2020年12月31日

雪が降ってきた!

 燃えるごみを出しに行こう、と夜中過ぎ、家から出たならば・・・玄関のドアノブ、外側が痛いほどに冷たい。 昼間は暴風警報だったし、数年に一度の寒波はこちらにも影響を与えているのだろうか、と振り返れば・・・雪が降っているじゃないか!
 早々にごみを出してきて、家に戻って携帯電話を持ち出す。 うーん、この雪、写真に撮れるだろうか。

  20201231雪が降ってる1.JPG 空が真っ暗ではないのは、雪が結構舞っているからです。
 いつもよりも明るく感じるのは、降ってきた雪が地面に落ちて溶け、路面がぬれているから。 朝まで降り続けば少しは雪も積もるかな?

  20201231雪が降ってる2.JPG おまけに満月なのでした。
 街灯とかじゃないですよ、月です。 白く流れて見えるものは雪ですよ。

  20201231雪が降ってる4.JPG シャッタースピードを遅くした。 雪の動きが線になって見える。
 とらえきれない細かい雪も結構あって、スマホを持つあたしの手はかじかみ、本体を落としたりはしないかとドキドキ。
 寒いけど、やっぱり雪が降るのを見るとテンションが上がるなぁ!

ラベル:季節もの
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2020年12月30日

私をくいとめて

 今年最後に行った映画は『私をくいとめて』になりました。 しかもよりによってクリスマスイヴに観ちゃったという・・・他意はなかった、行けるのがその日しかなかった。 「木曜サービスデイなのに今日はやけにすいてるな〜」と思ってから気づいた(汗)。
 『勝手にふるえてろ』の原作×監督コンビの二作目、題材はまたしてもこじらせ女子。

  私をくいとめてP.jpg わかりみ深すぎ崖っぷちロマンス!

 会社員として働くみつ子(のん)は31歳、おひとり様ライフを満喫中。 今の状況にも焦らず楽しく生きていられるのは、彼女の脳内に相談役のA(声:中村倫也)がいて、会話や悩み相談をしているから。 しかし取引先の営業担当・多田くん(林遣都)に恋していることに気づいてしまい(Aに気づかされてしまい)、みつ子の平穏な日々は崩れ去る・・・。

  私をくいとめて5.jpg ちょっといい焼肉店にも一人で入るよ♪
 冒頭からみつ子とAの会話、特にみつ子の意外にもぞんざいな喋り方にひるむ。 みつ子、ちょっとヤバいやつだな!、と一人の世界に浸るアラサー女子のあやうい狂気を感じるから(それはまた、かつて自分も持っていたものだと思うから)。 でもヤバさを最初から出すことで、だんだん「いや、みつ子、結構普通では?」と思わされてしまうというか。
 だってみつ子はちゃんと働いているし、自分で料理もするし部屋も片付けるし、休日は外に出る。 黙ってたらかわいいし、A以外と喋るときもかわいい。 こじらせているとしても復帰しようと思えばすぐにできそうな立場なのである。

  私をくいとめて3.jpg 先輩お局ノゾミさん(臼田あさ美)、最強すぎる。
 ヤバさで言えばノゾミさんのほうがヤバいが、彼女はもう突き抜けているというか、自分はこれでいいという強さがあるのでこれはこれでいいと思う。 みつ子はそんな先輩とすごく仲がよく、そういう相手が一人でも会社にいるんだからみつ子はそんなにひどくないよ、とか思っちゃう。 勿論、みつ子もノゾミさんがいるありがたさを実感しているわけだが。 二人の会話シーンはなんだか楽しかった。

  私をくいとめて1.jpg で、多田くんがかわいすぎる!
 一部女性たちから「あの中ではいちばん出世しなさそう」と評価を下される多田くんなのだが、いろいろ不慣れ感全開! それでも誠実感ダダもれ! なんてキュートなんだ! それぞれ違う役の林遣都を知っていなかったら、この多田くんのイメージで林遣都に惚れてしまいそうなほどである。 そりゃ、みつ子も好きになっちゃうよね、という説得力抜群。 でもラブストーリーは主軸ではないのだ、他者を好きになることをみつ子が受け入れ、一歩踏み出すまでのぐるぐるがメイン。 多田くんよりAのほうが台詞絶対多いよね!

  私をくいとめて4.jpg 唯一の親友・皐月(橋本愛)に会いにイタリアまで行く。
 みつ子にも皐月にもトラウマとなっている深い事情があり・・・でもそれは特別な事情ではなく、誰しもに心当たりがあるようなこと。 些細なことだろ、と言われてしまうかもしれないけど、してる側には深い意味などないのかもしれないけど、された側は深く傷つくし、それが社会における“生きづらさ”をつくっているのだと、ほんとにわかってもらいたい。 フェミニズムは女性の権利だけを声高に叫んでるんじゃない、立場の弱さや強さを理解し合うことでみんなが自由になりましょうという考え方なので。

  私をくいとめて2.jpg 築地本願寺に向かって拝んでいます。 東京でも築地エリア周辺なのがよい。 みつ子の会社の社員食堂はオシャレだけど!
 できる女澤田さん(片桐はいり)もかっこいい。 でも「できる女」という部分だけで判断し、澤田さんの背景に気づくのが遅れちゃうのも、みつ子もまた視野が狭かったということなのだが。
 大瀧詠一の“君は天然色”のリピート具合、何故か新しい生活様式を取り入れているかのようないくつかのショットなど、いつつくられた映画なのか不思議に思えたけど、たまたまそういうこともあるのでしょう。 133分という長尺で、もうちょっとうまく編集すれば長さを感じさせなかったとも思うのだけれど、のんの感情豊かな表情をカットしたくなかったのかな。 作家性が強い作品でもありながら、主演女優の魅力が詰まった種類の映画だった。

