2011年03月24日

言霊

 ようやく、ドクターと面談と相成る。
 「で、どうですかね〜」と緊張感のないドクターの問い。
 「よくなってきてたんですが・・・地震を境に一変しました」
 「あー。 ご実家のほうはどうなの?」
 「それは停電ぐらいで済んだんですけど、物流の問題が残ってまして。 ただあたしには東北各地に友人知人がいますし、福島以外は住んだり行ったことがあるので・・・自分の知ってる風景がまったく変わってしまったことのショックはありますね」
 「うーん、もしかしたらそんな感じかなぁとも思っていたけどね・・・これは原因はっきりしてるからあれなんだけど、はっきりしてるから解決って問題でもないしなぁ」
 そんなわけで、ブログでは文章として既に書いてあることを、あたしは初めて言葉として口に出した。 “悲しみの5段階”ってやつの1から4番目までが一気に来て、それがぐるぐる回ってる感じで感情の波が一定しないとか。 専門家がしたり顔で阪神大震災と比較していることに対する怒り、阪神大震災経験者の善意からきているであろうコメントも東北の実態を知らないのがわかるので大変ムカつくこと、無神経な仕事場の若者を殴りつけたくなること、被災者でもないくせにPTSD的症状が出てること、一週間以上も月経が早く来たこと、できるだけのことはしているつもりだが一人のすることには限界があること、現地からの情報が個人的に入ってくるが為にマスコミとの情報にずれがあることがわかり、政府とマスコミをどんどん信用できなくなっていること。
 ときどき「西日本が普通の生活をしなきゃ東日本を支えられない!」って前向きになるんだけど、やっぱり落ち込んでしまうこと。 眠れないことは今はあきらめているが、“普通の生活をする”と気を張っているために大変疲れること。
 結局、あたしのやってることは“戦場の後方支援”に近くて、戦場に足を踏み入れることはないけど戦地にいる人たちの苦悩はストレートに伝わってきて、おまけに彼らが死者の存在を当たり前のように受け入れ始めた過程も見てしまったような気がして、けれどあたしはお風呂にも入れて映画館にも行けてしまうという罪悪感。
 「いっそのこと、ボランティア行く? 今神戸でも精神科医10人ぐらいが現地入りするかって話になってて、でも今行っても何ができるかなぁ、もうちょっと後のほうがいいんちゃうかなぁってなってるんだけど」
 そうなんですよね・・・でもボランティアといってもあたしにできることはあるのだろうかと、むしろ目の前の現実に押しつぶされそうな危険も感じるんですけどね。
 いつもの面談でははそんなに疲れたりしないのだが(むしろ気が楽になることのほうが多いのだが、って、当然か)、今回の面談後は非常に疲れた。 はっきりと言葉にして声に出すって、すごくエネルギーのいることなのだ。
 となると更に「今のお気持ちは」と聞かなくても想像できるだろ!的質問を投げかけるリポーターとやらに殺意を覚える。
 ところでいつから日本のマスコミはこんなに礼儀知らずに拍車がかかるようになったのだろう? あたしの子供の頃は安静が必要な人の病室まで押しかけてインタビューなんてしてなかったと思う。 何年か前、韓国でバス事故か何かあって、運転手が包帯ぐるぐる巻きの状態で病院のベッドに横になってるのを相当数の韓国マスコミがぐるりと取り囲んでマイクを突きつけている映像を見たとき、「ありえないよね」と同じところに住んでいる人と話したものだが・・・いまや日本のマスコミも韓国化している、ということか。 様々ないやな噂がこういうところで肯定されていく感じがして、とても嫌だ。

  ローソンブルーベリーロール.JPG ローソンの、新しいロールケーキ。
 先日見かけて、実家の妹に写メールした。 しかし現地にはないとのこと。
 その後、神戸でも見かけなくなった・・・被災地に送られているのならばよいが。
 コンビニも外のいちばん大きい看板の電気を消すようになった。 節電行動ではあるが、それはそれで地域によっては暗がりを助長してちょっと治安に不安を覚える。
 “夜でも明るい”ことにこんなにも慣れてしまっている自分。
 そして近所のスーパーでは、「懐中電灯・単一電池は首都圏に優先的に納品しております。 ご了承ください」の貼り紙が・・・首都圏なのかよ?(全然計画的じゃない計画停電のため?) まずは被災地じゃないのかよ!
 こっちでも、コンビニ・スーパーの棚に並ぶ商品が少なくなったり、別のものに変わり始めた(いつも岩手産の生ワカメを置いているお店が徳島産のを置いているのを見たとき、同じワカメなのかと思うくらい色も形も違っていてビビった)。
 こっちが少なくなっても、被災地に回るならいい。 けれど東北は大きな企業はないけれど第一次産業の盛んな地域。 各県だけの食料自給率はラクラク100%を越えている(つまりそれだけ他県に農海産物を出荷していたということ)。
 ・・・この先、生鮮食品の食料危機になるんじゃないだろうか、と不吉な考えが一瞬頭をよぎった。
 でも、買いだめはしません。

