2020年11月04日

むらさきのスカートの女/今村夏子

 図書館から連絡がくるときは続けてくる。 だいぶ前に予約をしたので、何故読みたいと思ったのか忘れている。 芥川賞受賞作だから? いやいや、そういう理由だけでは読まない。 どこか「面白そう」な感じを受けたんだろうな。 薄いし(芥川賞モノは大体ページ数は少ない)、予約者はまだいるだろうから早く読んで早く返そう、とほぼ一気読み。

  むらさきのスカートの女.jpg “むらさきのスカート”ではなくない?
 どうやら近所に住んでいるらしい「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが気になって気になって仕方のない<わたし>(自称:黄色いカーディガンの女)は、彼女の暮らしを観察し、彼女と“ともだち”になりたいと願う。 そのためには、自分と同じ仕事場で働いてもらわなければ、と暗躍する。 

 序盤の引き込み具合が見事である。 「おおっ!」と没頭してしまった。 芥川賞にしてはすごくミステリ文脈が使われている気がするので余計に読みやすいのかもしれない。 黄色いカーディガンの女は信頼できない語り手として読めば、途中で視点が入れ替わるところも、黄色いカーディガンの女の正体(?)がわかるところも、物語的な盛り上がりをあえて無視するところも想定内。 逆に、こういうミステリ文脈を芥川賞は受け入れるんだな、ということに驚く。
 登場人物の誰かに感情移入できることはないが、「あぁ、こういう人たち、いそう」とも感じる。
 なんというか・・・ちょっと変わっていることと凡庸さは紙一重なんだな、と。

ラベル:国内文学
posted by かしこん at 02:11| 兵庫 ☀| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする