『最後の巡礼者』の帯で紹介されていて、「えっ、こんなの、いつ出てたの?」とびっくりしたやつ。 山モノ好きとしては気になるじゃないですか。
探したら、2018年5月発売・・・えーっ、全然気づいてなかったじゃないか。 竹書房文庫は新刊情報が出るのがわりとギリギリで、「30日後までの近刊」を見たときに載ってなかったこともあった。 過去にもチェック漏れがあったということよね・・・。
山岳ガイドのニールは顧客を連れてエベレスト山頂を目指すがアクシデント発生、下山中にあるピッケルに命を救われる。 よく見るとそのピッケルには鉤十字のマークが。
時は遡り1938年、ドイツ人のヨーゼフ・ベッカーは山を越えることでユダヤ人の逃亡を助けていたが、ある日ナチスに捕縛されてしまう。 家族の命と引き換えに、ナチスの栄誉のためにエベレスト初登頂を成し遂げろとヒムラーから命令されるベッカー。
現代ではそのピッケルをめぐってネオナチなどが暗躍、ニールはまたエベレストに戻ることに・・・山頂を目指す二人の運命が時を越えて交差する。
登山描写がぐいぐい読ませる!
だから悪役がいささか単純化されすぎでも、バイオレンス場面多すぎでも、結構一気読みでしたよ。
序盤はニールのエベレスト登頂に引き込まれ、合間に過去を描かれることにもどかしい思いがしたけれど、次第にヨーゼフのほうに引き込まれ(チベットの僧院のあたり特に!)、ニールのことちょっと忘れちゃった。
多くの人が死ぬしひどい話なんだが、なんだろう、このエンディングのさわやかさは。
作者は自分で登山をする人らしく、登山への愛がほとばしっている。
おりしもK2冬季初登頂(ネパールのシェルパ族の方々が中心のパーティ)というニュースも入ってきて、胸アツ。
ラベル:海外ミステリ