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2020年12月29日

ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢/THE HIGH NOTE

 <『プラダを着た悪魔』×モータウン>、みたいな予告編につられて。 ときにはこういう手ぬるそうな映画もいいよね(褒め言葉)。

  ネクストドリームP.jpg 頂点にいくためには、底辺からはじめるしかない。

 かつてビッグヒットを飛ばし、ベテランシンガーとして活躍中のグレース(トレイシー・エリス・ロス)のアシスタント・付き人として毎日雑用をこなしているマギー(ダコタ・ジョンソン)だが、いつか音楽プロデューサーとしてこの業界で働きたいと願っている。 またグレースは大スターだが「所詮懐メロ歌手」と一部に言われていて、新曲を出したいのだが今はリスクが高いとブレーンたちに理解してもらえない苛立ちを感じている。 二人の夢の行方は・・・。

 予告編のイメージだと、グレースは落ち目の歌手かと思ってたんだけど全然そんなことはなくて、ライブでもガンガン広い世代の観客を動員しるし態度もまた大スター(えらそうなところが過去の栄光にすがっている感じはあるけど)。 マギーと一緒のサクセスストーリーを期待するとちょっと違う感じ。
 でも音楽はノリノリで楽しい! グレースを演じるトレイシー・エリス・ロスはダイアナ・ロスの娘だそうで、まさにあのサウンドをアップデートした感じ。

  ネクストドリーム4.jpg グレースのマネジャーのジャックはアイス・キューブだ!
 業界あるあるも興味深いですが、役割的序列というか、「アシスタントならばそれ以上のことに口を出すな」的な感じが契約社会アメリカだった。 目指すところが同じならば、いい意見を取り入れるのもありなのでは?、と考えてしまうあたしは甘いんだな・・・ということを思い知る(勿論、信頼関係があってこそではあるが)。

  ネクストドリーム1.jpg グレースとマギーの関係描写がさりげないが、いい。
 マギーがやたらドジっ子みたいに描かれていないし、グレースもわからずやではないし、と無駄にイライラしなくてもすむんだけど、マギーの他人を尊重していない感もさらりなので、彼女が痛い目を見るところも大きなダメージを受けているのかどうかよくわからない・・・観ている側もあまり落ち込まなくてもすむからそれでいいのか?
 それがイマドキっぽいのかもしれないけれど、あまり残らないかも・・・バランスってむずかしい。

  ネクストドリーム2.jpg マギーは駐車場で歌っていたデヴィッド(ケルヴィン・ハリソン・Jr)を気に入ってプロデュースしたいと申し出る。
 音楽プロデューサーという仕事はこういう感じです、と示したのは新しいかも。 そこまでやるならアレンジャーの仕事は?、と思ったりもしたけど・・・境目がむずかしい職業なのね。 だからこそたやすく恋愛に行ってほしくなかったかなぁ。 グレースとジャックの、アーティストとマネジャーの絆がなんだかんだいっていい感じだけに。
 ビル・プルマンがマギーの父親として登場、など、地味ながら堅実なキャスティング。 ダコタ・ジョンソンはこういう普通っぽい役でこそかわいさがいきる気がする(『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を否定するつもりはない)。 『プラダを着た悪魔』と比較しちゃうのはよくないよね、まぁ同傾向と言ってしまってはそれまでですが。

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2020年12月28日

今日は12冊(2020年ラスト)。

 年末感はまったくないのだが、今年の本の買い納めはこれである。

  レベレーション06.jpg レベレーション ―啓示− 6/山岸凉子
 そろそろ終わるかなぁ、と思っていたが、今回最終巻でした。 1巻からまとめて読もうっと!

  雪の階1奥泉光.jpg雪の階2奥泉光.jpg 雪の階/奥泉光
 個人的に奥泉光は『グランドミステリー』がイチオシだけど、背景に二二六事件があるやつにはなんか惹かれてしまうものがあり・・・。

  真っ白な嘘【新訳版】フレドリック・ブラウン.jpg 真っ白な噓【新訳版】/フレドリック・ブラウン
 ミステリ要素の強い短編集。 『シカゴ・ブルース』とどれだけ雰囲気が違うかなぁ、と。

  赤江瀑アラベスク1天上天下.jpg 天上天下 赤江瀑アラベスク1/赤江瀑
 <赤江瀑アラベスク>として全三巻刊行予定の一冊目。 結構読んでないのがあるし、なんだかんだ絶版になっているので、こういう形でまとめてもらえるのはありがたいです。

  短編ミステリの二百年4.jpg 短編ミステリの二百年 4/小森収:編
 知っている名前が多くなってきました、時代が近づいてきている証拠でしょうか。 評論部分がついに半分以上になってますが、これもちゃんと読むといろいろ勉強になる(自分の空白部分がどのあたりか、とか。 自分の偏り具合とか)。

  つけ狙う者1 ラーシュ・ケプレル.jpgつけ狙う者2 ラーシュ・ケプレル.jpg つけ狙う者/ラーシュ・ケプレル
 なんと『砂男』の続編の邦訳が!

  遺訓 佐藤賢一.jpg 遺訓/佐藤賢一
 庄内藩側から見た西郷、というのに興味が。 佐藤賢一が日本の時代物って珍しいなって一瞬思ったけど、前に『女信長』読んでるじゃん、自分・・・。

  塩野七生 小説イタリア・ルネサンス4.jpg 小説イタリア・ルネサンス 4 再び、ヴェネツィア/塩野七生
 完結巻。 「なんか厚い! 値段、高い!」と思ったら書き下ろし400枚収録とのこと。

  43回の殺意.jpg 43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層/石井光太
 この事件のことはあまり追いかけてなくて・・・なんでだろうと考えて、思い当たる節あり。 逃げてはいかんと思いました。

  美食探偵明智五郎07.jpg 美食探偵明智五郎 7/東村アキコ
 こちらも最終巻かな・・・と思ったら終わってなかった!
 テレビドラマとは違う方向に進めてくれるのかな、おっと、こんなところで終わられても!、でした。

