韓国映画のテイストはあまり得意ではないのだが、史実ものだから・・・と思って。 イ・ビョンホンを最初に観たのが『JSA』だったから、その後のキラースマイルイケメン論争には乗っかれなかったあたし、この彼はあたしが思うイ・ビョンホンでした。
1979年10月26日、大韓民国大統領直属の諜報機関・中央情報部(KCIA)の部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)がパク・チョンヒ大統領(イ・ソンミン)暗殺を実行した。 大統領に次ぐ権力と情報をもち、大統領に忠誠を誓っていたKCIAの部長が何故?
時間は40日前に遡る。 KCIAの元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)はアメリカに亡命していて、下院議会聴聞会で韓国大統領の汚職・腐敗を告発する証言した。 すべてを暴露する回顧録も執筆中だともいう噂も。 激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は急遽渡米、かつての友人でもある元部長のパク・ヨンガクに接触する・・・。
韓国、アメリカ・ワシントンDC、パリと動くので、よい意味で韓国映画らしくない。 70年代の空気とか、アングルとか、『裏切りのサーカス』を連想させるところもあり、世界基準かと。 また、「史実を基にしたフィクション」という位置づけですが、その時代のことを全然知らないので、最後までハラハラが持続!
KCIAの元部長でも、かつて部長であったからか「部長」と呼ばれるようだ。 アメリカ大統領が退任しても「大統領」と呼ばれるみたいに?(トランプも今後ずっと「大統領」と呼ばれるのだろうか)、一度は権力の頂点に立った男たちということか。
副題の『南山』とは、KCIAの本拠地。 ナムサンと読むらしい、南無三があたしの頭に浮かんじゃったけど。 歴代のKCIAの部長たちは大統領に忠誠を誓い、かなりヤバいこともやってきたらしい。 でも今のキム部長はそんな時代遅れのことをしては国のためにならない、と考えている様子。
しかし大統領とキム部長が腹を割って話した(ように見える)場面では、二人は日本語で呟く、「あの頃はよかった」と。 おぉ、日本統治時代とつながっているのね! というかそういう時代のことなのか!、と驚いた。 イ・ビョンホンは日本語より英語で喋るほうが違和感なかったな。
その緊張感・・・やはりしびれます。 全編、中だるみもなし。
しかもパク元部長は黒幕“イアーゴ”の存在を示唆するけれど、イアーゴの正体は最後まで言及されない(多分、この人? こういうこと?、というのは最後でわかりますが・・・確信は持てない)。
自分が信じる正義のために動いているはずなのに、思い通りに動けていないキム部長がひたすら不憫だけれど、彼は自分が追い込まれた立場を理解し、全うしたのだとも思えて・・・とにかく、やりきれない。 いやー、イ・ビョンホン、いい齢の取り方してますね。
あー、史実ものはやはり見る側にある程度の知識がないと取りこぼしちゃう。 そもそもあたしは韓国という国の成り立ちからよくわかっていないなぁ、と反省(いや、昔、「なんで北朝鮮が独裁国家なのか」が不思議でちょっと調べたことあったけど、意味が分からなかったというか納得いかなかったのよね・・・その時に韓国のところも見たんだけど、よくわからなかったのだ)。 いま、改めて調べればまた違うかもしれないから、なんか読みますかね。