2011年03月31日

悪魔を見た/ I SAW THE DEVIL



 この映画の予告を見たとき、呆れた。 今更、ニーチェの「深淵を覗きこむ者は



・・・」を堂々と引用するか? 20年遅れてるぞ!



 だからやめようかなぁと思ったんだけど・・・韓国映画苦手だし、イ・ビョンホンそう



好きでもないし。 でもサイコスリラーは気になりますよねぇ、で、見ちゃったよ、



それが失敗のもとだった。



 話も展開も20年前かよ・・・これ、一応舞台は現代ですよね?



 こんなのに144分も付き合ってしまった・・・時間の無駄だったかも・・・



   ほら、ポスターもこんなにおどろおどろしい・・・



 実は、チケット買うときにカウンターの若いおにーさん(バイト新人?)に「こちら



18歳以上しかご覧になれませんが、大丈夫ですか」と言われて、一瞬意味が



わからなくてぽかんとした(見るからにあたしは18歳以上ですが)。 マニュアル



対応ばかりだと大変だぞ〜、と思ったものの、帰り際には「もしかしたら、グロい



映画ですが大丈夫ですか」と心配してくれたのかもしれない、と思い至った。



 イ・ビョンホンのポストカードをくれたが(いらないけど・・・)、上映終了間近なのに



たっぷり残ってた。 つまりは、そういう映画でした。



 婚約者を残忍な手法で殺されたスヒョン(イ・ビョンホン)は元警察幹部?であった



彼女の父親の協力を得て容疑者の情報を得る(といっても近隣で似たような前歴の



持ち主のリスト)。



   ここで『相棒』の陣川君を思い出して

                        笑ったのはあたしだけか?



 それをもとに犯人ギョンチョル(チェ・ミンシク)を割り出したスヒョンは、



“リアル鬼ごっこ”な復讐を開始するのだが・・・。



 R+18らしく、無駄にグロいシーン多いです。 前半、犯人側の動機とかを



まったく見せない部分はいいんだけど、「え・・・結局、そういうこと?」って



わかってくるのには興ざめ。 そしてイ・ビョンホンの顔にかかる血しぶきの位置



すら計算されつくしたような「かっこよさ残し」、アイドル映画か!



 スヒョンの職業は最後のほうで明かされるんだけど、復讐に取りかかる葛藤が



まず最初からなくて、あのー、わざわざニーチェ引用した“苦悩”はどこに?



 しかもさっさと決着つければ他に犠牲者増えなくて済んだのに、「いつまでも



痛みを与え続けてやる」なんて妙な復讐の仕方をしたもんだから事態は悪化の



一途をたどり(それにしても警察、無能すぎ)、あげく猟奇殺人者仲間まで



登場するに至っては「これはギャグか?!」と開いた口がふさがらない。



   犯人役の方もこれでは役づくり困っただろう。



 しかも出てくる人たちみんななんかピントがずれているというか・・・犯罪者



以外でも姉が殺されたばかりだというのに早速スヒョンに色目を使う妹とか、どんだけ



みなさん自分勝手なの!、という感じ(「うわー、この先、この妹が殺されることに



なっても同情できないわなんか・・・」と思ったし)。 イ・ビョンホン以外ろくな



男は出てこないし(まぁ父親の元部下さんはいいんだけど対応は後手後手だし)、



女性は“自分勝手”か、ただの記号としての“被害者”だけ。



 悪魔の正体は・・・しょぼいなぁ、という感想です。



 あーいう犯人は自分が痛い目にあったからって自分のしたことを反省なんか



しませんよ(そもそも他人に共感する力がないからこそ残忍なことを平気で出来て、



それをよろこびに変えられるんだから)。 むしろ逆上するだけで逆効果なのにな〜、



と妙に冷静にイ・ビョンホンに説教したくなってる自分。 カウンターのおにーさん、



心配はご無用でした。



 せめてイ・ビョンホンからもうちょっと壮絶な苦悩と葛藤が見えれば違ったのにな〜、



アイドル映画の枠を出てないのが大変残念です(しかしR+18のアイドル映画って



・・・韓国映画界、余裕あるなぁ)。





 で、帰ってきてから口直しのつもりで以前録画しっぱなしだった『チェイサー』を



観てみたわけなんですが・・・口直しにならなかったよ! 『殺人の追憶』に匹敵する



サスペンス大作って噂を聞いたんだけどなぁ、やっぱ自分で確かめないとダメだわ。



 それにしても・・・韓国にはこんなにも連続猟奇殺人犯がいるのですか? そして



女性は虐げられすぎです・・・。



   ダメ男、多すぎ・・・。



 まぁこれも画面が安っぽくないのでそこはよかったですが・・・想像力がないことと



危機管理がなってないことはおそろしいですね。 そして一昼夜の出来事だから



仕方がない部分はあれど、見てる側が「他に方法があるのに・・・」と思ったら



こういう話はアウトだと個人的に考えます(考え得る最善の道をとったのに最悪の



結果・・・なら、まだあきらめもつく)。 それなのに最悪の結果だけ見せつけ



られてもだなぁ、気分は滅入るだけなんじゃ!(猟奇連続殺人犯の映画を見て



「気が滅入る」と怒るのは根本的におかしいのはわかってますよ)



 犯人役の俳優さんの気持ち悪さと「こいつ、ぶんなぐる!」と思わせる不愉快さは



十分、追いかける元刑事役の方もうまいんだけど、ダメ男キャラクターが強すぎて



感情移入できない(応援する気になれない)のが残念。



 しかし雨が降る町の中の、絶望的なまでの“闇”感。 こんな町で暮らせるのか?、



と思ってしまうくらい治安悪そうとかという言葉では追いつかない気持ちの悪さは



なんなんでしょう?



 この映画でもキリスト教が大きなモチーフになってますが・・・韓国で広まってる



のはカトリックなんですかね? それとも独自のものが混ざったやつ?



 これも設定は現代なんだろうなぁ・・・全然警察が機能してないんですけど、



大丈夫なんでしょうか?



 でも登場人物からあふれ出してくる感情を抑制するような冷静な演出が光り、



『悪魔を見た』よりずっとましでした(結果的に口直しになってるのか・・・)。


posted by かしこん at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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