追記:たまたま見てしまったニュースゼロで、自衛隊の今回の被災地の作戦総責任者のような立場の方がインタビューを受けていた。
  言葉を選びながらも毅然として、ポイントを押さえた語り口だった。
  困難ではありますが自衛隊は絶対に任務を完遂します、みなさんのことを守ります、だから被災地の方々も安心してくださいという強烈なメッセージだった。
  うわっ、今いちばん日本で頼れる人かも、と思わされた。
  覚悟を持って現場で働く方々はほんとにかっこいい。
  (時間が足りないのかこれ以上視聴者に自衛隊に対する好印象を与えてはいかんと思ったのか、話を途中で遮る形で強引にまとめた村尾さんが不憫だった)
  それにひきかえ・・・。

posted by かしこん at 03:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記のようなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。<br>
日本のマスコミは碌でもないくせに「報道」って大きな顔するなと思いますね。<br>
今回の震災にしてもそうですが、犯罪被害者の遺族なんかにも無遠慮にマイクを向けたり。<br>
心身ともにギリギリのラインにいる人に対して追い打ちをかけるような姿は劣悪過ぎて、<br>
私も「殺意」を覚えます。<br>
今回の事で消えてしまえと思ったのは<br>
そういうマスコミとどこぞの野球チームのオーナー、<br>
その新聞社のオーナー(あ、こいつもマスコミの一人か)、<br>
被災者の現状を無視した不謹慎極まりない許せん発言をした東西の政治家。<br>
勿論、義捐金にまつわる犯罪者どもも。<br>
まとめてどこかへ消えてくれないかと真剣に思っています。<br>
私の場合は理不尽を感じてどうしようもない気分になった時は怒りに変換して<br>
こいつともし会うことがあった時は是非とも殴ってやる。なんて考えてちょっとでも<br>
気持ちを鎮めるようにしています。<br>
ただ、かしこんさんは知り合いの方がたくさんいらっしゃたり、<br>
東北への思い入れも私などとは違うでしょうから<br>
その辺りの折り合いはなかなか難しいのでしょうね。<br>
<br>
こんなコメントしか出来なくて申し訳ないですが<br>
同じ関西の某所で、ひっそりと、かしこんさんの精神的な浮上をお祈りしています。
Posted by 懐古庵りゅうこ at 2016年12月04日 12:51
懐古庵さま<br>
<br>
こんばんは。<br>
いつもありがとうございます。こんな乱暴で長い文章に付き合っていただき、更に<br>
“共感”をいただけているのですから、とてもありがたいです。<br>
<br>
昨日の記事に書き忘れてしまったのですが、センバツ開会式の選手宣誓に、泣いて<br>
しまいました。「一度負けたら終わり」な彼らのひたむきさこそ、被災者をはげますに<br>
足るものだと思います。<br>
故に、巨人軍の「プレーで励ましたい」的発言は石を投げられても仕方ない。 現地は<br>
そんな状態じゃないんだ馬鹿者めが! オーナーに意見もできない球団なら気持ちよく<br>
プレーもできないでしょうに、そこまでして「巨人」という名にこだわる必要があるのか<br>
あたしには理解できません。勿論、東京ドームで意地でも開幕したいやつらの家こそ停電<br>
させてやれ、です。<br>
地震後一週間を過ぎてから、火事場泥棒が目に見えて増えています。 生活必需品以外を<br>
盗んでいるようですので、犯人は被災者というよりよそから入り込んできたやつらでは<br>
ないかと考えられます(というか地元の人間だと思いたくないんですよね・・・阪神大震災の<br>
ときもそういうことがあったそうですね)。<br>
何故、そんなやつらが死なないのでしょう。<br>
見つけたらボコボコにしてやるのに、とあたしも想像して気を紛らわしています。<br>
政治家を名乗る無能者もゴルゴ13に仕事を依頼したいところですが、民主主義という一票で<br>
社会的に抹殺してもらいたいと夢見ています。<br>
マスコミも改革したいですよね〜。<br>
<br>
今後も気分の浮き沈みはあるでしょうが、それでも、無能なやつらのために東北をおしまいに<br>
なんてさせたくない。 その気持ちがある限り、あたし自身はなんとかなると思えます。<br>
昨日はとても疲れを感じましたが、今日は少し気が楽になっているような気がしました。<br>
少し吐き出したおかげでよかったのかもしれません。<br>
相性のよいドクターに出会えて、気にかけてもらえていることも運がよかったです。<br>
あたしは人との出会いに恵まれていると思います。 実生活でも、ネットの世界でも。
Posted by かしこん at 2016年12月04日 12:51
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