか・・・はちょっとありましたが)。<br>
小説を先に読んでしまうと、イメージが自分の中で出来上がってしまうので映画やドラマを見てがっかりすることが多いですよね。私はやっと、「あまり期待しないで見る」ことができるようになりました。そうしたら意外にいいところがあれば+評価になりますもんね。<br>
『小川の辺』、原作読んでみました。なんと38ページしかありません! 映画は基本、原作通りでした。そりゃ、間延びしますよね〜。
Posted by かしこん at 2016年12月04日 12:51
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