2011年04月28日

ヤコブへの手紙/POSTIA PAPPI JAAKOBILLE



 あらすじ見たら、「よくある話」っぽかったんだけど、フィンランド映画って珍しいし、



どういう切り口になるのかと思って、見に行く。



   ほのぼの系かと思いましたが・・・。



 状況説明なしで、仏頂面の女性が仮釈放を認められたことを告げられる。



 自分は終身刑では?、といぶかる女性に、刑務官らしき人物は手紙の束を示し



「身元引受人を希望している人がいる」と告げる。



 いきなりのシリアス感に、少々ビビる。 終身刑を言い渡されるようないったい



何をこの女性はやったのか?



 しかし次のシーンではトランクを片手にほとんど森の中と言ってもいい道を辿る



カットに。 目指す一軒家は教会で、そこにはレイラ(カーリナ・ハザード)の身元



引受人となるヤコブ牧師(ヘイッキ・ノウシアイネン)が一人で住んでいた。



 牧師は盲目のため、彼あての悩み相談の手紙を読み上げて返事を書いてくれる



存在が必要なのだという。 勿論最初から友好的な牧師はテーブルのいちばん



近い席にお茶のカップを置くが、レイラはわざわざいちばん遠い席に座り、カップを



移動させる。 そんないやがらせ・心を開かない意志表示にも牧師は動じない。



 ここに郵便配達人が加わり、ほぼ三人だけで映画は進む。



 うーむ、これは舞台でもできそうだなぁ。



 当然、郵便配達人は突然現れたレイラに警戒し、牧師様に何かするつもりでは、



と敵意丸出し。 レイラはレイラで「こんな仕事めんどくせー」とばかりに届いた



手紙を半分捨てる(中身を改めお金が入ってたら自分の懐に入れる)、という暴挙に



出る。 まったく、イヤな女である。



 が、映画にはまったく描かれないけれども見ている側には謎というか違和感が



浮上してくる。



  1.ヤコブ神父は全国から悩み相談をされるほどの有名人なのか?



 状況は不明だが1970年代と思われる。 有名人ならば手紙だけでなく、直接



訪ねてくる人もいてもいいはずだし、教区との関係で教会関係者との間での役割と



してやっているのであれば、他の教会の人とのかかわりやら連絡があってもよさそうな



ものだが・・・描かれません。



  2.レイラが来てから手紙が届かなくなるのは何故か?



 郵便配達人がレイラを恐れて数日近づかない・・・は心情的にわかるが、仕事なの



だからいつまでも手紙を届けずにいられるはずがない。



  3.悩み相談・救いを求める手紙を書いているのは誰なのか?



 と、根本的な謎に行きつくわけで・・・。



 その謎は最後まで明かされないんだけど、「多分こういうことなんだろうなぁ・・・」



と類推することはできます。 それが、チョイ役っぽい郵便配達人の存在をぐいっと



はね上げることになりますが、それは見てのお楽しみに。



 心を閉ざしているといえば聞こえがいい、ただふてくされているだけにしか見えない



レイラ(また見た目を明らかに美人にしてないところがポイントです)が、はっきり



説教されるわけでもなく、ちょっとしたパンとチーズとお茶とコーヒー、そんな静かな



日常の存在に気が付き、何をしても変わらぬ態度のヤコブ牧師がいて・・・という



ことに心の安らぎを感じていく過程がシンプルながら美しかった。



   手紙を読むのはいつも外のテラスで。



 レイラが心を閉ざす原因は悲しいかな「よくある話」なんだけど、だからって個人が



受ける心の傷が浅くなるわけじゃない。 それを受け止めるヤコブ牧師はもはや人の



レベルを超えた存在にも思えてくるけど、それにもいつか終わりは訪れるわけで。



 感動的、って言っちゃうと嘘くさく聞こえるけど、心揺さぶられる物語だったのは



(ありがちはありがちなんだけど)、確かである。 どことなく寓話めいているのも、



雰囲気に合っていた。 これで90分に満たないのもまた潔い。



 北欧の陽の光は、緯度が高いが故にはかなくて美しい。 そんな映画です。


posted by かしこん at 04:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ミックさま<br>
<br>
コメントありがとうございます。<br>
『ハーモニー』、予告でも「涙なしでは見られないラスト」という感じでした。<br>
WOWOWで放送したら見たいと思います。<br>
<br>
今日はお気に入りのはちみつ屋さんに行ってきました。<br>
お店の人と“はちみつの話”だけをする・・・それだけのことが、とても贅沢に<br>
感じられました。日常は、ありふれていつつ贅沢なものなのですね。
Posted by かしこん at 2016年12月04日 12:51
ハーモニーは最初はそんなに引き込まれなかったけど、後半からラストにかけてはらはらドキドキで、最後は号泣でした<img src="/image/emoji/03.gif" border="0"><br>
<br>
今日は気分転換に美容室に行ってきました。<br>
2か月ぶり、少しづづ自分を取り戻そうとしてます。<br>
<br>
かしこんさんはその後どうですか?
Posted by ミック at 2016年12月04日 12:51
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