ラベル:新刊 マンガ
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2020年12月27日

天外者 てんがらもん

 観に行くか迷ったけれど、行かなきゃ行かないで後悔するかもしれない(『キンキーブーツ』の再演に行かなかったことをすでに後悔していたから)。 しかも神戸市内では109シネマズHATでしか上映してないし(25日から神戸国際松竹でも上映開始になりました、その後OSシネマズハーバーランドでも上映予定)、レイトショー設定の時間は遅めだが、行ってきた。

  天外者P.jpg 時代を超え、志は未来に生き続ける――

 江戸時代末期、黒船来航の衝撃が全国を揺るがしていた頃、長崎で若き薩摩藩士・五代才助(三浦春馬)は新たな時代の到来を前に自分にできることを模索していた。 坂本龍馬(三浦翔平)らと出会い、生まれに関係なく誰もが夢を持てる国にしなければとイギリス留学を志すが・・・激動の時代を駆け抜けた若者たちの物語。

 長い話を109分でまとめてしまう力技、清々しいほどの省略っぷり。 五代友厚について、幕末について多少知識がなかったらついていけないことも織り込み済みのように。 あたしは朝ドラ『あさが来た』でディーンフジオカがやってた人ですよね、ぐらいしかなかったので説明不足をひしひしと感じてしまいました。 多分、五代友厚は大河ドラマの主役にしてもいいくらいエピソードが多そうなので、映画一本では無理と割り切っているのかもしれない。

  天外者1.jpg お約束のアクションもあり。
 当時の長崎にはいろいろな人が集まっていたのだな・・・と。 勝海舟(丸山智己!)がいるから海軍操練所の頃ですかね、地理的にも江戸よりは薩摩や長州の人たちが多いし、学問を求めてくる人もいる。 でも開国を望まない人たちもいて・・・「問答無用!」と刀を抜くやつらも。 あぁ、こういうのがいるからあたしの中で薩長のイメージが血なまぐさいままなのだ。
 始めのほうは「あぁ、製作費が少ないんだなぁ(キャストはコネでなんとかなっても、資金のなさはいかんともしがたい)」と悲しくなってしまったのだが、キャストの熱演に引っ張られ、次第に気にならなくなった。 地方発の映画としてはまれに見る豪華キャスティングですし。

  天外者2.jpg 海援隊の活動ですね。
 龍馬は早々に名前が出るけど、森永悠希演じる長州藩の若者は利助という名前だけで(わかる人はそれだけでわかるんだろうけど)、「イギリス行く!」ってなって「こいつ、『長州ファイブ』か!」と気づく。 のちの伊藤博文でした。 登場人物の名前を最初から明確にしないというのは粋だけど。 西川貴教もかなり後半で「弥太郎!」と呼びかけられて、あ、この人、岩崎弥太郎なのかと気づく有様。

  天外者3.jpg 西川貴教、意外によかった!
 スクリーンでアップで見ると「TMさん、老けたな・・・」と思っちゃったけど、一人置いて行かれて屈折した感じとか佇まい含めて、存在感あり! ミュージカルや舞台が多いイメージだけど、時代物結構いけるんじゃ! 大河ドラマにも出てほしい!
 また三浦翔平が坂本龍馬ってスマートすぎてどうなのかなってちょっと思ってたけど、これまた意外に程よい野太さが出ていて、若い頃の上川隆也を思い起こさせる感じがすごくよかった。

  天外者4.jpg こんなにも掘り下げ不足、説明不足の映画だが、それでも最後まで引っ張られるのは五代友厚を体現する三浦春馬がいるから。
 「これを入口に五代友厚を知ってください」ってことなのかもしれないけど・・・まさに、今後彼をメインに大作ドラマがつくられるとして、誰が五代をやるんだよ・・・春馬くんがいないと意味ないじゃん。 周囲の人間にすごく慕われていたことを本人とその家族だけが知らないまま亡くなった、みたいなところまで真似しなくていいんだよ・・・。

 映画を観た後、関テレ制作のドキュメンタリーを見た。 <「五代友厚」制作委員会>ってあったからタイトル付けにも難航したんだろうなぁと予測はしてたが・・・地方発映画の難しさが垣間見えた。 けれど省略されてた五代友厚の部分がこれで補完されたのも確か。 ドキュメンタリーを見ると映画の評価が上がるけど、映画単体でとなるとね。 これは役者を観にいく映画です。

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2020年12月26日

ざわめく傷痕/カリン・スローター

 この年末年始にも読みたいものはいっぱいあるのだが、録画してある映画やドラマも観ないといけないし、休みがいくらあっても足りないよぉ! というか不要不急の外出は避けるべきなのだが来年の仕事の初日は4日である。 28日は休みだけど29日はちょっと出なきゃ! というわけであまり長期休暇の気分にはなれなくて、さらに言うなら例年以上に年末感も薄いのである(クリスマスイヴも三日前くらいに気づいた感じ)。 図書館から予約してた本もどっかりきちゃったよ。 あぁ、なんかいそがしいんだけど。
 そんなバタバタな今週、往復の通勤その他で読み終えたのがこちら。

  ざわめく傷痕 グラント郡シリーズ カリン・スローター.jpg “KISSCUT”
 2002年に書かれた<グラント郡シリーズ>2作目。 前作『開かれた瞳孔』の約4カ月後の出来事。
 土曜日のスケートリンク、小さな町では多くの人でにぎわう場所で起こった発砲事件。 13歳の少女が少し年上の少年に銃を向けている。 現場に居合わせたグラント郡警察署長ジェフリーは少女を説得するが失敗、彼女を射殺してしまう。 また現場付近のトイレから未熟児の遺体が発見される。 少女が出産し、少年がその父親ではと推測されたが、少女は妊娠したことはなかった。 しかし少女にはそれ以上に意外な傷痕があることを検視官で町の小児科医でもあるサラが確認し、事件の背後に何があるのかまったく予測ができなくなっていく・・・。
 相変わらず、ひどい話です。

