だいぶ前だが、この映画の予告を見たときあっけにとられた。 北大路欣也がやるような役、あったっけ!?
うーん、結城くんも藤原竜也とはイメージ違うんだけど・・・『デスノート』・『カイジ』といい、非日常にぶち込まれる役が多いなぁ(そもそも『バトルロワイヤル』以来か?)。 彼も役柄が固定されちゃわないかしら。
最初に、ホリプロ50周年記念作品という文字が出た。 え?
てことはプロダクションがらみのキャスティングありきなわけ?・・・がっかりだ、と途端に真剣に見る気をなくした。
そうだよなぁ、そもそも“7日間のデス・ゲーム”なんてサブタイトルがついた段階で原作を活かすことを放棄してるもんな〜。 “INしてみる”の意味にタイトルを限定してしまった罪は大きい。
が、さすがだと思ったのは北大路欣也。 カメラがとらえた瞬間に「アル中のおやじ」だとわかる! しかし語り始めちゃうとその声の説得力でダメな人とは感じられなくなっちゃうのだが・・・。 そんな感じで役者さんの技量の差があまりに出過ぎていて、つらいなぁと思う人も何人かいましたけどね(石原さとみは鬼気迫っててよかったです)。
まぁ多分、『SAW』っぽいことがしたかったんだろうなぁと思うのですが・・・レーティングなしなんで所詮手ぬるいです。 さすがにホラー的演出に冴えは見られるのですが、原作にある「ミステリ要素」が排除されちゃってるんですけど・・・なんでもかんでもボーナスポイントは一律二倍かよ、それで“心理戦”とか言われても・・・(探偵役になるか犯人役になるか、ただ生き残るかどれをとってもボーナスの割合が変わり、それぞれの目標金額になるためにはどの作戦をとったほうが有利なのか・・・という心理的駆け引きが原作では重要ポイントだったような記憶が)。
ただうれしかったのは、娯楽室の書棚の文庫がほとんど創元推理文庫だったことですかね!(ミステリの古典作品がモチーフになっているということもあろうが、『インシテミル』は文芸春秋から出てるけど、作家としての米沢穂信を救ったのは東京創元社だし)。 でもなんでそういうことがわかっていながらミステリ部分を一切活かさないのだろう・・・。
しかもとってつけたような「物見高いが無関心な社会そのもの」ってのも中途半端に描かれてもダサいだけなんですけど。 やるならもっと一歩踏み込め!
これまた「残念だよ、とても残念だよ」じゃないか〜。
『リング』の監督の最高傑作はやはり『リング』のままなんですかねぇ。
しかし映画館にはティーンエイジャーが多く・・・結構みなさん息を呑んでいたり、上映終了後には緊張が解けたみたいなため息と笑いが起こっていたり・・・あぁ、薄汚れた大人でごめんね、という気持ちになってしまった。
そうか、あたしが観客としてふさわしくなかったのか・・・。