2010年12月25日

100歳の少年と12通の手紙/ OSCAR ET LA DAME ROSE

 これまたタイトルがネタばれだよ・・・わかりやすいけどさぁ、もうちょっと考えてよ。
 お涙系じゃないと客が呼べないとか?  

  100歳の少年とポスター.JPG “神さま、ぼくは、精一杯 生きました”

 オスカーはいたずら好きな10歳の少年だが、彼のやることに大人は誰も本気で叱ろうとしない。 教師ですら彼を腫れもののように扱う。 ある日、ピザを配達に来たピンク色の服の女性とぶつかり、ピザの箱をひっくり返してしまったことで罵詈雑言を浴びせまくりのその女性のことが気に入ったオスカーは、彼女以外とは喋らない!、と反抗。 院長(マックス・フォン・シドー)は頭を抱え、その女性ローズ(ミシェル・ラロック)を探し出してオスカーの話し相手になってくれと頼むのだった。 そう、オスカーは急性骨髄性白血病のため小児病棟に入院中で、通う学校も病院内の教室なのである。 そして余命は、いくばくもない。

  100歳の少年と3.jpg 激突の出会い。

 という、日本映画ならお涙頂戴方向に演出、宣伝もそっち方向に力入れそうな作品ですがさすがフランス映画、なるべくそっち方向にいかないようにする!
 それが大変、心地よかった。
 ローズはやたら口が悪いが、それもまた過去に受けた心の傷から自分を守るため。 ボランティアを進んで引き受けるタイプでもないのに、自分とどこか似た部分のあるオスカーを見捨てることもできずに彼との短いが濃密な日々にすっかり魅せられていく過程が、何故かプロレスリングを介して笑いで進んでいくのですよ。
 そして、「一日で10年を生きる」という提案が生まれ、「生きた時間」について神様に手紙を書く。 ぼくをこんな病気にした神様なんて信じない!、というオスカーに「この私は信じてるのよ!」の一言で黙らせるローズ、すごい(勿論それはオスカーのローズへの信頼のあらわれなんだけど)。
 さすがフランス映画〜、って思うのは、いちいち小物がお洒落なところ。 ローズは名前の通り赤〜ピンク系の色が好きなのか必ず何かにその色が取り入れられている。
 「これに手紙書きなさいよ」と渡された箱にどんと詰まった封筒と便箋は無地だけど色とりどり。 じゃ、神様に手紙を投函するわよ、と風船に手紙を結ぶんだけどその紐までもお洒落なのだ!

  100歳の少年と4.jpg やっぱりお洒落は小粋さだ!

 『ベンジャミン・バトン』とは逆にオスカーの人生が早回しで進んでいくんだけど、見た目が変わるわけじゃないのに精神的に老成していく感じがはっきりわかるのがすごい。 思春期〜青年期は女の子に振り回されたり(いや、キミが女の子の気持ちをわかろうとしないからだよ♪)、愛する彼女といる時間をより大事にかみしめられるようになったり、息子の病を正面から受け止められなくて逃げてばかりに見えた両親の気持ちもわかるようになって許せるようになったり。
 年をとるって、自分のまわりの人のことを、そして見知らぬけれど存在する人々のことを気遣えるようになるってことなんだなぁ!、ということをオスカーから教わるよ・・・。
 あえて泣かせる映画にしなかったことが、余計に胸に迫ります。
 そう、まるでオスカーは天寿を全うしたように、彼を気遣うすべての人々のことを逆に見守っていたかのように感じられるからだ。
 が、院長役がマックス・フォン・シドーであったという意味がわかる瞬間(映画ではっきり語られることはないが・・・)、なんだか微妙な気持ちになった。 戦慄にも似た、それしかないのだろうとわかりながらもそうし続けるのか!、という感覚。
 これはネタばれになるので、気づく人だけ気づいてほしいなぁ。
 思い出すのはつらいけど、けれどそのつらさはいやなことじゃない。 やっぱりそれは、大切な思い出。
 病院の近くでピザやアイスを売り続けるローズの姿は希望に満ちている。
 あー、これもいい映画だったよ。
 うわっ、今年のマイベストテン映画、大混乱が予想されます!

ラベル:映画館
posted by かしこん at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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