 『開かれた瞳孔』を読んだのは三年以上前ですが、細かいところをあまり覚えてなかったな、とこれを読んでびっくりしつつ思い出す。 <ウィル・トレントシリーズ>は<グラント郡シリーズ>の終了とともに始まっているので、訳者あとがきにも「サラが若い」と書かれているんだけれど、今のサラは精神的に動揺していても仕事・職務を優先する強さがあるなぁ、と(つまりこの頃には動揺のあまりに仕事がおろそかになるということ)。 恋愛面でぐるぐるするところはそこまで成長できているとは感じないけど。 本作でサラは30代後半ぐらい、最近の『贖いのリミット』では40代後半ぐらい? 怒涛の十年・・・。
 グラント郡警察、初の女性刑事であるレナ・アダムズも前作で双子の妹が殺され、本人も犯人に監禁されて死にそうな目に遭ったのに(そして確か<グラント郡>最終作でものすごい罪悪感を背負うことになる)、彼女はまだまだ苦しみから逃れられていない。 本作ではむしろレナが主役ではないかと思うほど。 この流れを知ってから『ブラック&ホワイト』を読み返すとまた違う気持ちになるのかも。
 ジェフリーに対してはあまりいい印象がないまま、本作でもそれは覆らなかった。 ちょっとマチズモ的感覚から逃れられないところかな?

 事件に関しては・・・翻訳時差があるため新しさは感じられないのですが、“救いのなさ”はずっとカリン・スローターが描き続けてきたもの。 逆に「弱きものとして生きなければいけない苦しみ」がリアルに伝わってくるようになってしまいました。
 倫理的なものを人間に求めるのは間違いなのか、法律で厳密に決めなければいけないのか(法の不整備ですり抜けてしまうのは絶対ダメなことだが)、決めたからといって子供が食い物にされることはなくなるのか、考えるとぐるぐるして壁とか叩きたくなるけど、現実から目を背けない・予兆を見逃さない・必要な行動は起こす、そういう大人でいなければ、と思います。

ラベル:海外ミステリ
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2020年12月24日

メリークリスマス!

 新しいスマホで写真を撮り始めています。
 しかしふと気づく。
 「これってどうやって写真をパソコンに取り込めばいいのか?!」
 SIMカードの横にmicroSDカードを入れてますが・・・これをいちいち抜き差しするの、なんかいやだな。
 いやいや、このときのためにGoogleにアカウントを作らされたのではないか。 PCからGoogleにログインすればクラウドに写真があって、それをこちらのPCにダウンロードすればいいのだ!
 理屈がわかったらちょっと安心。 さっき初めてこのPCに写真をダウンロードして保存しました(まだそんなにたくさん撮ってはいないけど)。

  20201224クリスマスツリー2.JPG レンズの画角が広い!
 ガラケーのカメラに比べてピントがくっきり撮れてる! でも画像を小さくすると写真によってはそんなに大きく変わってないかも・・・(前のガラケーが、ガラケーにしてはいいカメラを搭載していたから―CASIOのデジカメが入ってたから)。
 というわけでオーナメントがあふれまくりのクリスマスツリーの写真です。
 みなさま、メリー・クリスマス!

ラベル:季節もの
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2020年12月23日

ノッティングヒルの洋菓子店/LOVE SARAH

 <ノッティングヒル>で<洋菓子店>、色鮮やかなお菓子が映ったポスター、これは狙われてるな!、とまんまとつられてやってきました。 つくづく、イギリスは食べるものがおいしくなってるんだねぇ。

  ノッティングヒルの洋菓子店P.jpg 悲しみはスパイス、喜びは隠し味。あなたの思い出、お菓子にします。

 舞台はロンドンのノッティングヒル。 確かな腕を持つパティシエのサラと親友のイザベラ(シェリー・コン)は夢だったベーカリーをノッティングヒルにオープンするため、様々な努力を重ねて開店直前までこぎつける。 しかし、不慮の事故でサラを失い、店の存在は暗礁に乗り上げる。 出資者は手を引き、物件を他の人に譲らなければお金が返せないと決意するイザベラだが、サラの娘クラリッサ(シャノン・タルベット)は納得せず、祖母ミミ(セリア・イムリー)も経営に引っ張り込んで店をオープンしようという。 そこへ昔、サラと因縁があったマシュー(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)がパティシエを志願してくる。 彼は星つきのレストランで働くシェフなのに、何故? イザベラはマシューへの悪感情を隠そうとしないが、クラリッサは「彼がもしかして私の父親かも」と思い、まずは試食用のお菓子を作らせてみる・・・。
 ヨーロッパでは、ベーカリーはパンだけでなくスイーツを置くのが普通なんだけど、映像的にパンはあまり映らず、だから邦題が<洋菓子店>になってしまったのかな。 原題“LOVE SARAH”は彼らが開くこのお店の名前、サラへの想いで集まった人たちが働くお店。

  ノッティングヒルの洋菓子店6.jpg はじめの頃、並ぶのはフランス菓子ばかり。
 そもそも、腕を見せるためにとマシューがつくった一品目が、<イスパハン>(ローズとフランボワーズのマカロンケーキ)。 それってピエール・エルメの専売特許では? マシューって腕はいいけどオリジナリティがない? お菓子は専門外?、それでもこのお店にこだわる理由あり?、とマシューの目論見につい注目。
 ロンドンのナンバーワン有名デリ<オットレンギ>がお菓子を監修!、というのがこの映画の大きなウリですが、最近スイーツのトレンドを追いかけていないのでどれくらいすごいことなのかよくわからない・・・。 マシューとサラとイザベラは20年前、パリの製菓学校に通った同期という設定なので、並ぶお菓子はフランス式なのだろう。 ポットの紅茶をお供に並んでるケーキを一口ずつ食べてみたい! イギリスの食事、ほんとにおいしくなっているんだなぁ(まぁお菓子なら、種類は少ないがイギリス式もおいしいけど)。

