2011年06月20日

積読本減らしキャンペーン続行中・・・E



『アイガー・サンクション』/トレヴェニアン



 『サトリ』に入る前に何故かこっちに手を出してしまった・・・。



 ジョナサン・ヘムロックは大学教授で美術鑑定家、そして登山家でもある凄腕の



パートタイム殺し屋。 この設定でもう『シブミ』要素ばっちり! しかしジョナサンは



ニコライのような精神修行が足りないので、気に入った女にうっかり騙されるなどと



いう読み手でもすぐわかる失敗をしたりする。 まぁ、そこが人間的?



 まぁこれがトレヴェニアンのデビュー作だそうなので、ヘムロックのキャラクター



造形をより掘り下げて、ニコライ・ヘルが生まれたのかもしれませんね。



   クリント・イーストウッド主演で映画になってるそうで

                            ・・・それを意識した表紙かしら?



 タイトルの“アイガー”は勿論“アイガー北壁”を指す(なので読みたくなった



わけで)。 とはいえ前半はジョナサンの生活環境・何故パートタイムの殺し屋を



やっているのかなどの紹介で(当然、そこは説明でありながらも面白いわけですが)、



アイガーに行くのはラスト1/4、しかも北壁踏破過程描写はさらに最後、という



引っ張りまくりの作品ですが、映画『アイガー北壁』を見ていたおかげでメンバーが



ルートを話し合う際に出てくる言葉にその光景が浮かぶし、“アイガーバード”と



文中で揶揄される口さがない成金の見物人たちへの嫌悪感にも同調できます。



 しかし、そもそもアイガー北壁をのぼりながら同じパーティの中で自分の標的を



探してしとめようなんて無茶な話なのですが、それを無茶と感じさせない筋運びが



素晴らしい。 さすがに古い作品なのでオチは読めますが、でも面白かったなぁ。



 そうか、雪山が舞台のアクション小説ってジャンルもあるわけか、とちょっと開眼



(これはスパイスリラー・ハードボイルドというジャンルらしいが)。





『おれの中の殺し屋』/ジム・トンプソン



 50年代が舞台だとは思っていたが、なんと書かれたのも1952年だった・・・



その中で人格障害、ソシオパスを一人称で書く・・・すげー。



 そりゃ、スティーヴン・キングも手放しの賛辞を解説に書くわなぁ、と納得。



 映画『キラー・インサイド・ミー』で気になったところを確認したかったのですが、



なんと映画はかなり原作に忠実だったんですね! それもびっくり!



   ジム・トンプソン作品をシックな表紙で

    再発売したらしい・・・扶桑社ミステリー文庫もたまに粋なことをする。



 自分はおかしいと自覚しているやつのひとり語りはかなりやばいです。



 「おれはそうした」と書いてあるだけで「うわっ、また殺したのか!」と思ってしまう



くらい読む側がビビりすぎ(殺したことを指したときもありますが、たいていはそう



ではないのだが)。



 原作を読んでから映画を見たら、映画に対する評価はもうちょっと上がったかも。



 それくらい原作を大事にしていると思う(ただ、それが10年代の映画界で正当に



評価されるかどうかはまた別の話。 主人公のトラウマに逃げた感が無きにしも



あらずだし)。



 しかし小説のほうでは誰も主人公に彼の性癖の理由など教えないし、読者からの



同情も意識しないで進むので、ただひたすらに困惑の海。



 とりあえず、ひたすらにへこむ。



 そしてやばい人には絶対かかわってはいけない、と確信させる書である。



 でも問題は、“やばい人”は一目でわからないということなんだよなぁ。



 あぁ、おそろしい。


posted by かしこん at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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