おお、レトロ!、というのが序章を一瞥したときの印象。
昭和41年! 地方の旧家で起こった毒殺事件なんて、いかにも横溝的じゃない?!
前回の『このミス』国内ランクイン作、たまたますぐ図書館で借りられた(でもそのあと予約が入ったようなので、速攻で返した)。

昭和四十一年の夏に起きた楡家での毒殺事件で二人が死んだ。 犯人として被害者の夫が逮捕され、無期懲役となった。
平成二十年秋、出所してきたその男は、「自分は無実である」という手紙を事件で生き残ったある人物に出す。 そこでずっと自分が考えてきた事件の真相を披露するが・・・推理合戦となる往復書簡は一か月ほど続き、その結果・・・という話。
すごく横溝的なものを期待してしまったせいでしょうか、文体はかなり普通で、むしろ「こんな時にこの表現を使う?」という違和感も相まって、なんかのめり込めず。 ミステリ的には正しいんだけど、登場人物にちっとも愛着を感じられないので誰が死のうが誰が真犯人であろうがまったく驚けない。 「あぁ、そうですか」で終わってしまった・・・なんかごめんなさい、あたしがそういう気分になれなかったみたい。
昔「ミステリは人間が描けていない」ってよく批判されたけど、当時批判した人たちはこういう風に感じてたってことなのかな?
ラベル:国内ミステリ