  ノッティングヒルの洋菓子店1.jpg 広くもない厨房で、よく何種類も作れるなぁ。
 遠目にフランスパンが映ってたり、お客さんがパンオショコラやクロワッサンを買い求めているので普通のパンも作っているらしい・・・すごいな。
 が、お菓子は添え物にすぎない。 主題は、大切な人を思いがけず突然失った者たちの落胆と再生。 ミミはかつてブランコ乗りとしての栄光に包まれたのに、今は何もすることがなく(多分十分な稼ぎはあるのだろう)、一人娘のサラと関係も良好ではなかったところの事故。 クラリッサはバレエダンサーとしての道を歩んでいたけれど、悲しみのあまりバレエができず、“喪の仕事”としてベーカリーの仕事にのめり込む。 イザベラは自分も作る側だったが、サラの才能に感服して彼女を支える側・店舗経営の実務面に回っていた。
 悲しみに向き合うことで自分の人生にも向かい合う。 ありがち話かもしれないけれどぐっときた。 感情を表に出すのが苦手な人たちが多いイギリス映画だからかもしれない。 「言葉にしなきゃダメなのかよ!」と開き直るのではなく、素直に言葉に出さない・出せないことにうしろまたさを感じてるっぽいのがいい。
 またオープンしてからすぐ店がうまくいかないのも王道だけどいい。 作りたいものより、お客さんが食べたいものを作るという姿勢への転換に、多文化都市・ロンドンの今の姿が。

  ノッティングヒルの洋菓子店3.jpg 意外にもカギとなる抹茶ミルクレープ。
 えっ、日本を思い出す洋菓子って抹茶ミルクレープなの? でもそのビジュアル、あたしが思う抹茶ミルクレープとはちょっと違うんだけど・・・(おまけにイザベラには「日本人は時間が余っているのね」と言われてしまう。 作るのに手間がかかるからですかね。 もっと手間のかかるお菓子は他にもあると思うけど)。
 これまた店内は自然光で撮っているようで、説明的なセリフもないし、特に山場もないのでメリハリを求める観客には不評かも。 でも今のあたしには省略具合もはっきりしない感じもほどよく、このお店にくるお客さんとの関係も含めてじんわりと心にしみた。
 ただ・・・こんな大して広くないお店でお皿に載せたお菓子を直接並べ、多くのお客がイートインする環境・・・ヨーロッパではこれが普通なら、COVID-19で大打撃を受けちゃうよなぁ・・・と別の意味でもしんみりしちゃった。

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2020年12月21日

今日は8冊(2020年12月18日時点)。

 ヤマトさんに<19時〜21時>で時間指定すると、だいたい19時過ぎには届けてくれるのだが、今日に限ってなかなか来ない。 はっ、もう年末が近づいているから配送量が多くなってる? なんか申し訳ない! 来週にももう一回届く予定なんだけど・・・ほんとすみません。 お疲れ気味の配達員の方がいらしたのは20時半を越えてました・・・それでもまだ他の荷物をお抱えでした。 ありがとうございます。

  ざわめく傷痕 グラント郡シリーズ カリン・スローター.jpg ざわめく傷痕/カリン・スローター
 『開かれた瞳孔』に次ぐ<グラント郡シリーズ>第二弾、日本初訳。 時間的には<ウィル・トレントシリーズ>よりも何年も前、サラが監察医として元夫の警察署長ジェフリーと事件にかかわっていた時期のこと。

  フォックス家の殺人【新訳版】.jpg フォックス家の殺人〔新訳版〕/エラリー・クイーン
 ハヤカワのエラリー・クイーンの新訳、止まってるなぁ(何か事情があるのかしら?)と思ってたら・・・2月には『十日間の不思議』の新訳版も出るそうです。 ライツヴィルものも新訳が!

  危険な友情 スーザン・リンデル.jpg 危険な友情/スーザン・リンデル
 単行本時『もうひとりのタイピスト』を改題して文庫化。 シスターフッドがヤバいほうへ行くのか・・・好きか苦手かどっちかになりそうな予感。

  ランナウェイ ハーラン・コーベン.jpg ランナウェイ RUN AWAY/ハーラン・コーベン
 ハーラン・コーベンって本国では東野圭吾みたいな感じ?、と思っておりますが・・・。

  炎と血1 氷と炎の歌ビフォア ジョージ・R・R・マーティン.jpg 炎と血 1<氷と炎の歌>/ジョージ・R・R・マーティン
 <氷と炎の歌>シリーズ、『七王国の玉座』へ至るまでの前日譚というか、ターガリエン家の年代記150年分。 それも興味深いのですが、本編の続きを早く書いてくださいよ・・・第6部も途中、第7部にいたっては手もつけてないそうなので。 ご自身の年齢も考えて!

  あなたの隣にいる孤独 樋口有介.jpg あなたの隣にいる孤独/樋口有介
 樋口有介、最近若い女子を主役にしてるよね、ってことで。

  江戸川乱歩と横溝正史文庫版.jpg 江戸川乱歩と横溝正史/中川右介
 江戸川乱歩と横溝正史、と言われたら手に取らずにいることができようか! あたしの子供時代を彩っている両巨頭。 この二人の関係に焦点を当てた評伝は今までなかったそうなので・・・楽しみです。

  連合赤軍50年目の真相 別冊宝島文庫.jpg 連合赤軍事件 50年目の真相
 生まれる前の出来事ですが・・・いろいろ読めば読むほど、関連する映画を観れば観るほど、わからない。 所詮、住む時代が違うからか・・・でもオウム真理教事件は同時代だがやはり理解できない。 わからないことを確認するために読むのだろうか。

ラベル:新刊
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2020年12月20日

燃ゆる女の肖像/PORTRAIT DE LA JEUNE FILLE EN FEU

 否応なく耳に入る高い前評判にハードルが高くなるのを抑え、事前に情報をできるだけ入れずに鑑賞(でも「静かなる『キャロル』」という表現は耳に入っちゃった)。 もともと、『水の中のつぼみ』の監督だったセリーヌ・シアマが監督・脚本というだけであたしは観たかったのです(あぁ、今はなきシネカノン神戸で『水の中のつぼみ』を観たなぁ、2008年映画だって)。

  燃ゆる女の肖像P.jpg すべてを、この目に焼き付けた――。

 18世紀、フランスのブルターニュ地方にて。 画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は若い女性に絵の描き方を教えている。 生徒からある絵について問われた彼女は、<燃ゆる女の肖像>と名付けられた絵画を描いたときのことを思い出す。
 貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の見合いのための肖像画を依頼されたマリアンヌは、エロイーズが結婚を拒否しているため画家であることを隠して彼女のいる孤島に会いに行く。 エロイーズの一挙一動を見つめて、こっそり肖像画を描くが・・・という話。
 画家は見つめる側、モデルは見られる側、という立場を徹底しながら、その関係が対等であることを描いたもの。
 主な登場人物はほぼ女性、ほぼ心理劇、フランス映画っぽい曖昧さなど、賛否両論になりそうな要素は多々あれど、「対等な関係」を美しく描いているのが素晴らしい!

