2011年01月23日

クレアモントホテル/MRS PALFREY AT THE CLAREMONT

 ミセス・パルフリー(ジョーン・プロウライト)は長年の希望であったロンドンの長期滞在のため、パンフレットを見て予約したホテルを訪れる。 しかしそのホテルは彼女が思ったようなものではなく、古くてサービスも行き届かない。 が、亡き夫へのメッセージも込めて、彼女はそこでロンドン滞在をすることに。
 ある日、ホテルへの帰り道に転んでしまった彼女は、感じのいい若者に助けられる。そして、新たな友情が生まれる・・・というなんとも「いい人しか出てこない」映画である(原作者がエリザベス・テイラーとなっていたのでドッキリしたが、あの大女優とは同姓同名のようである)。

  クレアモントホテル3.jpg 出会ってすぐに、孫のふりをしてくれる。
 だが、その「いい人しか出てこない」感じが、すごく心地よいのだった。
 ロンドンでの長期滞在者事情がよくわからないのだが、クレアモントホテルの滞在者たちはほとんど自宅代わりに住んでいる感じ。 富裕層なのか、長期滞在宿泊料は安いのか、まるで簡単な老人ホームのような印象なのだ。 身の回りのことは自分でできるから介護を必要とはしていないけど、食事は出してもらえるし、ラウンジに行けば誰かがいる・プライバシーは確保できるが完全な孤独ではない、というような。
 なんかそれがすごく面白かった。
 ホテルの客の中の主のような女性の毅然としつつ皮肉に満ちたチャーミングさとか、今後あたし自身の老後の参考にしたい・・・と思う感じで。 いや、ミセス・パルフリーの慎み深い上品さもまた参考にしたい。
 老人、というとネガティブなイメージを引きずりがちだが、外国はそういうわけばかりではないんだなぁ、という。 ホテルの滞在客ばかりではなく、年老いたボーイや「ここは素晴らしいホテルです!」と堂々と言ってはばからない支配人とか、すっごくイギリスっぽい。 料理がおいしくなさそうなところとかも、小道具もいい感じ。

  クレアモントホテル2.jpg 楽しすぎる宿泊者たち。
 音信途絶えがちの実の娘や孫よりも、近くにいる親しくなった人のほうが関係が深まるっていうのは全世界共通かも。
 で、助けてくれたハンサム青年であるが、なんとルパート・フレンドである。
 名前出るまでわからなかった・・・また顔が違うよ(と思ったらなんとこの映画、2005年制作なのだった。 売れ始めるぐらいの時期か? つまり印象より若い)。
 作家志望で定職についていないために貧乏で、母親から失望されていることを密かに気に病んでいる。 しかし空気の読める礼儀正しい青年なのである。

  クレアモントホテル1.jpg イギリスの癒し系男子か?
 そんな二人が人生を語り、人生を学ぶ。
 ちょっとおせっかいかもしれないけど決して図々しくはない、守るべきラインはきっちり守る。 そういう“社会生活における人としての礼儀”がそこにはあるのです。
 「おとぎ話だよ、所詮」と言われたら、それまで。 だがおとぎ話で何が悪いのだ!
 おとぎ話にだって毒や闇はあるのだぞ、はっきりくっきり描かれないだけで。
 ジョーン・プロウライトさん、イギリスの大女優だそうで・・・まさに彼女ありき。 ジュディ・デンチでもヘレン・ミレンでもない、彼女だからこそ生まれた説得力と言うべきか。 ルパート・フレンドはさぞ刺激になったというか、役の青年以上に得るものの多かった仕事だったのではなかっただろうか(その後の彼の活躍を考えれば余計そう思えたり。 そういう仕事って、いいよねぇ)。
 “おとぎ話”とはいえ実際、めでたしめでたしで終わる映画ではないのだが、不思議と上映終了後の気持ちは穏やかである。
 とても満足な思いで、あたしは帰り道をたどる。

ラベル:映画館 外国映画
posted by かしこん at 07:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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