2010年11月30日

刑事ヴァランダー・白夜の戦慄2

 BBCのヴァランダー警部シリーズが帰ってきた!、ということで第二弾三作。

  ヴァランダー2.JPG 今月の目玉です、一応。

殺人者の顔/FACELESS KILLERS
 オリジナルの一作目を4作目に持ってくるという荒業ですが、ドラマはドラマで独自の時間軸と世界観を構成した、と思う。 スウェーデン版のドラマの改変ぶり(特にヴァランダー警部の女関係)を考えれば、原作の本質を大事にしてるのはこっちのほうなのかな、と感じる。
 スウェーデンの空気を映し撮った風景にわくわくするし。
 イースタ郊外の農家で老夫婦が惨殺され、金を奪われていた。 いったい誰がこんな残忍なことを? 事件自体は原作にかなり忠実(記憶力抜群の銀行員さんが出てこないのが残念)。 「何故このような恐ろしい犯罪が起こるのか、新しい時代の犯罪に警察組織は従来のままで対応できるのか」という原作での大事な問いかけはドラマ版一話『目くらましの道』に転用されているので、ここでは「誰しもの中にある『外国人』というものに対する少なからぬ偏見・恐怖」がクローズアップ。 『リガの犬たち』と『白い雌ライオン』のドラマ化を潔く諦めたらしく、その二つの事件がヴァランダーに与える衝撃をうまくこの話の中に組み込んでますよ!

笑う男/THE MAN WHO SMILED
 というわけで傷心(というかPTSDで神経症的症状)のヴァランダー警部のもとを父親の不審な死を調べてほしいと旧友が訪れるところからスタート。
 そんなにも彼の心の動きを細かな描写で積み重ねてて大丈夫なのか、時間が足りるのか!、とハラハラするほど丁寧にヴァランダーの再起動過程を描いていく。
 多少事件の筋書きは飛ばしてもそっちに重点を置くことで見る側は完全にヴァランダーの気持ちに寄り添ってしまうのよね〜。
 確信的証拠をすっ飛ばしても勘で犯人ににじりよる姿勢はミステリとしてはちょっと邪道ではあるものの、90分という時間では致し方ないかも。 スウェーデン社会の闇もちょっと弱いかな、『ミレニアム』シリーズに比べると(原作の書かれた時代のせいかもしれないけど、ドラマの設定は現代に置き換えられています)。
 “笑う男”の不気味さよりも“刑事として生きた男たち”のほうが印象的な話になっていた。
  ヴァランダー.jpg 誰よりも苦悩するのは彼ですが。

五番目の女/THE FIFTH WOMAN
 意図的連続殺人、という意味ではいちばん海外ミステリ的だが、『笑う男』とはまた別の意味でお悩みヴァランダー度が高い! そしてドラマの流れも原作ともまた合流(ただ壮大になる原作のプロローグはカットになってしまうのは仕方ないのか)。 ちゃんと「残酷な殺し」をそれなりに再現してるのがさすがBBC!
 でも展開早い・・・。
 惚れっぽいヴァランダーさん、今回もある女性にふらっとしてますが、でもそれ以上には踏み込まないのでよろしい。 それよりもニーベリがフーグルンドと付き合っているのか?!的展開に驚愕! いや、ドラマのニーベリはほんといいやつなので(原作のニーベリもいいやつだが、癇癪持ち的気質もまた面白いんだけどそれはドラマには引き継がれず)。
 これではヴァランダーの喪失感を犯人への共感にしちゃった流れが強引だが・・・これも90分のせい?
 けれど、ケネス・ブラナーがこんなに力を入れて「普通のおっさん」(実際は普通ではないが)をやってるの、他にはないような気がする・・・それだけで、なんだかこのシリーズの格調があがる、と思う。
 今回の3作品は全部原作の日本語訳刊行済みなので、どこがどう変わりどこが変わっていないのかを確認することができてその作業(?)も楽しかった。
 あぁ、原作の続きも読みたい。
 スコーネ地方、素敵だなぁ、としみじみ思うドラマ版。
 オープニングの音楽もすごく雰囲気あるんだけど、エンドロールがいつも早いので読み取れなかった。 今回はコマ送りで見ましたとも。
 音楽をエミリー・ベイカー&なんとかピップスさんが担当とあったので、そこから検索したら“Emily Barker The Red Clay Halo”というバンドがあり、そのアルバムの中に“Nostalgia (Main Theme For Wallander)” という曲を発見!
 これだ!
 アルバム、探します。

ラベル:海外ドラマ
posted by かしこん at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | WOWOW・CATV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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