  燃ゆる女の肖像2.jpg あの時代、女性の画家が普通に活躍していたというのもうれしいじゃないか。 写真がないから肖像画需要が高い−モデルが結婚前の女性だから画家も女性がよい、という理由ではあれど。
 18世紀設定ではあるが、女性ばかりの登場人物だからか閉塞感はあまりない。 台詞で多くが説明されないため、空気感で理解しないといけないところがちょっと難解。 これもまた「理解しないで、感じて」なのかもしれない。
 夜の室内では蝋燭と暖炉の明かりだけが光源、という構図の美しさ! あの時代の静物画みたい!
 またBGMが一切ないので(音楽は使われるが、それは登場人物たちが実際に耳にしているもの)、海の音など背景音と生活音がくっきり。

  燃ゆる女の肖像4.jpg 油絵が描かれる過程も興味深い。
 “描く”から始まるので、マリアンヌ目線で見るエロイーズは謎めいている。 でも描かれることを受け入れてから、エロイーズの心情がドンと前に出る。 冒頭からかなりシーンの省略があるのに、ワンカットでずっと続く場面もあって、その対比が「語りたいこと・描きたいこと・伝えたいこと」をなによりも物語る。 二人だけの世界にはならずいいバランスを作り出しているのがメイドのソフィの存在。 ギリシャ神話のオルフェウスの話を三人それぞれの解釈を語るところがポイント。

  燃ゆる女の肖像1.jpg 大半のシーンが絵画のようで。
 全編静かで、自然光の下だから輪郭もはっきりしてないこともある中、くっきり映る鏡の使い方に二回度肝を抜かれた。 年齢設定がよくわからないけれど(エロイーズは17歳くらい? ソフィは15歳くらい? 少女性がテーマに深くかかわっている)、目力のあるこの役者さんたちでよかった。
 そうか、肖像画には暗号がいっぱいなのはそういうことなのか・・・と心から納得できたことは今後絵画を見る視点が変わる、と思う。
 ヴィヴァルディの<春>にこんなに心を動かされるとは!
 ラストシーンには「えっ!」っとなるけど・・・それが必然だと頭ではわかるけど、マリアンヌの心情を思うとこちらの心もざわざわする・・・感情移入しちゃってる。 この気持ちは『キャロル』のラストシーンと全然違うよ・・・。

posted by かしこん at 15:23| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月18日

スマホ・デビュー!

 あたしのガラケーの使用期限が迫る(3G通信は2022年3月まで使用可能だが、あたしの持っているガラケー機種本体内蔵のカレンダーが2020年12月までのため、2021年1月1日以降、正しく動作するか保証できませんと言われ)。
 ギリギリまで粘ったが、年末に入ってしまったらヤバイ、その前に何とかしなければ、と焦る。
 というわけで、スマホデビューしました!

 とはいえ、道のりは長かった・・・。
 なにしろスマホをゼロからの選択である。 iPhoneなのか、Androidなのか、そこからさらに機種を決めるのだ。 アデリーペンギンが楽し気に季節の移り変わりを表してくれていたCASIOのガラケーとどうしても比べてしまうけど、スマホにそもそも明確な個性が見えないから(自分でどんどんカスタマイズするから、元から個性は求められていないのだろうけど)。
 実は仕事でちょっとiPhoneを使っているので、知識ゼロということはないのですが・・・半端な知識があたしを臆病にさせていた部分もあったか。 auオンラインサイトに載っている4G以上対応機種、何日もかけて全部見ましたよ。 「あ、これいいなぁ!」というのはあるんだけど、お店に在庫がない気配濃厚・・・候補を5種類ほどに絞って、事前に予約した店舗に向かった。
 そしてやっぱり第一候補と第二候補は在庫がなかった・・・かなしい。

  エクスペリア10本体三色.jpg 決定! Xperia10U
 左から、本体カラーはブラック・ホワイト・ミント。
 J:comからもらったタブレットがAndroidだから、考え方というか扱い方の感覚は近いのかな、と思って。 あと、ちょっと本体の横幅が狭めなのが、手の大きくないあたしにはちょうどいいかな、と。 でも文字入力の仕方に全然慣れてないけどね!

  エクスペリア10ミントグリーン.jpg というか、このミントカラーにやられました。
 だって他はほぼ黒と白ばっかりなんだもん。
 しかし勧められた純正品カバーは黒だった・・・それじゃ本体の色をこれにした意味なくない?、ということで前面薄型強化ガラスカバーのみ貼ってもらうことに。 充電器も別売りだ。 スマホ乗り換え割とクーポンで33000円引いてもらえたが、2年間有効のセキュリティアプリを入れたり、予想よりお金がかかってしまうことは仕方がないか。 microSDカードはすでに自分で持っているやつがあったのでよかったけど。
 というわけでガラケーから電話帳を奥の機械で移行してもらったり、なんやかんやで機種変更手続きに一時間半以上かかった・・・。
 家に帰ってから、まず自宅のWi-Fiにつなぐ。 料金はデータ定額制プランにしたので(無制限ではない)、アップデートとかアプリのダウンロードとかは自宅でやろう。 まず最初にダウンロードしたのはCOCOA(新型コロナウィルス接触確認アプリ)。
 あぁ、フリック入力に慣れない・・・(ゅ・ょ・っ、はどうしたらいいの?)
 なんでこんな気ぜわしい12月に機種変更しちゃったんだろ・・・と違う意味でまた焦る。

posted by かしこん at 01:38| 兵庫 🌁| Comment(0) | コンピューターとインターネット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月17日

