2011年05月24日

キラー・インサイド・ミー/THE KILLER INSIDE ME



 「私が出会った中で最高の、身も凍るような犯罪小説」



 スタンリー・キューブリックの言葉がポスターに引用されていますが、それは



原作小説に対するものであってこの映画に対してではないですよね?



 ちなみに原作はジム・トンプソンの『おれの中の殺し屋』です。



   若干、B級の香りが・・・。



 ノワール系はあまり好みではないのですが(だいたい救いがない話が多い



から)、監督がマイケル・ウィンターボトムだということに期待して、しかしほんとの



下心は予告にちらりと映っていたサイモン・ベイカーだったりしまして。



 ちなみにこれもシネ・リーブル神戸ですが(『ダンシング・チャップリン』と同じ日



でしたが)、整理番号4番でした・・・。 レイトショーだったからということにしておこう。



 オープニングクレジットが時代的なノスタルジックさとハードさをまとめていて



すごくかっこよく、期待が高まる。



 舞台はある田舎町。 保安官助手として働くルー・フォード(ケイシー・アフレック)は、



職場では勤勉で温厚、住民からも頼られる存在だった。 地元の小学校教師エイミー



(ケイト・ハドソン)とは長年付き合っている周囲も認める恋人同士。 何の問題も



ないように見えるルーだが、実は過去に根深い心の傷を負っており、それによる



暴力衝動をぎりぎり抑えていたのだった。



 ある日、上司の保安官(トム・バウアー)から「町のはずれに娼婦が住みこんで



いるようだから町から追い出せ」との命令を受け、その娼婦ジョイス(ジェシカ・



アルバ)に出会ったことでルーの中にある暴力性が目を覚ます・・・という話。



 実は結構豪華キャスト。 期待のサイモン・ベイカーは郡検事で、誰も疑わない



ルーに対して疑惑を深める唯一の人物で、かっこいい!(けどラストでは・・・



 最後までルーを助けようとする弁護士はビル・プルマンで、ネット・ビーティーは



ルーの同級生だったバカ息子の所業に頭を痛める地元の大立者。



 時代設定は1950年代? 60年代? そんなアメリカの田舎町でいかにも



ありそうな出来事が積み重なっていくB級感たるや、どこか『ザ・プレイヤー』にも



通じるところがあるような・・・。



   ある意味、ジェシカ・アルバ、すごい。

   「絶対ヌードにはならない」と宣言されているそうですが、娼婦役でもその態度は

   崩さず、そのかわり(?)殴られっぷりが半端じゃないです。



 CSIがいたら一発でつかまる杜撰で行き当たりばったりな計画、ほんのちょっとの



綻びですべてがダメになるのをわかっていながら、そのボロを隠すためにまた罪を



重ね、もはや相手が自分にとってどんな意味を持つ存在だったのかも忘れてしまった



かのようなルーの心のなくしっぷり、暴力衝動に支配されてしまった男の哀れな末路を



見届けるためにここに座ってしまったよ、と観客にあきらめを突きつけてくるウィンター



ボトム監督、なかなかにお人が悪い。



 でも映画としたらちょっと長いかな? もうちょっと刈り込んだら緊張感が持続した



かなーと思う部分もあれど、時代の雰囲気を大事にした故に間延びしたかなと感じる



ところも。 ちょっと残念。



 内なる矛盾を抱えながら普通どおりに振舞って見せるケイシー・アフレック。



 前のめり気味の一本調子の喋りといい、ほぼ表情を変えない能面ぶりといい、



“壊れた・壊れていく男”がはまってます!(そりゃ兄貴ベン・アフレックより



役者として評価されるよなぁ、と納得)



 問答無用の殺人鬼映画は今年すでに『冷たい熱帯魚』・『悪魔は見た』と見たけれど、



この2本の殺人者たちの“本人たち”にとっては筋の通った殺しっぷりに比べると



このルー・リードはあまりに危うくて、その歪んだ感じが逆にリアリティを呼び、



「こっちの方は現実にありがちな殺人・暴力なのでは・・・」と戦慄させていただきました。


posted by かしこん at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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