2021年01月19日

汝、鉤十字を背負いて頂を奪え/ハリー・ファージング

 『最後の巡礼者』の帯で紹介されていて、「えっ、こんなの、いつ出てたの?」とびっくりしたやつ。 山モノ好きとしては気になるじゃないですか。
 探したら、2018年5月発売・・・えーっ、全然気づいてなかったじゃないか。 竹書房文庫は新刊情報が出るのがわりとギリギリで、「30日後までの近刊」を見たときに載ってなかったこともあった。 過去にもチェック漏れがあったということよね・・・。

  汝、鉤十字を背負いて頂を奪え1.jpg汝、鉤十字を背負いて頂を奪え2.jpg キワモノっぽい印象だが、実は『北壁の死闘』×『神々の山嶺』!
 山岳ガイドのニールは顧客を連れてエベレスト山頂を目指すがアクシデント発生、下山中にあるピッケルに命を救われる。 よく見るとそのピッケルには鉤十字のマークが。
 時は遡り1938年、ドイツ人のヨーゼフ・ベッカーは山を越えることでユダヤ人の逃亡を助けていたが、ある日ナチスに捕縛されてしまう。 家族の命と引き換えに、ナチスの栄誉のためにエベレスト初登頂を成し遂げろとヒムラーから命令されるベッカー。
 現代ではそのピッケルをめぐってネオナチなどが暗躍、ニールはまたエベレストに戻ることに・・・山頂を目指す二人の運命が時を越えて交差する。

 登山描写がぐいぐい読ませる!
 だから悪役がいささか単純化されすぎでも、バイオレンス場面多すぎでも、結構一気読みでしたよ。
 序盤はニールのエベレスト登頂に引き込まれ、合間に過去を描かれることにもどかしい思いがしたけれど、次第にヨーゼフのほうに引き込まれ(チベットの僧院のあたり特に!)、ニールのことちょっと忘れちゃった。
 多くの人が死ぬしひどい話なんだが、なんだろう、このエンディングのさわやかさは。
 作者は自分で登山をする人らしく、登山への愛がほとばしっている。
 おりしもK2冬季初登頂(ネパールのシェルパ族の方々が中心のパーティ)というニュースも入ってきて、胸アツ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:39| 兵庫 ☀| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする