2011年06月19日

ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路



 邦題が長くなるとブログタイトル枠におさまらない・・・。



 原題は“NANNERL,LA SOEUR DE MOZART”です。



 もう音楽歴史映画はひとつのジャンルとして定着したのであろうか。 それとも



ここ数年で公開が集中したのか・・・まぁ、好きだからいいんですけど。



   偉大なる天才作曲家モーツァルト。

              その陰には、運命に翻弄された姉ナンネルがいた ― 。



 モーツァルト一家が馬車で“ドサまわり”しているシーンから始まる。 そうだよな、と



改めて気づく。 当時、長旅といっても狭い馬車に乗っているだけ。 隙間風もすごい



だろうし、食事だってまともなものがあるとは思えない。 次のスポンサーに出会える



まではこんな旅を続けたわけだ。 父親は自分が決めたことだからいいだろうけど、



モーツァルト姉弟にとってこの日々はどうだったんだろう?



 11歳のヴォルフガング(ダヴィド・モロー)のヴァイオリンと、15歳のナンネル



(マリー・フェレ)の歌と伴奏は各地で絶賛を浴びるわけだが、それは彼女たちの



意志だったのか。 なんだかもうそれだけでやたらせつない。



 旅の途中、馬車が壊れたので最寄りの修道院に助けを求めたら、そこにはルイーズ・



ド・フランス(リサ・フェレ)をはじめとする王の三人の娘が滞在しており、ナンネルは



初めて同世代の女の子の友人をもつ。 ナンネルとはマリア・アンナの愛称らしい!



ルイーズは13歳くらいか? 身分の差は存在するが娘に王位継承権はないし宮廷でも



ないから、どこか孤独な魂の持ち主同士は急速に仲良くなる。



 その過程がとても楽しそうで、見ていてこっちもわくわくだ(のちのち、ナンネルにとって



この時期がいちばん楽しい時代だったんじゃないかということがわかってくることもあり)。



   ナンネル役の方、めちゃ美人という

    わけではないが、意志の強そうな印象深い顔立ちであたしは好きだ。

    なお、フェレという名字の方が多く出演されていますが、監督もルネ・フェレと

    いう名前・・・娘総動員の低予算映画なのだろうか?



 それにしても! 18世紀当時、女がヴァイオリンを弾いてはいけないとか(人前で



演奏するだけでなく練習することも許されない)、作曲することも禁じられるとか・・・



「女には対位法は理解できない、作曲など無理だ」が常識なのである、ムカつくったら



ありゃしない。



 ヴェルサイユに到着し、演奏を賞賛され滞在許可を得ても、ルイーズからの伝言を



渡すためには男装しなければ相手には届けられないのだった。 なのでナンネルは



男のふりして音楽学校に通ったり(実の父親が音楽教師だというのに)するけれど、



王太子とのほのかな恋愛感情は彼のきまぐれによってずたずたにされ、ルイーズは



出家するし、「女として生まれたことで自分の望みは何もかなえられない」と知って



しまう悲劇。 当時、女性はみな多かれ少なかれそうだった、と言われても・・・



やりきれないですよ。



 これで弟がもっと頼りになる性格のやつだったらまた違うのかもしれないけど・・・



『アマデウス』な感じだったら役に立たなそう(コンスタンスと結婚してからは姉の



存在は手紙だけだったような)。



   それでも、演奏しているときの二人は

              とても楽しそうで、息が合っていた。



 なんかつらい! 才能があったのに、運命の流れを止めるすべのないまま時代の



影に、そして弟の才能の陰に隠れてしまった女性。



 そんな人、いっぱいいたんだろうなぁ・・・。



 ナンネルの決して幸福とは言えなそうな晩年がテロップで流れるごとに、心は沈む。



 チェンバロの何世代か前の楽器(名前忘れた・・・)の音色が、美しくて切ない。



 とても低予算映画とは思えない出来なんだが・・・この空気感はヨーロッパならでは



なのでしょうか。 日本映画でも是非挑戦してもらいたい。


posted by かしこん at 04:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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