2011年06月02日

エンジェル・ウォーズ/SUCKER PUNCH



 予告を見たときから「見なければ!」ともいうべき義務感に捕らわれた。



 あたし、スコット・グレン大好きなんです!、ということもあるけれど、それだけ



じゃなく、これは“少女が少女であるために戦わねばならない”という物語。



   近所では吹替版しか公開がなかったのだが

    ・・・どういう戦略? でもちゃんとした人たちばかりだったのでよかったです。

    スコット・グレンは山路和弘さんでした。



 オープニング、一切台詞なしで主人公のおかれる状況を映像と音楽だけで



わからせてしまう手段、相変わらずザック・スナイダー監督、お見事です。



 この映画を「女の子、エロいよね〜」とか「萌え要素が」とか「なんなの、くねくね



ダンスは」などという面から評価する人とは一切協調する気がないことをあらかじめ



お断りしておきます。



 これは、『インセプション』ばりの、多重構造の仮想世界に行かざるを得ない少女



たちの物語です。 それがわからない人には何を言っても仕方がない。



 母親の財産を一人占めするため、義父に罠にはめられ妹を殺され、その罪を



きせられて精神病院行きになるベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、精神



病院のあまりの劣悪な環境から逃避するため想像の世界をつくる。



 そこで出会った賢者・ワイズマン(スコット・グレン)からここを抜け出すための



5つの道具の存在を教えてもらう。 そして同じように(ある程度正常なのに)病院に



入れられている4人の少女たちと結託し、自由への戦いを始めるのだが、そこには



やはり犠牲がつきまとうのだった・・・という話。



 “精神病院” → “病院内の環境で繰り広げられるもうひとつの世界(娼館)” → 



“自由への手掛かりを探すための戦う場所”、と映像は三層構造になっている。



   二層目、娼館にて。

     つまりその精神病院では患者に性的虐待が日常的に行われているという

     メタファーなのであろう。



 主人公の妄想と言ってしまってはそれまでだけど、妄想だからこそろくな訓練して



いなくても日本刀で敵をばっさりやれるわけで、爽快感バッチリ!(どうでもいいですが、



サムライ型ロボット、大魔神に似てますね。 さすが日本のサブカルへの愛情が



爆発してますよ!)。



   戦いの地。



 ここまで現実から逃げなければならない少女たちの気持ち、わかるか?



 そして“自分たちの自由”のために始めたことだけど、いざというときには自分が



犠牲になることもいとわない、こんな友情に涙せずにいられるか?



 とりあえず額に釘でも打ち込みたいムカつく看護士長(娼館のポン引き)、どっかで



見たことあると思ったらオスカー・アイザック・・・『アレクサンドリア』と180°違う



役柄で、ムカつき度がこちらMAXです(濃い顔なのが余計に憎しみを増長)。



 ワイズマン以外の男はみな下品でイヤなやつとして描かれているのも少女を



応援する側としては、やられる際に罪悪感を覚えずに済むので助かります。



 「女子の生きづらさ」を理解できない人には「なんのこっちゃ」の映画でしょうねぇ。



   でもあたしは共感バリバリ!



 でもこれを男性のザック・スナイダーがつくった、というのが驚きでもありますが



納得できるところでもあります(女性監督がつくったらもっと生々しくなってしまうか、



あえて核心に触れない方向に行ってしまうかどっちかな気もするので)。



 派手な映像に対してあまりにあっけなさすぎると感じられるラスト、けれど妄想



世界を生きたベイビードールにとってはそれが彼女にとっての責任の取り方だった



のでは・・・と思うとまた切なく。 そしてどんなにがんばってみたって、現実の



壁は少女たちには強すぎて・・・けれど負けるとわかっても戦わねばならないときが



ある。 やはり負けたとしても、それでも、戦うこと自体に意味があるから。



 最後までかっこいいスコット・グレンにも拍手。 かつて「ハリウッド一の美中年」と



呼ばれていた彼も老けたよね・・・と思ってましたけど、年くってもかっこいい人は



かっこいいのだ!、と実感させていただきました。


posted by かしこん at 04:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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