喪われた少女/ラグナル・ヨナソン

 北欧ものは梅雨〜夏の時期に特に読みたくなるのだが、北欧にだって夏はあるのである。 だからこっちが冬のときには夏の北欧を・・・って、結局季節関係なく読んじゃっていますよ、という話。 それだけ北欧ミステリが身近になってます。
 『闇という名の娘』に次ぐ、<フルダ三部作>の第二弾。 一作目から時間は十五年遡り、1997年の夏に起こった事件。

  喪われた少女 ラグナルヨルソン.jpg “DRUNGI” ⇒ “THE ISLAND” 舞台はこんな断崖絶壁のある島を中心に。
 アイスランド、西武フィヨルドのある別荘で、20歳の女性が殺された。 十年後、殺された女性をしのんで彼女の親友たちと弟4人が無人島のエトリザエイで再会を果たす。 しかしその二日後、そのうちの一人が崖から落ちていると通報が入る。 レイキャヴィーク警察犯罪捜査部の警部フルダが現地へ飛び、4人の関係、十年前の事件とのつながりを捜査する・・・。

 またしても本文353ページという短さに様々な北欧ミステリお得意の要素が入れ込まれている。
 事件そのものはシンプルといえばシンプルなんだけど・・・「語らぬが故に漂う謎」が独特の雰囲気を醸し出す。 しかも合間に語られるフルダの人生が・・・『闇という名の娘』をすでに読んでいる身には彼女の苦悩の理由がよくわかっているので・・・ため息しか出ない。 おまけに、いろいろな部分(たとえば、彼女の捜査手法とか)の基本的なところが十五年後も変わっていないというか、「あぁ、そういうところがのちのちひどい結果を生むのだぞ!」と気づかされて仕方ない。 ある程度経験を積み、仕事もそれなりにうまいことやれてるなと思ったときにはもう自分のクセみたいなものから逃れられない、成長できないという事実を突きつけられているようで、自分も反省。
 エピローグでも、さらに十五年後のことを示唆・・・なんて情け容赦がないの!
 さすが、ダーク・アイスランド。

posted by かしこん at 16:03| 兵庫 ☁| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月16日

ザ・バニシング ―消失―/SPOORLOOS

 新開地のCinemaKobeにて、一週間限りのレイトショーで『ザ・バニシング−消失―』が公開。 嬉々としてスケジュールを調整し、観てきた。 ついでに年末ご挨拶の郵便(第一陣)を、『轢き逃げ』で岸部一徳さんがもたれていた郵便ポストに投函。 はい、自己満足です、受け取る側には誰もわかりません。
 『アングスト/不安』のときより観客は少ないようだが(あれは行ったのが金曜日だったから多かったのかも)、平日でも確実にいることにニヤリとする。
 1988年、オランダ映画(監督はフランス人のジョルジュ・シュルイツァー)。 スタンリー・キューブリックが「これまで観た中で最も恐ろしい映画」と言い、「サイコ・サスペンス映画史上bP」とも言われている。 ビデオリリースはされていたが、2019年4月より日本劇場初公開が決定。 それがめぐりにめぐって今、神戸にやってきております。

  ザ・バニシング消失P.jpg 彼女は消えた、跡形もなく、忽然と
  彼はただ知りたかった、その行方を

 夏、ツール・ド・フランスの実施時期に、恋人同士のレックス(ジーン・ベルヴォーツ)とサスキア(ヨハンナ・テア・ステーゲ)はオランダから車で、フランスの山荘に向かおうとしていた。 途中、立ち寄ったドライブインで、コーラとビールを買いに行ったサスキアは戻ってこなかった。 レックスは懸命にサスキアを探すも、有力な手掛かりが得られないまま時間が過ぎていく。
 その一方、<ある衝動>に突き動かされている男がいた。 彼はレイモン・ルモン(ベルナール・ピエール・ドナデュー)、妻子のいる化学の教師。 綿密な計画を立て、シミュレーションを繰り返し、失敗も次に生かすため臆さない。 そんな彼が、3年後もサスキアを探し続けるレックスを知り・・・。

  ザ・バニシング消失3.jpg このシーンで安堵した。
 あまり予備知識がなく、「彼女が失踪する」ことしか知らなかったので、いつサスキアがいなくなってしまうのかと冒頭からドキドキしっぱなし。 ドライブの途中、トンネルを通過中にガス欠なんてひどいが、もっとひどいのはサスキアに対するレックスの態度。 彼女に何の説明もなく、車に置き去りにしてトンネルから出て行ってしまうのだ! 人としてのレックスへの不信感はMAXである(「運転しているのはボクなんだからガソリンのことも任せろよ」と言っていた手前、プライドが傷ついたからそういう不貞腐れた態度を取ったのだろうとは思うけど)。 ガソリンを取って戻ってきたら車にサスキアがいない、トンネルの外まで出ると、そこでサスキアが懐中電灯を抱えて立っていた・・・サスキアになんて気持ちにさせるのか! ひどすぎる!
 と、個人的にものすごくむかつく&ハラハラだったけど、現代の視点で見ると演出はどことなく牧歌的ですらあり、緊張感や劇的な要素をあえて排除しているように感じられた。 時代的なこともあるけど、あえてしている意図。 だから話が進めば進むほどヤバくなる。

  ザ・バニシング消失1.jpg 「あれから三年」とまだサスキアを探すポスター。
 三年後、レックスはサスキアを一人で探し続けていた。 ほぼノイローゼ状態になっているレックス。 彼のもとに、いまのサスキアを知っているとほのめかす手紙が何通も届くようになり、レックスは町のオープンカフェなど様々な場所に呼び出されるが誰も来ない。 ついにはTVを利用してレックスは“犯人”に呼びかける。 「ただ真実が知りたい」と。

