2011年05月29日

サラエボ,希望の街角/NA PUTU



 『サラエボの花』の監督第二作目・・・と聞いていたので、冒頭から流れるラップ?



ヒップホップ?な音楽に目が点になった。 あれ、こんな映画だったの?、と思って。



   ポスターもそういうイメージじゃないし。



 舞台は現在のサラエボ。 ボスニア航空(?)の客室乗務員として働くルナ



(ズリンカ・ツヴィテシッチ)は空港の管制塔で働く恋人のアマル(レオン・ルチェフ)と



同じアパートで暮らしている。 当たり前の、幸せな毎日のはずが、アマルが



勤務中に飲酒をしていていたことが発覚して6か月の停職をくらう。



 平和に見えるサラエボだが長く続いた内戦の傷跡は今も深く残っており、アマルも



その心の傷からアルコールに逃げていたのだった。 禁酒セラピーに通うことになった



アマルだが、かつての戦友と再会して彼らとの付き合いを深めていく。



 ルナはまったく知らなかった、イスラム原理主義者である彼らのように、アマルも



また原理主義者になっていっていることを。



   しあわせなときもあったのに。



 え、ボスニアってイスラム教なんだ!、ってことにまず驚いた(無知ですみません。



セルビア正教だと思っていた・・・両者をうまく融合させているのだろうか?)。 勿論、



市民の多くは普通のイスラム教徒で、原理主義者は少数派であるようですが。



 内戦から15年だそうですが、神戸で「震災」と言えば「阪神淡路大震災」を指すように



(だからこっちでは「東日本大震災」のことを「震災」と言いづらい。 「あの地震」、とか



「今回の震災」と呼んで区別されます)、さっぱり癒えないものはあるわけで、まして



同国人同士が戦ったとなれば、その傷の深さは簡単に口にできるものではない。



 それはわかるけど、管制塔の仕事をしながら飲酒とは・・・人命を預かる仕事という



意識が欠けている・もはやまともな判断能力がないということ。 それを支えようとする



ルナの姿はかいがいしいですが、アマルにとってはそういう期待も重いんだろうなぁ



(勿論ルナもまた内戦によるつらい記憶を背負っているわけなので、セルビアに暮らす



人々にとってつらい記憶のない人はいないんだけど)。



 皮肉なことに、アマルは原理主義者のキャンプに行って思想は完全に染まってしまう



けれど飲酒癖は克服する。 つまり彼にとっては救いになるものなら何でもよかった



のか・・・「男は弱い」ってのはそういうことなのかなぁ、とちょっと納得。



 ルナはアマルの誘いでキャンプに行ってみるけれど、着る服やら湖で泳ぐ場所にも



難癖をつけられ(戒律上重要なのでしょうが、信者ではないルナにとっては理不尽な



命令としか受け取れない)、ぶち切れ。



   キャンプから戻ってきても、親族の

    パーティーで原理主義思想をぶち上げるアマルにルナは勿論家族も激怒。



 孤立を深めるアマルはますます仲間と行動を共にするように。



 イスラム教の土地でも、原理主義者は受け入れがたい存在なのだろうか(たやすく



自爆テロに結びつきかねないという警戒? 本来の宗教とはかけ離れ過ぎていると



いう嫌悪?)。 同じ宗教の中でも排斥されるということは、ますます過激さに磨きが



かかるということで・・・見ていて「原理主義教」のやっかいさに頭を抱えることに。



 宗教対立って永遠に終わらないなぁ、と思わされるから。



   ルナが帰り道で女友だちと会話する

                シーンが、静かな安らぎでした。



 それにしても、なんでこんなに男尊女卑なのか?



 アマルの仲間が、身寄りのない娘を二人目の妻として娶るシーンがあるのだが、



イスラム教は一夫多妻を認めているけどボスニア・ヘルツェゴビナ的には違法



(しかもその娘は16歳とかだった)。 法よりも宗教上の決まりが優先することに



納得できないルナ、そしてあたしもだ! 花嫁は戒律上、拒否権がないようで、



結婚式の最中ずっと感情を押し殺した目をしている。



 それがすごくつらかった



 タイトルとは異なり、希望はありません。 ただルナの決意を希望と取ることも



できるけど・・・それはそれで悲しさが伴います。



   ルナ、ちょっとこの角度は吹石一恵嬢に似てる?



 あぁ、世界は広いけど、むなしい。



 それでも生きる力強さを「希望」と呼ぶのでしょうか。



 サラエボの現実を描き続けるヤスミラ・ジュバニッチ監督を、これからも追いかけて



みたい感じ。


posted by かしこん at 05:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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