2011年06月24日

手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく



 あぁ、なんかやっちゃったよ・・・と冒頭部分でイスからずり落ちそうになる。



 手塚ファンの妹からはすでに公開前から「あれはダメだろ」という警告が来ていた



のだが・・・でも堺雅人がいるんですもの・・・仕方ないじゃん。



 だから覚悟はしていたのだが、それにしても・・・という残念すぎる出来。



   ポスターイメージ。



 2500年前、シャカ国とコーサラ国は交戦状態にあった。 ある日、シャカ国に



「世界の王になる」と予言された王子シッタールダが生まれる。 一方、スードラという



低い身分故に奴隷となっている少年チャプラは母親と平和に暮らしたいがため、高い



身分ほしさにコーサラ国の将軍を瀕死のところで救う。



   チャプラ少年時代。



 何不自由ない生活の中でわずかに生まれた疑問を膨らましていくシッタールダと、



将軍の養子として決死の努力で頭角を現していくチャプラ。 そのためには命も懸ける。



   チャプラ青年時代で声が堺雅人と交代。



 シッタールダ初陣の日、チャプラも敵軍の指揮官として戦場に立つ。 ついに二人の



運命が交錯するが・・・という大変ドラマティックなストーリー展開なのに、なんでこんなに



盛り上がらないのか?



 そもそもタイトルの『赤い砂漠』もなんのことやら・・・みたいな。



 おまけにシッタールダもチャプラも少年時代は普通にうまい声優さんがやっていて、



「これ、成長したからって声の人変える必要なくない?」と思ってしまうていたらく。



 いや、欲目じゃなく堺雅人は結構頑張っていたとは思うよ! いつも気を張ってなきゃ



いけない役だから怒鳴る&声を張る場面が多かったのでそれにも救われたかと。



 しかし吉岡くんは・・・カリスマ性を声から感じ取れません(今後変わるのかもしれない



けれど・・・でもキャラが“へっぽこ王子”なんだよねぇ。 まだ萩原聖人のほうがよかった



かも)。 そして最大のミスキャストはシッタールダの父スッドーダナ王(二十六世観世



宗家・観世清和)。 能の方だけあって、声の質はいいんですが・・・いかんせん棒読み



・・・どんなに偉い方でも、練習はしてもらってください!



   父王と王子、会話なさすぎ!



 しかもこれ、東映アニメ60周年記念作品だそうで・・・言われてみれば東映マンガ祭で



子供の頃からお世話になりました(昔はテレビアニメの寄せ集め劇場版だけでなく、



世界名作の長編アニメもあったのです)。 そういう長い歴史を持っているというのに、



ところどころで「なんじゃこりゃ?」というほどクオリティの低い作画がある(最近アニメを



見ていない素人のあたしでもわかるということは相当です。 その旨、妹に告げれば



「納期の問題じゃね?」という返事が・・・しかしそれでOK出したんだから、それは監督の



責任ではないだろうか)。



 さらに問題なのはチャプラの母とナレーションを吉永小百合が担当していること。



 これは同一人物なのか別の存在なのかが不明なため、チャプラの母が知りえないこと



までナレーションすることに違和感が(おまけに15年たってもチャプラの母は外見が



変わらず・・・さすがにそれは無理があるでしょ)。



 そもそもシッタールダの苦悩が非常に薄っぺらくしか描かれていないので、チャプラとの



邂逅シーンで“彼のオーラにチャプラ、ビビる”、という最大の見せ場もなんかチャプラが



勝手にひとりでおののいてるだけにしか見えないし(ここの作画も最悪)。



   「なんだこのすがすがしいオーラは!」



 すいません、なんか笑っちゃいました(しかも、苦笑)。



 「どうしてものしあがりたい」というチャプラの動機の必然性も薄いというか真に



迫ってこないのよね・・・母親のためなのか権力欲に取りつかれたのか、果ては



世の中の仕組みそのものを変えたいと思ったのか。 その過程が描かれていないので、



彼の気持ちがわからない。 だからせっかくの見せどころ(本来号泣場面のはず!)も、



「あらー・・・」って感じで通り過ぎてしまう。



 シッタールダの解脱場面もあっさりしすぎ!



 まぁ、あたしも考えが変わってきたのかもしれないんだけど、身近な人も幸せに



できない人間が大勢を幸せにできるとは思えなくなってきたんですよね〜。 だから



周囲に理解を求めず(本人としては理解してもらえないから、ということなんだろうけど



わかってもらうための努力が足りないように見える)、いきなり出家なんて自分勝手



だぞ!、と映ってしまうのでした。 それもまた、必要なことが飛ばされているから。



 そもそもこの映画の対象はどこなのだろう。 子供向けにしては説明不足すぎるし



(シッタールダよりも謎の存在・タッタのことはほったらかしすぎだぜ!)、その割に



戦の場面の残酷描写は容赦ない。 大人向けならば人物描写が甘すぎる。



 しかも「何故そこで!」という中途半端なところで終わり・・・なんと三部作なのだそう



である。 チャプラはもう出ないので、2部以降は見ないと思います。



 エンドロールにずらりと並んだ仏教団体の名前・・・これか、これだけのスポンサーが



あるからのんきにつくっていられるのか・・・“アニメーションの東映”も落ちぶれたなぁ、



がっかり。 そんなんだからジブリのひとり勝ちを許してしまうんだぞ!、といろいろ



関係ないことを含めて、少々立腹気味です。


posted by かしこん at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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