2010年12月30日

森崎書店の日々

 神田神保町を舞台にした、若い娘の人生の夏休み。
 一言でいってしまえば最近よくあるそういう映画なのですが・・・でも本好きを刺激するツボがちょいちょい出てくるのが微笑ましく。 でも見るのを決めたのは、ポスターにきたろうさんの名前があったからなんですけど。
 OLのタカコ(菊池亜希子)は付き合っていたと思っていた彼から「俺、今度結婚するんだ」と爆弾発言され、しかもその相手は同じ職場の人で・・・なにもかも嫌になった彼女、仕事を辞める。 そんな娘を心配した田舎の母親が神保町で古書店を営んでいる弟(つまり叔父)のサトル(内藤剛志)に相談、「よかったらうちに住み込んで仕事を手伝ってもらえないかな」ということで彼女は神保町の住人となり、奥の深すぎる古書店の世界を垣間見ることに。

  森崎書店の日々1.jpg 優雅な、店番。

 しかし、タカコさん、かなりイタい人です。 デリカフェ(駅にくっついているベーカリーカフェ)での食事でデート気分とか、自分のパスタにはまったく手をつけないで自分のことばっかり話していたりとか。 別にデートの場所に決まりはないけれど、一緒に食べるってことに何故気を遣わないのか? たいてい、相手より早く食べすぎないように、でも遅れすぎないように考えながら会話もするんじゃない、デートなら。
 そういう考え方のできない彼女はうっかりさんというかまわりが見えないっていうか世間知らずっていうか・・・天然ボケですか? まぁそういう彼女を利用するだけして「捨てた」とも意識しない男は最低なんだけど、傷つくことは一人前になったタカコさんにとってはもしかしたら必要な傷だったのかな・・・と思わないこともない(そのままいったらもっとひどいことに巻き込まれたかもしれないから)。
 そんなタカコさんが成長するために必要な時間と場所。

  森崎書店の日々2.jpg サトルさん、いいやつだ。

 映画的に省略されてるのでしょうが、誘ってくれた叔父さんに明確な返事もしていなければお礼も言ってない。 店番なのに客商売という心構えもゼロ。 勿論傷ついた故に心を閉ざしているということもありましょうが、そんなんだから「メンヘル女」と世間的にさげすまれる用語がひとり歩きするんだぞ!、と思ってしまうのはあたしが意地悪なのか、同族嫌悪なのか。 彼女の気持ちはすごくよくわかるんだけどね。
 事情を深く聞かないサトルさん、好きな本の蘊蓄を聞かせたがる常連さん(岩松了!)、サトルさんお気に入りの喫茶店のマスター(きたろうさん!)・アルバイトのトモコちゃん(田中麗奈)など神保町を愛する人々との何気ない触れ合いの中、ここまで人を引き付ける“本”ってなんなんだろう・・・とまったく本を読まないで生きてきたタカコ、「好きなの読んでいいよ」というサトルさんの言葉を頼りに手触りで読む本を決めていく。

  森崎書店の日々4.jpg となると、読書って自分自身との対話。

 いいなー、うらやましいなー、仕事といってもそんなに大変じゃないし、ずっと好きなだけ本が読めて。
 期待のきたろうさん、出演はそんなに多くないのですが「いかにも!」な役柄でニヤリ。 でもきたろうさんったら表に出過ぎず、ちゃんと映画の中の空気におさまっているのでびっくり! 絶対目立つこと何かやっちゃいそうなのに、しない。
 あぁ、きたろうさんはあたしが思っている以上に本物の役者だったよ・・・。
 そして田中麗奈、美人だ・・・くっきりした美人で、菊池亜希子さんもかわいらしい方なのだが同じ画面で横に映すのはかわいそうだよ、と思うくらい美人でびっくりする(カメラマンもそう思ったのだろうか、その後あまりツーショットアップは使わず、使うときはフォーカスを変えるという手法、賢明です)。

  森崎書店の日々3.jpg その友情、一生続くといいね♪

 まぁ成長物語である以上、何かに気づけばタカコはこの町を出ていくことになるんだろう。 残ってほしいというサトルさんの気持ちを振り切ってでも(しかし自分の存在が財政的に叔父さんに負担になると気づけてきたからだろう。 まわりが見えるようになりましたね)。
 でもそれを執行猶予的に描いたのもまたこの映画らしい「ユルさ」だなぁ、と思う。
 最近の日本映画の単館系王道(ロケ地の主導的支援あり)でもあります。 多分神保町を愛する人々にとってこの映画は特別な存在なんじゃないのかなぁ。
 映画で町おこし・・・企画がやはり、重要です。

ラベル:映画館 日本映画
posted by かしこん at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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