  ザ・バニシング消失2.jpg カフェで待ちぼうけを食わされるレックス。 どんどん人相が悪くなってきている。
 罪悪感や無力感はここまで人を蝕む、という見本のようなもの。 気持ちもどんどん追い込まれ、「サスキアに何が起こったのかわかるなら、何をしてもかまわない」みたいな状態に。 その気持ち、よくわかる。 「好奇心、ネコを殺す」という諺はヨーロッパ発祥なのか?
 「彼女が幸せに生きているのをわからないのと、彼女が死んだことがはっきりするのと、自分にとってどっちがいいのだろう」と自問するレックス。 もう一つ忘れているぞ、「彼女は死んでいるのに、自分はそれすらも知らない」を。
 というわけで特別に派手なシーンもなく、レックスとレイモンのかみ合わない問答にも付き合わされる感が強いのだが、ひたひたと忍び寄ってくる不吉な予感・予兆に身震いが来る。 直接的な描写がないからこそ、レイモンの笑みに戦慄する。
 あぁ、なんて後味が悪いんだ!!
 『アングスト/不安』がいわゆる無秩序型のサイコパスを表現していたならば、本作が描いているのは秩序型。 秩序型の気味の悪さを余すところなく伝えてきてる。 これが1988年・・・『羊たちの沈黙』の3年前? サイコサスペンスというジャンルは短い期間で急激に成熟したのだと実感。

posted by かしこん at 01:51| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月15日

放課後の嘘つきたち/酒井田寛太郎

 不意に、ビターな青春ミステリが読みたくなった。 この状況下で普通通りにしたい人たちの中からクラスターが発生することによってやたら非難されてしまう世代の人たちへの同情もあり、自分がその年齢だったらどうだろうかとか考えてしまうからだろうか。

  放課後の嘘つきたち.jpg イラストはちょっとマンガっぽいが。
 北陸のN県にある名門私立高校・英印高校。 ボクシング部員の蔵元修は無口な態度とその立派な体格から、転校生ということもあり友人が少ない。 一方、幼馴染で同級生の白瀬麻琴は誰からも慕われて頼られる部活連絡会の会長。 部活連絡会とは部活同士のトラブルをひそかに解決する役割も担っており、自分一人なので手伝ってほしいと頼まれた修はそうすることにする。 超高飛車な演劇部部長の御堂慎司も加わり、放課後に起こる謎を否応なく見てしまうことに・・・という連作短編集。

 プロローグで、文体が一人称なのに名前だけ三人称な表現に違和感を覚えるが、それも何かの仕掛けかも、と思い直す。
 修・麻琴・慎司それぞれが複雑な過去と心情を持っているが、三人とも基本的に“いい子”なので、彼らが必死にひた隠そうとする<嘘>に「いやいや、そんな大したことじゃないよ(むしろヤバいのは他の人で、あなたたちが責任を感じる必要はないよ)」と言いたくてたまらない。 それはあたしが大人になったということであり、しかしあの年代ならば(下手すると30代でも)そんな風に感じてしまうのもまた当たり前。 だからこそ大人が手を差し伸べねばならんのだ・・・。
 が、若くても無神経な者たちもいて、人数が集まればそこに力関係や悪意も生まれる。 能力が目に見えやすい部活絡みならば余計に。
 青春ミステリとしてロジカル面もしっかり、イヤミス要素も醸し出しつつ<成長と友情>にも力点が置かれている。 サラっと終わってしまってむしろ物足りないくらいかも。 北欧ミステリならばもっと詳細に描くところだろうが、あえて描かないのが日本ってことなのか。
 結局、文体にトリックはなかった・・・考えすぎました。

posted by かしこん at 13:54| 兵庫 ☀| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

あの日に消えたエヴァ/レミギウシュ・ムルス

 『このミス』の影響で、積読本により手を出したい気持ちに。 未読本を全部一気にチェックはできないが、「すぐに読むつもりの本たち」と「その次に読むつもりの本たち」あたりに目を通す(おかげで『水の葬列』も見つかる)。 すぐ持って出かけられるように大体紙カバーをかけてあるので、いちいち開かないとタイトルがわからないんだけど・・・その分、帯や背表紙のキャッチコピーに惑わされず、自分が選んだときのうっすらとした記憶のみで読み始められるかも(前情報がなしになる感じ)。 あぁ、『指差す標識の事例』は読むのがなんだかもったいないなぁ。

  あの日に消えたエヴァ.jpg “Nieodnaleziona”   =“Not Found”
 ぼく(ヴェルネル)は幼馴染で長年の恋人エヴァにプロポーズをして受け入れてもらう。 その帰り道に二人は男たちに襲われ、僕が目を覚ましたのは病院。 その日からエヴァは行方不明になり、何の手掛かりも見つからないまま十年が過ぎた。 ぼくの親友のブリツキがフー・ファイターズのライブに来ていたエヴァが写り込んだ写真をフェイスブック上で見つける。 「エヴァは生きている!」、単身、探し出そうとするぼくに、ブリツキは調査会社へ依頼することを提案する・・・という話。

 これだけだったらまぁありがちな話っぽいんだけど、途中から語り手が「ぼく」に調査会社の経営者の妻「わたし」が加わるところがポイント。
 しかもヴェルネルが支払いに使うお金の単位がズロチであることがわかり、「なんかあれだと思っていたけど、そうか、これポーランドだ!」と気づく(そうだ、ポーランドミステリだ、と思って買ったのだった)。
 十年前の出来事を乗り越えられないヴェルネルの言動が、もどかしいがリアル。
 でもこれ以上は言えない!
 途中で「こういうことではないかなぁ」とうっすらわかるけど、それを裏切る(ちょっと強引な)展開!
 しかも「ここで終わるとは! 終わられても!」なラスト!
 本国では続編が出ているらしい・・・日本語訳も出してください!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 15:25| 兵庫 ☁| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする